第4話

ぼくは一人静かに教室をでる、美月からいわれたことが頭をよぎったから

そう思い下駄箱で靴を変えて出るとき聞きなれた声が後ろから話しかけてくる

「どうした?今日は一人なのか?」

ぼくはゆっくりとふり向いたそこにいたのは京治だった

美月に言われたことを言うと少し変なことになる。そう思ってぼくはごまかした

「う、うん京谷はなんか部活らしくって」

そう言うと彼は軽くため息をはいて、ゆっくりと自分の下駄箱のほうへ向かった

静かに帰ろうと思ってぼくは学校を出ようとするとさっと隣には京治が来て

「なら二人で帰るか」

そう言って教科書を手に歩き始めた、ぼくはその背中を追って少し掛けていき隣を歩いた

ぼくはその後、テストが終わるまで京谷と一緒に帰るどころか話すこともなかった

テストも終わり、一学期ももうそろそろ終わるころ京谷からプールサイドに呼び出された。

ここ一週間何も話さなかったから少し怒っているのかな?そう考えながら、ぼくはプールサイドについた。そこには京谷がたった一人、静かに立っていた

なんだろう夏の日差しをプールの水面が跳ね返し、ぼくたち二人をキラリと照らす

横を通るそよ風が涼しい、まるでこの夏の暑さをかき消すように。目が合って少し

恥ずかしそうに京谷は頭をかきながら告げてきた

「美月をいじめるのは、やめろ」

ぼくは頭が真っ白になった。いま、京谷は何て言ってきたの?ぼくがいじめ?美月を

どういうことかもさっぱりわからない僕はとっさに弁明をしようと

「い、いや僕はなにも」

彼は聞く余地もなく、ぼくの心臓をつら抜くことを告げた

「もう俺たちとかかわらないでくれ」

「っーーっっ」

胸が、苦しい そう告げた彼は

「じゃあな、加賀地」

そう言って僕を一人置いていった

ぼくは日が暮れるまでプールサイドの端でうずくまっていた、今日水泳部はオフだったのか誰も来ることはなかった。ぼくは静かに帰る少し遅くなったな、お母さんに怒られるかな。ぼくはそう思い静かに玄関の戸を開けたそこには見慣れない革靴があった、お願い!僕がリビングの扉を開けるとそこには真剣な顔で話すお母さんと僕の担任の先生がいた。どうして、そう考えていると二人の会話がうっすらと聞こえてきた

「お子さんのいじめのことなのですが」

その言葉が聞こえた瞬間手に持っていたカバンが落ちた、その音に気づいた母が立ち上がり心配した様子で聞いてきた

「叶愛?」

ぼくはその言葉に嫌悪感を覚え、憤りがあふれてきた。ぼくは言葉を返すことなく自分の部屋に駆け込んだ。

部屋に入るとぼくは、ベッドに飛び込んで枕に埋もれて思いっきり大声を出した

「なんで!!!」

その日は一階に降りることはなかった。

――翌朝――

朝目が覚めると母が何度も、大丈夫かと聞いてきたぼくは一度も返すことなく家を出た。今日は終業式、そうかもう最後の夏休みなんだ、そう考えながら一人学校へ行く

教室に入ると、みんなが談笑しているぼくは混じることなく自分の席へ座ろうとする。

ところが、ぼくは席の前に来て立ち尽くした。そこには京谷にあげた今までの誕生日プレゼントが置いてあった、ぼくは、ぼくはぁ

凄く感情が込み上げてくる、今まで幾度と過ごしてきたのに最後の一年でこんな。

ぼくが泣きかけていると、談笑していた方向から一人ぼくのほうにやって来た。

まるで白馬の王子サマのように手を差し伸べ、その人はぼくの顔を上げて聞いてきた

「大丈夫かい?」

そこには大羽さんがいた、うれしかった本当に助かったそう感じてはいた

けれどぼくは悲しみなのか憤りなのかもわからない感情に染まっていた

そして

バンッ!!

大羽さんの顔をたたいてしまった、彼女はそっとぼくの顔を上げていた手を下した

ぼくはもう訳が分からなくなって勢い良く教室を飛び出した。無我夢中で走った、逃げたかったすべてから、京谷から美月から自分から気づくとぼくは図書室の一番奥の本棚まで逃げてきたようだった。ぼくは角で座り込んだもう何が何だかわからなかった。ぽたぽたと涙が落ちた僕はもうどうすればいいかわからない

ぼくが沈んでいると歩き音がした、その音はどんどんと近づいてくる僕は心の奥で願った。お願い!こっちに来ないでと

その時、歩く音が止まってぼくに話しかけてきた

「あれ、かなめ?」

ぼくはそっと声のするほうを見た。ぼくは涙でかすむ目をこする、だってそこには。

「美月?」




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