第3話 鉄槌

とは言え俺自身は正直に言って法を犯す事はしたくない。

だがこうなった以上は...法を犯してでも奴らに...。

そう思いながら俺は歯を食いしばる。

それから俺は天井を見上げてから息を吸って吐いた。


あっという間だなそういう日が過ぎるのは。

翌日になってしまった。

俺は学校に行かなくてはならない。

その為に俺は玄関ドアを開けた。

すると「あれ」と声が。


「用場さん。おはようございます」

「ああ。長友さん。おはようございます」


彼女は...明るめな感じの可愛らしい赤のリボンが目立つ制服を着ている。

俺はその姿を見てから、なるほど、と納得する。

彼女が通っているのは私立の花蜜高校なのだな、と。

近所でも有名な高校だ。


「用場さん?どうされました?」

「...あ、いや。...何でもないよ。可愛いねその制服」

「え?...あ。すいません。可愛いのは可愛いのですが2年間同じ服装だと...何だかもう慣れちゃって」

「そうなんだな」


そう彼女は言いながら嬉しそうな反応を見せる。

その反応に俺は聞いてみる。

「...里島めぐるを知っているか」と。

すると長友さんは「はい。知っていますよ。同級生ですが...どうされました?」と話した。

俺は静かに眉を顰める。


「...いや。すまない。今話した事は忘れて良い」

「ですか?」

「ああ。...すまないな」


俺は苦笑しながら拳を握る。

あの女はのうのうと生活している様だが。

絶対に許さん。

そう思いながら俺は腕時計を見る。


「日直だから行く。すまないな」

「そうなんですか?ちょっと残念です。もうちょっと会話したかったですけどね」

「俺なんかと会話しても楽しくないよ」

「そんな事有りません」


怒る様に真っ直ぐ俺を見る長友さん。

俺は突然の事に「!?」と思っていると長友さんは「そんな事言わないで下さい」と頬を膨らませる。

俺は「...君は優しいね」と少しだけ複雑な感じで言葉に返事をする。


「...じゃあまた放課後に話そうか」

「そう言って下さってありがとうございます。そうですね。折角同じ隣人な感じですから。話をしましょう」

「...気を付けて」

「はい。...用場さんもお気を付けて」


悟られないレベルで俺は怒る。

それからアパートの錆びた階段を降りてから歩いていると「徹」と声がした。

俺は「...」となって無視して歩く。

すると「徹!」と声が張った様な声になる。

だがそれでも無視して歩く。


「ねえ!何で無視するの!」


その声に背後を見る。

そこに里島めぐるが居た。

俺は「ああ。気が付かなかった」と言いながらすっとぼける。

里島は「そんな訳ないでしょ。絶対に気が付いていたよね。何でそんな態度をするの」と怒る。


華奢な顔立ち。

目鼻立ちが整っている少しギャルっぽい陽キャ。

茶色の髪の毛にリボン。

花蜜高校の制服を着ている。


「...」

「ねえ。徹。何かおかしいよ。...昨日も連絡したでしょ。無視したよね」

「おかしいのは俺じゃない」

「え?何?」

「...里島。お前は自分自身で何をしたか知っているか」

「さとしま、って...え?...私?」


里島は考え込む。

それから思い出した様に「...ま、まさか。何で?あの日は貴方は用事があるって。それに声がしなかった」と青ざめる。

何でそれを知っているのか、とそんな態度だ。

俺は怒りを携えたまま「あの日は俺はお前の行動がおかしかったから嘘を吐いた。そして声を潜めていた。お前は用場和彦と性行為をしたな」と睨む。


「...そ、そんな事は...」

「そんな訳あるんだよな。全て知っている。だから俺はあの日から家を出たんだ」

「...徹。...い、一回話さない?」

「話す事は何もない。...俺はお前を捨てる。これから和彦と仲良くして居たら良いじゃないか」

「待って!嘘...その、い、一回だけだよ?マジに。本当に、無いから...」


何を言っているんだ。

俺は愕然とする里島を置いて踵を返して歩き出す。

だが里島はそれでも縋って来た。

「一回話そう!私が悪かったから!お願い!」と言う。

そんな里島に俺はバチンと平手打ちした。


「しつこいんだよ!他人と性行為をしたお前が実際マジに汚らわしいんだよ!!!!!」

「...と、徹...」

「俺はどれだけお前を信じていたか知っているか?まあ徐々にクソだとは思っていたけどな」

「...」


めそめそと情けなく泣き始める里島。

痛みによって泣いている訳じゃ無いのは見て分かる。

俺はその里島を置いてからそのまま歩き出す。


それから天候が悪くなってきて雨が降った。

直ぐに傘を差した。

そして俺は学校に登校してから溜息を吐いていると「やあ」と声がした。

俺はローファーを履き替えているとそこに重松美香(しげまつみか)と...内藤智(ないとうとも)が居た。

2人は女子だが俺の親友だ。


美香の方は凛とした顔をしている割には俺に対しては柔和に接する様な同級生だ。

黒の長髪をしている。

顔立ちは小顔。

美人だと思える顔だ。


智は眼鏡を掛けている。

四角い眼鏡を掛けたボブの頭をしている可愛らしい女の子。

とは言え。

若干だが美男子な感じの顔立ちをしている。


「...おはようさん」

「どしたの?その顔。酷いね」

「そうだね」

「...まあ色々あってな」


俺は今でもじんじん痛む掌を見てから2人に苦笑する。

それから掌を隠す様にして「教室行こうぜ」と笑みを浮かべた。

美香は「だね。まあ今はする事無いし」と言う。

智も「だねぇ」と笑みを浮かべる。


そして俺は怒りを抑えながら。

複雑な感情に揺らぎながら歩き出した。

メラメラと奥で黒い炎が燃えていた。

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お前を寝取ったのは俺の兄だった...だから俺はお前らに復讐してから幸せになる(超改稿版) アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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