第14話 ギャル、襲来
※設定上の理由で玉橋さんの名前を鈴花に変更致しました。
「状況を整理してみよう」
「は、はい!」
「玉橋さんのおっぱいをモミモミしていたら毒の影響が消えました!」
「びっくりですっ」
「おっぱいってすごい。触るだけで解毒効果があるとは知らなかった」
「わ、私も知りませんでした……」
「多分全人類が知らなかっただろうね」
「きっとそうですっ。世紀の大発見です!」
話のノリに合わせてコクコクと頷く玉橋さんが可愛い。
さて、冗談は置いておきまして。
「……マジで、なんで毒の効果が消えたんだろう?」
「やっぱり、江口君のスキルの効果でしょうか?」
「なのかなぁ……。だけど、俺の知っている情報では『スケベ』スキルに治癒や解毒の効果は確認できてないんだよね」
「では他のスキル、ですか?」
「うーん、『絶倫』かなぁ。でもこれにも治癒や解毒の効果は無いハズだけど……」
残るスキルは『デカチ*ポ』だが、さすがにこれで毒は消えないよね。
「要検証、かな?」
「そうですねっ。……検証、が、がんばります!」
玉橋さんがフンスと気合を入れてくれている。
しかしナニをどう頑張ってくれるのだろうか。
俺、とっても気になります。
それはそうと。
「これもなんとかしないとなぁ」
コボルト・アサシンの魔結石を回収してから、戦闘中にうっかり地面へ叩きつけて柄がひしゃげてしまったメイスを拾い上げる。
「昨日も、折れてしまっていましたよね……」
「うん、徘徊者の時にね」
この安全ダンジョンにおいては、壊れた装備はダンジョンを出る時に元通りとなる。
だからまた明日から使う事は可能だ。
だけど2日続けて壊れてしまったという事実は無視できない。
強敵との戦闘中に、ともなれば尚更だ。
「武器、変えようかな。もっと良いのを買わないと」
ならばついでに。
「明日はオフにして武器を新調しに行こうと思うんだけど。玉橋さんの武器も見に行く?剣をやめて別の武器を使いたいんだよね?」
「あ、うぇ、一緒にっ、お出かけですか!?」
「嫌じゃなければだけど……」
「嫌だなんてと、とんでもないですっ!江口君と一緒にお買い物行きたいです!」
こちらとしては何気なく誘ったのだけど、玉橋さんの食いつき具合が想像以上だった。
そんなに武器を変えたかったのかな?
なら良いタイミングで誘えたかな。
「じゃ、明日一緒に行こっか」
「はいっ!」
玉橋さんは今日イチでやる気に満ち溢れた
――――――――――
そして翌日の午前10時15分、待ち合わせ場所である駅前に着いた。
予定の15分前だ。
とりあえず髪を少し整えた上で、服装は無難な感じで。
昨日何気なく誘ったものの、一晩経ってから「あれ、これってデートじゃね?」と思い至り物凄く焦った。
前に姉が見繕ってくれた服があって良かった。
多分変ではないハズ。
ちょっとソワソワしながら玉橋さんを待つ。
少ししてスマホに「もうすぐ着きます」とメッセージが入る。
そして「ごめんなさい!」と続いてきた。
な、なにか問題が……?
その時だ。
「えぐちぃぃいいいすぎおぉぉおおおおおお!!どこだぁぁああああ!!!」
女の子のデカくて元気な声で名前を呼ばれた。
うーん知らない声。
キョロキョロ見渡していると左の方からタッタッタッと駆け寄ってくる音が。
視線を向ければ玉橋さん。
それと知らない女の子も。
背が高めで色白。
髪は金髪ロングにピンクの差し色がとってもオシャレ。
そして玉橋さんに引けを取らないくらいの美人。
ベクトルは違うけど。
なんというか、ザ・ギャルといった雰囲気の人だ。
……追加メンツ?
