第28話
こんな静かなグループの村人Aにも
学校の噂は入ってくる
主に隣のお喋り好きの体育会系女子グループから
美術の向井先生と文月菜々が付き合ってるらしい
2人が夜一緒に歩いてるのを見た人がいるらしい
らしいらしいで話はどんどん盛り上がる
村人Aとしては
バレたらクビと退学だな
としか感想がない
全くもって予想してなかった展開だけど
ちょっと動くか...
机からむくりと起きると
黒縁メガネをかけて立ち上がった僕は
美術室にトコトコと歩きだした
美術室のドアを開けると
向井は生徒の作品を品定めする手を止めて
チラッとこちらを振り返った
「あゆむじゃん」
僕は遠慮なく無言で中に入ると
デスク横のソファに深く腰かけた
「どした?」
「噂になってるみたいなんだけど」
また作業の手がピタッと止まる
わかりやすい人だ
「何が?」
「兄さんとうちのクラスの文月菜々」
「...ああ」
長い沈黙に消えそうな声
遠くではしゃぐ男子生徒の声が聞こえる
「菜々を傷つけたら許さないから」
その瞬間、向井は
驚いた顔をして僕を見た
「菜々と...」
僕はその言葉を遮るように
美術室を静かに出た
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