関東生まれ関東育ちのしぜんぐらし

釣ール

きらいなものが増えていく

 三島瑛棋みしまえいきは関東生まれ関東育ちの二十代男性。



 地方の友達と話すと都会の偉大いだいさに改めておどろくこともある。



 もう仕事だとか無関心な生活をこもってまで暮らしたい人には選択肢をあたえてくれる都会へ無料で住まわせてくれる手段を作ってほしい。



 瑛棋えいきは起業も目指していて、

『田舎ぐらしでもぐうたら集まって起業した社長だけが働く海か山の家』を作るために貯金している。



 むかし地方の友達が地元に遊びに誘ってくれてそこでコンビニすらない場所をひたすら歩いて適当な話ばかりしていたらとうとつにじいさんばあさんが『若いのに結婚とか仕事は?』と下世話げせわなことを言われた時に専用端末で悪口まみれの言葉を言わせて逃げた話があっていらい、その友達とは団塊世代の悪口一色になった。



 かといって都会のじいさんばあさんも夜の公園で軽く遊ぶ家族たちに『ここで遊ぶな! 』

 と言って理不尽な規制をいてくるので近くにいた着物の似合う女性が



『あんな歳の取り方は絶対にしない』



 とおっしゃっていて感銘かんめいを受けてあいさつをしようとすると



『わたしにあまり関わらない方がいい歳の取り方するよ』



 やんわりと警告けいこくされたのでその場所にはもう行っていない。



 かといって地方の島だと意味不明なNPO法人が金の搾取さくしゅと弱いものいじめ目的でいまだに農業をさせてくるから始末におけない。



 だから最高の海や山が見られる場所へ瑛棋えいきは移住し、地方で学歴も国籍もなにもかも関係なく楽しいかは分からないけど存在をただ許してもらえる場所だけ用意するために都会は金稼ぎと割り切り、自分たちの限界集落げんかいしゅうらくを目指した。



 体力は昔から自信がある、というか体力しか自信がなくていやいや勉強と労働をさせられた過去があるからか自己犠牲じこぎせいではないけれど自分もふくめ適当な場所でみなが最低限のルールを守りながら自然で暮らしてたまに都会へ観光できるまじで超お気楽な場所がほしかった。




「NPO法人なんてたいそうなことしなくても、きれいごとは言えなくても気楽な場所の提供ってなんでこんなに難しいんだろうな」



「そこが人間の課題であり人間の頭の限度げんどなのかもしれない」




 しあわせというのは本当に理不尽と金と欲、偽善ぎぜんで出来ている。



 移住先を探して仕事をし、ここに住みたくない気持ちを胸に誰かへの優しさを忘れないように身体をきたえていく瑛棋えいき



 人間はみにくくて、頭がよくない。

 そして力さえ昆虫にすらかなわない。



 弱さや強さだけじゃない認め方をしないとダメなNPO法人より悪化してしまうかもしれない。



 移住することを目的に瑛棋えいきは都会で戦い続ける。



 人生という砂漠を目的という水を手に迷わないよう積み重ねていく。

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関東生まれ関東育ちのしぜんぐらし 釣ール @pixixy1O

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