第32話 旅支度6
会議室のような部屋から僕らも退室した。
「それでは、馬車の売り場へ向かいましょう。
どうぞ、こちらです」
僕らは、会議室の奥の通路を歩いていく。
すると、すぐに階下に続く階段が現れる。
コストコみたいなとは、僕としてもよく言ったものだと思った。
階下へと降りていくと階下の風景が広がっていく。
大きなマーケット…かなり大きい。
「どういった馬車がお好みでしょうか?」
「そうですね、幌がいいかなぁ」
「幌馬車ですね…それでしたら外になりますね」
マーケットには、箱馬車が置かれていた。
「幌馬車は展開もしているので、外で展示しているんですよ。
行商などするご予定はありますか?」
「そうですね、一応しようかとは思っています」
「それでしたら、収納ができるタイプもありますので」
外へと出るであろうドアをキアナが開ける。
眩しい光が入り込んで、目が眩む。
やがて、目が慣れてくると中古車販売店のような並びで馬車が並んでいた。
「中古の物も取り揃えています」
中古。この場合は、引退かリタイアなのか。
でも、事故車はやだなぁ。
なんか気分的に。
折角シトゥルと2人っきりなのに別のモノがいたら嫌だし。
「出来たら新車がいいかな」
「畏まりました…あ、すいません。
私、これから別件がありました」
「あ、そうなんですね。
僕らは、ゆっくり見ていきますので」
「では、売り場の担当者に伝えておきますので、ではこれで」
キアナは、僕らの前から離れていった。
僕らは、僕らのペースで見ていく。
馬車には…車屋のように金額と機能が書かれた紙がつけられていた。
「シトゥル、どう思う?」
「そうですね、一応私達にはあるわけですし…でも、偽造は必要ですよね」
確かに、ストレージカードの偽造もしないといけないな。
「じゃあ、収納があって冷蔵とかもあるほうがいいかな?」
「冷蔵…確かに、そうすればいろいろな物を行商できるかもしれませんね」
「果物とかできたら儲けそうだよね」
「そうですね、ではこれなどどうでしょうか」
シトゥルが、指を差したのは少し大きめの幌馬車だった。
車体は、僕の胸くらいの高さにある。
紙には、収納あり、冷蔵機能あり、空間拡張ありなどが書かれている。
足回りは、スプリングにサスペンションがある。
割と、文明レベルが高いのかな。
だが金額は、1,000,000リジェとなっている。
「結構な金額だね、設備はかなりいいと思うけど」
「これでしたら中で宿泊も可能かもしれませんし、旅にはいいと思います。
それに、これくらいでしたら商業ギルドも出してくれると思います」
シトゥルは、真剣な眼差しで…いや、妖しげな眼差しで僕に言った。
ちょっと怖いな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます