第2話
ぼーっとする頭で学校に到着。
去年の教室に向かいそうになりながら新しい教室へ向かう。
教室の扉を開けて自分の席を見る。
誰かが座っている。
女子なのはわかる。
誰かは不明。
特徴を探すが手首にヘアゴムをつけている程度。
わからん。
デュラハン系女子は人気のようだ。
ぐるりと囲むように人が集まっている。
そのせいで席が占領されているので俺にとっては迷惑なのだが。
雰囲気は楽しげ。
多分。
近づいて行くとデュラハン系女子がこっちに気づく。
「ほら!どいてあげて!陸くん来たから」
座っている子をどかしてくれる。
「ごめんね〜」
と誰か。
「ううん、ありがとう」
とりあえず答える。
「えっと、佐川くん?めっちゃ無表情だよね!」
とポニーテールの女子。
だよね!と賛同される。
二日目にしてクラスメイトの名前を覚えられるとは羨ましい。
「そう?」
「そうだよー。めっちゃクールに見える!」
「そんな事ないよ」
何とかそれだけを言う。
「私と一緒だね!」
[(*≧∀≦*)]
とデュラハン系女子。
「顔はあるから!」
すかさずツッコむ。
[(´・ω・`)]
するとすかさず顔文字。
周りでは笑いが起こる。
そうこうしているとチャイムが鳴る。
お喋りをしていたクラスメイト達は急いで席に着く。
先生がやって来てホームルームが始まり、出欠を取り始める。
一人、一人名前が呼ばれていく。
「返事をするときは顔見せてね」
顔を上げて返事をしろという事だろう。
「斎藤さん!」
「はい!」
元気よく返事をする彼女は顔がはずの位置にスマホを構えている。
それを見た先生は笑う。
「あなたはいいから!それとスマホはしまっておくように」
画面は見えないがいつも通りに顔文字を表示しているのだろう。
注意されながらも彼女は楽しそうな声色で返事をする。
「次、佐川くん」
「はい」
また、出欠確認は進んでいく。
それからいくつかの連絡が伝えられてホームルームが終わる。
「さあ陸くん!行くよ」
いきなり言われて俺は
「え?どこに?」
と聞き返す。
「移動教室でしょ?次」
そう言えばそうだった。
「デュラ子ー」
クラスメイトの女子が数人近づいてくる。
「よし、みんな一緒に行こう」
教科書を持って移動する。
女子4人+俺。
正直居心地が悪い。
「デュラ子と佐川くんって仲良かったの?」
「そうだよ!」
そうなんだ〜、と女子達。
そうなんだ、と俺。
「一緒の中学校だったとか?」
「ううん、昨日仲良くなった」
[(^ ^)]
何それ、らしいわ〜、と口々に言われている。
仲がいい。
人の顔がわからない俺。
いつまでも人を間違える俺。
そんな風に言ってくれる人が何人いるのだろうか。
たとえ嘘でも。
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