第2話 魔法が使えるらしい

この世界には魔法がある。それは、程度は違えどほとんどの人が使えるらしい。

「ザイン、魔法ってどうやって使うんだ?」

「魔法?そんなもん、全身に回ってる魔力とかいうものを起こしたい現象に変えるようにイメージするだけだぞ。」

「やってみるよ、ありがとう。」

1時間頑張ってみた。これは...素人にもわかる。やばい。ぶっ壊れだ。

「俺捕まるかも...」

独り言が聞こえたのか、ザインが言う。

「ん?どうしてだ?」

「素人でもわかるくらいぶっ壊れた魔法ができた。」

目を輝かせながらザインが聞いてくる。

いや子どもかよ...

「どんなもんだ?」

「世界、及び概念への干渉。」

「は?お前はどっかの大魔法使いか?」

疑われたので身を持って体感させようと思う。

「いやマジ。じゃあザイン、俺を殴れ。全力で。」

「怪我しても知らんぞ?」

「いいからいいから。」

ザインが顔面めがけて本気で拳を振るう。が、それは届かず、ザインの拳は途中で止まってしまった。

「おい、何をしたんだ。今。」

「世界に干渉して、僕に対する権利を一時的に書き換え、絶対先制攻撃の権利を付け足した。」

「おま、それ、ほんとにぶっ壊れじゃねえか。」

ピコーンと目から星が飛んでいきそうなウィンクをしながら無茶なことを言ってみる。

「だから、ザインは俺を国家権力から守ってね。」

「無理が過ぎるぞ...」

笑いながら否定する。

「冗談だから安心して。」

そう言って笑い合う。この魔法が、いずれ世界を惑わす原因になってしまうことも知らずに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る