幼女勇者とユカイな仲間たち

ほどみだり

第1話 召喚された幼女とその仲間たち

 ここは数々な高価な装飾がされたある国の謁見の間。玉座に座る国王と近くにいる高貴な服を着た老人が何かを話している。


「魔王が復活して、今にも世界を滅ぼそうとしているようじゃな」

「ええ、かの魔王は強大な魔力と邪悪なしもべを連れて破壊の限りをつくそうとしております」

「宰相よ、どうする?」

「やはり、先代と同じように勇者召喚を行うしかありませんな」

「そうか……よし、これより勇者召喚を始める!宮廷魔術団は準備を!」


 国王の命令と共にローブを羽織った集団は、謁見の間の中央にある魔法陣に向かって杖を掲げた。


「伝承によると召喚された勇者は女神によって祝福を受け、魔王や邪悪なものに対して強大な力を発揮すると書かれています。勇者は今後我々人類の希望となるでしょう」

「うむ。勇者が魔王を討伐できるように、我が国が全力の援助をしよう」


 国王と宰相がこれから召喚される勇者に期待をつのらせていると、魔法陣が激しく光りだした。


「これから勇者様が召喚されます!」




 ——————ゴゴゴゴン!


 激しい落雷のような音とともに召喚されたのは…………






「わっ、ここはどこですか?!」






 知らない場所に急に移動し、困惑したソプラノボイスで現在の場所を聞いてくる身長が140cmにも満たない幼女だった。




「宰相よ」

「こ、これは、一体どういうことですか!」

「申し訳ございません、宰相様!我々にもわかりません!」


 宰相は召喚された幼女を見て、常識的に魔王を討伐できると思えなく、勇者召喚が失敗したと判断した。しかし、人類の命運がかかった大事な儀式が失敗したなどと思いたくなく、念の為に査定を行わせる。


「一応、水晶で勇者かどうか判断しましょう」

「あ、あのう」

「ささ、こちらの水晶玉の上に手をかざしてください」

「あ、はい」




 ——————ギラーン!!!


「うっ、まぶしい!」

「ぐうっ、こ、これは本物の勇者の証です!!」

「「なんだと!」」


 水晶玉が放つ光は女神の加護によるもの。この空間を埋め尽くすような光量をだせるのは勇者以外ありえない。


「え、えっと、どういうことですか?」

「すまんな勇者殿。わしはこの国の王をしておるものじゃ。お主にはこれから勇者として魔王を倒し世界を救ってもらう使命を果たしてほしい」

「ま、まおう?!」

「魔王はこの世界に破滅をもたらそうとしている邪悪な存在です」






「なるほど?…………うーん、いいよ!つまり悪いやつにお仕置きをすればいいのね!」






「ま、まあ、間違ってはいないですが」

「(宰相、宰相、本当に大丈夫かの?)」

「(国王様。これが女神様の意思というのなら、この方が本当に魔王を倒してくれる……はずです)」

「(はず……)」

「(はずです)」


 この場にいるもの全員この小さな子供が魔王を倒せるように見えなかった。そこで、宰相は仲間を彼女につけたらまだマシになると考えた。


「そうでした。歴代の勇者はその場で、背中を任せれる戦士、仲間を守る重騎士、癒しを与える聖女、影から敵を切り裂く暗殺者、多彩な術が使える魔法使いを召喚して旅を共にしていました。さあ、頭の中にふさわしい仲間を思い浮かべるのです」

「わかった!やってみる!」





(背中をまかせれる人、わたしを守ってくれそうな人、わたしのいやしてくれる人、影にいる人、なんかすごいことができる人……)


 



 ——————ドゴーン!!!


 魔法陣がまた光って強烈な音と共に、新たに5人が召喚された。

   



「あれ、ここは?さっきまで学校にいたはず」

「むむむ、ここにまゆたんの気配が」

「あらあら、すごい豪華な場所ね〜」

「…………がいない、まゆちゃんがいない、まゆちゃんがいない、まゆちゃんが、いる?」

「あ、回線切れた」




「(宰相、宰相、なんだか嫌な予感がするが)」

「(国王様、私もです)」


 召喚されたものたちからすぐに感じた癖の強さから、もう部下たちに全てを丸投げしたくなった国王と宰相であった。



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幼女勇者とユカイな仲間たち ほどみだり @kokonatchu

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