第31話

あの日から1週間ほど経った頃

放課後の渡り廊下で

佐々木健太が声をかけてきた


「葉月さん」


少しうつむいて照れたようにしている


「何?」

私はわざと少し不機嫌に答えた


佐々木は少し尻込みして黙り

一呼吸して言った

「葉月さんはどう思ってるの?」

「何を?」

流石に佐々木は黙ってしまった


何が言いたいのだろう

彼女がいるのにごめんねとか?


こっちだってただの憂さ晴らしだったし

巻き込まれるのは面倒くさいから

何も無かった事にしてたらいいのに


「俺は葉月さんと付き合いたい」


予想外過ぎる言葉が聞こえ

私は佐々木を怪訝そうに見た


その震えるような声と表情で

この人私の事を好きになったんだ

と、すぐに分かった

私は思わぬ展開に頭が真っ白になった


「そんなのダメだよ...」


私はその場から逃げた

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