第9話 広場

 高速道路の高い橋

 すぎる車の排気ガス

 だけどわたしは知っている

 ここはちがった あのころは


 春の光に誘われて

 顔を出してたつくしたち

 しろつめくさの花かんむり

 つくって遊んだこともある


 夏の広場にのびた草

 草のむこうは子どもの世界

 たまに草刈り来たけれど

 まだすぐできた ジャングルが


 夕日の赤い光の中で

 オナモミなげて遊んでた

 何度もつくって遊んだね

 みんなの小さな秘密基地


 こがらしの中 走ったね

 かれ草踏んで凧をあげ

 空にのぼった凧を見て

 喜びあげた笑い声


 金属製の高い塀

 広場の中に入れない

 塀のむこうにあるものは

 きっとトラック ショベルカー


 塀がとられて広場が見えた

 だけど前とはちがってる

 そうだわたしも知っている

 ここはもうすぐ道になる




※あまり始まり感はない詩ですが、自分の最も古い創作ノートの一番古い詩だったので、出して見ようかと。


 昔住んでいた家のすぐそばに、広大な空き地がありました。

 そこは、高速道路の予定地だったのですが、何年もあまり変わらないまま、空き地として遊ぶことができました。かなり古い思い出では、松林もあった。あるとき、塀が建てられ、塀が外されたあとは(こういうことが、何度かあって、急に遊べなくなったわけではない)、たった一本を残して、すべてなくなっていたと思います。

その一本松も、やがてなくなりました。

 今はもう、立派な高速道路となっている場所です。

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はじまりのうた 暁香夏 @AkatsukiKanatsu

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