第20話 プロポーズ
それから一年くらい、あたしは養護施設棟の方で子供たちの面倒を見ながら過ごしていた。
ここに来た当初は、情緒不安定で夜に泣き出してしまうあたしも、だんだんと落ち着いて行き、一年がたった。
もう15歳を過ぎているので、本来なら神殿を出て行かなきゃならないけど、あたしは特例として、自分がここを出たいと言った時まで、養護施設棟に置いてもらっていた。
でもそこまで、信心深くもない。
これからどうしたら良いんだろう……。
あたしは、ブランコに揺られながら、これからのことを考えていた。
お金は、イオナ伯母さんが神殿に全額寄付してしまったと言うし……
イオナ伯母さんは、あたしを不幸を招く子だと言って引き取ってはくれない。
……そうだ!! リデス先生に後見人になってもらって、もう一度、グリーンさんの花屋で、花を卸してもらって売り子をしよう……。
そう決めた!! 足でリデス先生のところに向かう途中であたしは、高位の
「いた~~い!!」
弾みで転がったあたしを、
「大丈夫ですか? ケガはないですか?」
優しく手を差し伸べてきたのは、養護施設棟に戻って来た時に見た金髪で青い瞳と深紅の腰紐。わあ~大神官様なんだわ~~
それにしても、麗しい顔。とおった鼻筋に切れ長の目が人格を表すようにに少し垂れていた。薄い唇からは、悪口なんて出いこないみたいだわ。
あたしは、不躾なほど、
「元気になりましたね。マリオン」
「え……?」
「この一年、ずっと見守っていました」
笑顔で言ってくる大神官様……。真っ赤になるあたし……。
「あなたを幸せにします。ずっと、生涯を共にしましょう」
「あの!!
「本当にそうなのか、賢者様が視て下さるそうですよ」
「賢者様が……」
賢者様は、神殿で一番偉い人なのだ。
そんな人が、あたしのために……?
「それで何ともなければ、ワタシと結婚して下さい」
「でも、大神官様……あたしのことは何処で……」
「あなたはお忘れでしょうが、初めて会ったのは、二年前のヘンリー・デイジー氏の結婚式の日ですよ。それから、一年後に伯母君に、ディナーレの元元老院長の全遺産がこのサントスの神殿に寄付されました。その寄付の中にあなたも付いていたのです。
賢者と
で、ずっと、あなたの処遇を話し合いました。独身の賢者の結婚相手にという意見が圧倒的に多かったのですが、賢者は、恋愛対象が女性ではないんです」
「……は、はぁ……」
それでも、賢者になれるのね……ここの神様……。
「で、
まあ、次席の大神官様なんて!! 賢者様の次に偉い方!!
「でも、
「キャスパー・ヴィトレークです。はっきり言えば、九人目の妹が出来たものです。でも、あなたのような可愛い人なら、文句もないですよ」
キャスパー
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