第8話

体育祭や親睦会を経て

このクラスは男女共に仲良くなってきている


不登校で学校を辞めてしまった人も居たけど

いじめが原因という訳でも無く

至って平和だ


菜々は既に5人から告白を受けるも

全てを曖昧にしてやり過ごし

今日も屈託なく笑っている


菜々は中学の時は常に彼氏が居て

上手に甘えていて

いつも守られていたように思う


高校では作らないつもりなんだろうか?


そんな事を菜々の隣で考えながら

葉月夜子は別れた元彼を思い出した


夜子も中学時代は彼氏が常に居たが

菜々のように上手に甘えられず

追いかけすぎて逃げられたり

追われすぎてストーカーをされたり

上手くはいかなかった


最後に別れた時は

夜子の我儘が過ぎて

相手の気持ちを冷めさせてしまった


本当に私を好きになってくれる人なんて

この世にいるんだろうか


私だけをずっと愛して欲しいのは

我儘なんだろうか


もっと上手に甘えたり頼ったり

可愛い女の子になりたいのに

どうして現実は違うのだろう


どうして...


「あの先輩、いつも夜子見てるよね」

「えっ?」


ぼんやりとしながら廊下を歩いていると

菜々が耳打ちしてきた


「あの1番右にいる先輩」


振り返るとニヤッと笑いながら先輩達が

こちらを見ていた

その中で1人だけ私を優しい目で見送る人がいた


「あはっ菜々の方見てるんでしょ」

「いやあの人は違う、夜子見てる」


「へぇー...」


ドキドキした


菜々が隣に居るのに

私を見る人に

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