第9話 ツンツンなあの子と体育祭(準備)

「なんか9月に体育祭って変わってる気がするの俺だけ?」

「まぁ...確かにな」


健太の言ったとおりだ。この学校の体育祭は9月、文化祭が11月だ。


「冬流は結構足早いから、リレー頑張れよ...」

「いや、分からんだろ、この前の体育見た感じ、結構走れる奴いたぞ?」

「いやいやいや...小中とリレーの選手やっといて高校でやらないわけ無いだろ」

「それは...まぁ変な気はするが...注目されるのはあんまり好きじゃない」


そんな事を言うと、健太に緊急だったといえど、皆の前でお姫様抱っこしたのを言われる。


「その話、結構恥ずかしいからやめてくれ。」

「恥ずかしがり屋さんだなぁ...」

「一回殴っていいか?」

「ご、ごめんごめん」


冗談だったが意外と本気に受け取ったらしい。


「特に変わった競技はなかったよな?借り物競争があるのには驚いたけど」

「確かにな、変なお題無いといいけど。」

「お題が好きな人とかだったらガチやばいよな。」

「それだけはやめてほしいよな。」


そんなことを話しながら二人で作った飾りを壁に掛ける。


「うし、結構いい出来だな。」

「だな。こんなに上手くいくとは思ってなかった。」

「冬流不器用だしな。」

「不器用じゃないが?」


色んな飾りが飾ってあるところに、愛が来る。


「お、愛。」

「あ、冬流...」


待て待て?なんか気まずそうな顔してる...やっぱりお姫様抱っこは嫌だったか...


「結構綺麗にできてんね。」

「俺と冬流で頑張ったからな!」

「お前喋ってただけだろ」


喋っていただけのくせに俺もやりました感を出す健太にツッコミを入れる。


「ぷっ...あははっ」

「「え?」」

「あんた達、仲良いんだね」

「お、おう...」


そんな事を言いながら、自分の持ち場に戻っていく愛。


「愛!」

「ん、何?」

「体育祭、頑張ろうな、あと、また倒れないように気をつけろよ」

「分かってるって」


愛も結構喋ってくれるようになったな...キモいとか言われなくてよかった。

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