「出たわねスケベ男!」
「あ、はい」
開口一番、なんて言われよう。
まあ間違ってはいないのだけれど。
「あ、あーちゃんっ。江口君に失礼だよ……?」
「すず、油断は禁物だよ!男なんてスキル使って危険でやらしーことしか考えてないんだから!」
「だから江口君はそんな人じゃないもんっ……」
「すず」は玉橋さんの愛称か。
で、「あーちゃん」がこのギャルさん。
お互いを愛称で呼び合っているということは、仲の良い友達かな?
「えーと、玉橋さん。それとお連れさん。おはようございます」
とりあえずは挨拶。
対人関係の基本だ。
「はい、おはようございます。その、江口君。実は……」
玉橋さん挨拶の後に何か言いかけたところで横槍が入った。
ギャルさんだ。
「アンタが『スケベ』で有名な江口杉男ね!?なーんだ。見た目は普通、というかまあまあ良いじゃない」
なんか貶された後に褒められた……のか?
えっと、初対面ですよね。
こういう時はどうしたらいいんだ。
たしか姉の教えでは……。
「えっと、どうも初めまして。その、そういうあなたは物凄くお綺麗ですよ」
「え、江口君っ!?」
その言葉に妙に反応する玉橋さん。
あれ、とりあえず女の子は褒めろという教えを実行したんだけど、なんかマズったかな?
ギャルさんは少しだけ頬を赤く染めて、眉がピクっと動く。
そして俺をジト目で見つめてくる。
「……すず、見た目に騙されちゃダメ。コイツ別の意味で危険だわ」
「はい。今のはちょっと、ダメです」
なんか2人からマイナス評価を貰った。
なんでや。
ギャルさんはジト目だし玉橋さんは少し不機嫌そうだ。
女の子って難しい……。
「えっと、とりあえず。どちらさまで……?」
「コホン。あたしは
「なるほど。玉橋さんの幼馴染アンド親友さんでしたか」
「……ええ。そして、すずに寄ってくる悪い男を追い払うボディガードよ」
ギャルさん改め千浦さんが俺をビシっと指さしてくる。
おおっと、探索者相手にその行動は……。
中々おもしろそうなキャラの予感。
玉橋さんがため息を吐いて千浦さんの方を向いた。
「あーちゃん。江口君は信頼できる素敵な人ですっ。大丈夫ですってば!」
「ダメ!こいつのスキルの事は隣のクラスのアタシの耳にまで届いてるんだから!」
「スキルで人を判断しちゃだめだって今朝から何度も……」
「そうだけどさー?コイツのスキルはアレだよ?『スケベ』と『絶倫』に、その、デカ……っ」
千浦さん、そのスキル名は無理して言わなくても大丈夫だからね。
「うおっほん。……すずってば一昨日帰ってきてから妙に落ち着きがなくて。たまに妙に色っぽいため息をついたと思えばベッドの上でジタバタしだすし。そんでもって今日は朝から気合入れておめかししてるなー?なんて思ったら……こんな男とパーティー組んでおまけにデートまで!なんということ!」
「あ、あーちゃんっ!?一昨日からの私のことを江口君に全部言わなくてもいいじゃないかなぁ!?」
こんなアタフタしている玉橋さんは初めて見た。
千浦さん相手に素が出てるのかな?
本当に仲がよろしいようで。
「とにかく!私はあーちゃんになんといわれようとも江口君とパーティー組むのはやめないからっ」
「むむ、珍しくすずが頑固……これはやっぱり!?」
千浦さんが俺の全身を舐め回すように見やる。
いやん恥ずかしい。
「この男にホレ……」
「あーちゃん!!!」
「ごめんごめん。言わないよー。……ならばよし、決めた!」
千浦さんが腰に手を当てて宣言する。
「すずに相応しい男かどうか、今日はアンタの事をじーーっくりと見定めさせてもらうからねっ!覚悟の準備をしておいてっ!」
どうやら玉橋さんとパーティーを組み続けるには、この幼馴染さんを突破しないといけないらしい。
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