第35話

高校生活3度目の夏

就職や受験や高校野球

いよいよ高校生活も終演だ


村人Aの冒険は

いよいよ社会人編を迎えようとしている


菜々は美容系専門学校に行くと言っていた

さすがに美容は僕には無理だと判断し

僕は就職する事にした


たぶん菜々はこの先

兄とはもう戻らないだろう


専門学校に入り

また新たな彼氏を作り

別れて、また作り、別れて


菜々が疲れた時に

僕はそっと側に居る


それが村人Aの望む人生だ


菜々が結婚しても

おばあちゃんになっても

きっと変わらないだろう


菜々という女の子に出会った時

眩しすぎるその女の子を

僕は危険だと感じた


隣にいてはいけない

近くにいてはいけない

心の中の何かがそう訴えていた


案の定、菜々の隣に居る人は

次々と壊れていった


小学生の時の彼女の親友は

好きな人をとられたと

菜々を虐めようとしたが

逆に仲間はずれになっていた


中学の時の恋人も

顔も性格も完璧な彼女の隣に

胸を張って居座り続けられる

猛者は居なかった


菜々とひと時付き合えたという

勲章を胸に付けたいだけだったり

ダメになっていく自分に疲れて

すぐに去っていった


常に年上からも年下からも

モテ続ける菜々

美人を落とす事がゴールという世界の中を

菜々はたくましく生きた


中学生後半からの親友

葉月夜子は

もうそろそろ限界かなと思う


眩しすぎる人は近いもの全てを焦がす


遠くから見ていないと

何も見えなくなってしまう


悲しい太陽のような菜々

僕だけはずっと

焦がれない距離で側に居る

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