出会い、別れ、そして僕はまた君に恋をする。
白井黒猫
第1話 玉砕した帰り道
一人、少年が遠くを見つめて路地を歩いていた。どこかつらそうで、その中には己を責める様子もみれた。
「馬鹿だよな...傷つけたくないくせに、自分の感情で相手を傷つけてどうする。」
そう言って彼は顔をしかめる。彼が横断歩道に出たその時。
”パァァァァァ”
クラクションの音が鳴る。次の瞬間には少年はどこかへ消えていた。
―岸野 楓【少年】―
失恋した。好きな人を傷つけた。自分を責めながら歩いたその帰り道、クラクションがした。「死ぬのか...」となんか感情もなく思う。すると、いつの今のか知らない草原にいた。
「ここはどこなんだ...」
考えても無駄か、生きる意味もない。
そのまま仰向けに倒れ込む...
どれだけ時間が経っただろう、最初はきれいな月が見えたが今は日が昇っている。
「おい、大丈夫か?」
男の声だ。こんな場所を人が通るらしい。
「え...?」
目を開けると、日本語を話すとは思えない、金髪で黒目の男だ。金髪で黒目...?そんな人間見たことないんだが...
いつの間にかその男―ザインと言うらしい―に連れられ、ザインの経営する商会に保護された。
保護されて数ヶ月、僕は商会の一員として商談に駆り出されていた。
その帰り道、保護されたときを思い出す。
―保護された当時―
ザインにあったことを全て話した。
「クルマっていうのが何なのかわからんが、生きる意味がないなら生きて探せばいい。今は、生きろ。生きる意味を探していけ。分かったな?」
ザインは俺の話を聞き、励ましてくれた。今はこの生活がなんだかんだいって楽しいと思っている。そうして一度は生きることを諦めた自分が、生きる意味を探しながら別の世界でせわしなく生活することになったのだった。
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