第34話 旅支度8

僕らは、ギルド連合の建物から郊外へと出る。

農場は、郊外にあるらしい。

農場までは、ギルドの馬車である。

まあ、わかっていたことだが馬は怯えていた。


「おかしいですね、この子たちはいつもしっかり走ってくれるんですが…」


やっぱり、シトゥルに怯えているようだ。

シトゥル、可愛いのになぁ。


「やっぱり、普通の馬では駄目ですね」


彼女が、そう呟いていた。

それは、僕にも理解できた。

馬の挙動はかなりおかしい。

そわそわして、辺りを見回す。

それを繰り返しているから時間がかかっている。


「やっぱりリザード種かなぁ?」

「うーん、個体次第で変わるかもしれません」

「まあ、会ってみてからだね」


僕らは、馬車を降りる。

そして、牧場を案内なさるのだが…やはり、動物たちは怯えている。


「マルコさん、取り敢えずリザード種のいるとこだけで」

「あ、はい。畏まりました。

一番奥のエリアになります」


シトゥルが、少ししょんぼりしている。

頭の上の耳が、しゅんと垂れ下がっている。

尻尾も、心なしか脱力しているように思う。

僕らは、そのまま一番奥のエリアへと向かった。

王都の北方に位置するアディス連峰の麓になるだろう。

王都からは、30分くらいの距離なのだが2時間近くは経っている。

馬車よりも徒歩の方が幾分か早かったかもしれない。

というよりも、多分早いだろう。

ゲーム時代は、馬など使わずに1日100kmは走っていたくらいだし。

だが、ここはゲームじゃない。

似ているけど、別の場所。


「お二方、こちらがリザード種の牧場になります」


大きな金属製の柵に囲まれていた。

ほとんど、檻のようなものである。

ただ、範囲は大きく見渡す限りというほどに雄大な牧場である。

そこには、2足歩行のトカゲが走り回っていた。

リザードランナー…走ることに関しては追随を許さないリザード種である。

取り敢えず、シトゥルに怯える様子はない。


「中へ入って見ますか?」

「はい、お願いします」


僕らは、放牧エリアへと向かうことに。

すると、ドタドタと足音を立ててリザードランナーがやってくる。

僕とマルコは、驚いて身構える。

しかし、実際は…シトゥルに甘えた声で擦り寄っているだけだった。

彼女は、ツルツルとした頭部を撫でる。


「す、凄いですね。

リザードランナーがこんな甘えた声で甘えるだなんて」


キューンキューンとリザードランナーたちは声を発している。

シトゥル、大人気だな。

僕が、そう思っていると彼女が僕に微笑んだ。

たぶん、見透かされている。

そう思った。

僕は、辺りを見渡す。

少し離れたところで、こちらを見ているリザードランナーがいた。

ただ、少し見た目が違う。

僕は、その子に近づく。

少し怯えた様子がある。

見た目は、確かにリザードランナーなのだが真っ白な鳥のような羽毛に覆われている。

少し、シトゥルのドラゴン形態に似ている気がする。


「マルコさん、この子は?」

「ああ、突然変異種の双子の片割れですね」

「片割れ?」

「ええ、もう1匹もちょっと変わっているんですよ」


僕は、その子に触れる。

その子は、びくっと強張らせる。

僕は、優しく頬を撫でる。

温かい。

リザード種にしては温かいと感じた。

羽毛のようなものに囲まれているからだろうか。

やがて、その子はキューンキューンとシトゥルに甘えるリザードランナーと同じ声を発した。


「ヒジリさま、凄いですね。

その子に懐かれるなんて」

「え?」


そうして、撫でていると横から衝撃が襲う。

僕の身体が、宙に浮く。

おお、空が見える。

僕は、身体を捻る着地をする。

軽業師みたいなことができるようになっているな。

ステータスってすごいな。

ダメージも特にないし。

僕は、視線を突き飛ばした張本人に向ける。

銀色の羽毛のあるリザードランナーだった。

たぶん、この子が白い子の片割れなんだろう。


「ご主人様、大丈夫ですか?」


シトゥルが、僕に駆け寄ってきた。

彼女の周りにいたリザードランナーは近づいてきてはいない。


「ああ、大丈夫だよ。

痛みもないから。

それにしても…あの2匹でどうかな?」

「ええ、いいと思います」

「じゃあ、銀色の子を説得しないとな」


僕は、銀色の子にゆっくり近づいていく。

すると、果敢に僕へと頭を突き出して走り寄ってくる。

僕は、足に力を入れて踏ん張る。

だが、後ろに吹き飛ばされてしまう。

そんな、僕を見ながらシトゥルは白い子へと近づいて行っていた。


「どうした。そんなものか?」


僕は、銀色の子を挑発する。

それと共に、突っ込んでくる。

そして、僕は後方に吹き飛ばされる。

だが、痛みはない。

寧ろ、契約神の作った防具の性能が凄いのだろうな。

絶対防御力+1とかありえない。

数値隠蔽してるだろう。

僕は、密かにスキルを発動する。

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宮前 聖


レベル1【封印】

HP 1010

MP 1010

攻撃 101+2?(1?)

防御 101+9?

器用 101

敏捷 101

魔力 101

幸運 101


武器(左)???の牙 攻撃+1?

武器(右) ???の角(脇差)攻撃+1?

武器 ???のクロスボウ 攻撃+1?


防具 ???のシャツ 防御+1?

防具 ???のズボン 防御+1?

防具 ???のアームブレイサー防御+1?

防具 ???の外套 防御+1?

防具 ???のブレストアーマー 防御+1?

防具 ???のウェストバッグ 防御+1?

防具 ???のブーツ 防御+1?

防具 ???の手袋 防御+1?

防具 ???のウェストポーチ(ベルト)防御+1?

装飾 鑑定眼鏡(?)


称号 異世界人、邪神に呪われし者、帰還者


スキル 気配察知、身体強化、アサシン、盗賊

→スキルはゲーム時代の物を継承、元々アサシン系列のスキル持ち。

→インスタンスダンジョンでは使用不可になっていた。

→プレイヤースキルで気配察知がインスタンスダンジョンでできるようになっていたのは、元々素養があったため

→ゲーム時代は、斥候役

→アサシンスキルは、気配を遮断するアクティブスキル、足音を消すアクティブスキル、歩法・走法を補助するパッシブ、影魔法などを内包している複合スキル

→盗賊スキルは、罠作成、罠設置、罠解除、開錠、お宝サーチなどのアクティブスキルを内包する複合スキル

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