全てはここから始まった
マジかいな
先ほど出てきたのは俺の声ではなかった。
俺はいま激しく困惑している。
まずこの状況だ、見知らぬ人の部屋にいる。
そして次の俺の声だ。
俺の声は低いというほどではないが、普通の高校生男子の声であるはずだ。
しかしさっき出た声は可愛らしい、明らかに男子の声ではないだろうものだ。(声が高い男子も勿論いるだろうが)
この状況をどう捉えればいいのだろう。
とりあえずこういう時は鏡を見に行くのが普通か?
俺は視線がいつもより低いことに気づき、おそらくそうであろう現実を受け止めたくないと思いながら洗面所へ行った。
洗面所の場所は身体が覚えているのか特に迷うこともなく向かうことができた。
そして俺は鏡を見、どうしようもない現実を悟った。
うん、どこからどう見ても女子だ。
俺は男子だったはずなのだが、今の体は完全に女子のものだ。
これはどういった状況だ?
こういった状況のことを小説などではなんといったっけな……
忘れた……
でも本当にこの状況、どうすればいいのか何もわからない。
でも俺がこの体を今使うことができているということは元々この体にいたはずであろう少女の意識はどこへ行ってしまったのだろう。
もう何も分からない!
ここで俺の意識は急に途切れた。
◆◆◆ (side???)
なんで私はここにいるんだろう。昨日自分の部屋で寝たはずなのに。
私の部屋は2階でここは1階だ。
寝ぼけてたとしても流石に下の階にまでには来ないと思う。
私の中に誰かがいるかもしれない。
そんなわけないと思いながらも心の奥底ではそうではないかと思ってしまっていた。
お母さんに相談するべきだろうか。でも相談しても真剣に向き合ってくれることはないだろう。
この家は基本的に放任主義だから……
お父さん(あんなやつをお父さんとは言いたくないが)はこの家にいない。
とっくにお母さんとは離婚している。
昔はお母さんも私の事を大事にしてくれてたのに、あいつのせいで変わってしまった。
でも放任主義だから基本的には何をしてもいい。
またこういう事があったら病院に行けばいいだろう。
とりあえず今日は学校に行こう。
学校が始まるのが8時で今は6時30分、後30分のうちに準備をしないと……
私は久しぶりに頭の傷を見た。幼い頃にトラックに轢かれかけた時にできた傷だ。
あの時、私は助かったが、私を助けようとしてくれた男の人がトラックに轢かれてしまい、亡くなったらしい。
救ってもらったこの身、大事にして生きていかなければならない。
なるべく病気になることもなく元気に過ごしていたい。
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