1人のVtuberと支える俺の話

プロローグ

プロローグ

　今日も退屈な1日が始まる。

　そして、今日もいつものように家を出て、いつものように学校へ行って、そしていつものように家に帰るんだ。

　家を出た時の俺はそう思っていた。

　しかしこの後、俺が自分の家に帰ってくる事は永遠になかった。

　一体何があったかって？

　別に家がなくなったわけじゃない。

　あくまでも俺が家に帰ってくることはもうなかったという話だ。

　他の家族は何事もなく家に帰ってこれているだろう。

　……ここまで言ったら察せるはずだ。

　俺が死んだということを。

　そう、俺は通学中にトラックに轢かれそして死んだ。

　はずだったのに、何故か意識がまだある。

　とはいえ、意識があると言っても病院のベットの上では無さそうだし、それどころか一筋の光さえ見えない。

　ただ、なにもない暗闇に1人で立っているだけだ。

　いや、今は体の感覚すらもないので立っているかどうかも分からない。

　俺の今の状態はこんなものだ。

　何故トラックに轢かれたかって？

　それを一言で表すのなら、

『トラックに轢かれそうになっていた少女を助けた』からだ。

　ただ、一言だけじゃ状況が分かりにくいから、一応詳細な説明もしておく。

　それは、横断歩道で信号を待っている時に起こった。

　何を思ったのか、俺の前にいた少女が急に赤信号の横断歩道に向かって駆け出していた。

　そして、少女には運の悪いことにスピードを出しているトラックが迫ってきていた。

　そして、次の瞬間には考えるよりも先に体が動いてしまい、俺は駆け出していた。

　そこからは一瞬だった。

　少女をトラックに轢かれる直前に突き飛ばし、そのすぐ後に俺はトラックに轢かれた。

　何故自分があんなことをしたのかいまだに分からない。

　いつも俺なら怖くて一歩も踏み出せなかっただろうのに、何故かあの時は一歩踏み出すどころか走って飛び出せたのだから。

　轢かれた時には俺の身体中に凄まじい衝撃が走った。

　しっかりと聞いた訳ではないが、身の毛がよだつような音がしたように思う。

　二度とあんな体験はしたくない。

　それにしても、トラックに轢かれそうな少女を助けて、逆自分が轢かれてしまう、なんて世界転生系の小説とかでありそうだ。

　異世界転生なんて一度も憧れたことすらないが、実際してみると心が踊るものなのだろうか……？

　いや、絶対にないな。

　心が踊る気がしない。

　それにしても何も見えない。

　何も感じない。

　流石にここまで来ると気がどうかしそうだ。

　この、まるで永遠に水の中へ沈んでいるかのような感覚。

　どんなに神経がタフな人間でもこれはキツイだろう。

　何かを考えていないと本当に気が狂ってしまう。

　かと言ってずっと何かを考え続けられるほど俺の頭の容量は多くない。

　仮にこれが異世界転生だとするならば、おそらくいるであろう神に文句を言いたい。

　こんな苦しい異世界転生があってたまるか！

　……冗談抜きでこの状態はキツい。

　いや、本当に。

　そう思っていた時だった。

　急に視界が開け、目の前に光が広がった。

　長時間光を見ていなかったせいなのか、目がぼやけて周りがよく見えない。

　少しの間、目を光に慣らしてみる。

　そして、目が慣れた段階で周りを見渡す。

　目に映ったのは何一つ知らない部屋だった。

「は？」

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　難しい、やっぱり1話目でどう引き込むかが難しい。

　よろしければ応援やレビュー、小説のフォローをしてくださると助かります。

　10話くらいからアクセルかかる……はず。

2024／11／21 一部表現を修正