第6話 ツンツンなあの子が熱中症?

「あっつ...」

「それな...30℃はやばいわ...」

「この気温の中体育...死人が出そうだな」


額の汗をぬぐいながらもそんな会話を健太と交わす。


「長距離走嫌いなんだよな~」

「お前サッカーやってるんだし、長く走れた方が良いんじゃないの?」

「サッカーと長距離走は違う、勘違いするなよ、いいな?」

「顔は笑ってるのに目が笑ってない...冬流怖い。」


体育教師の合図で何人かが同時に走り出す。

できれば適当に済ましたい所だが、早く木陰に行って休みたいので少しペースを上げる。


「おし、やっと終わった...」

「あっつ~、マジ死ぬ...」


健太と木陰に行き水分補給をする。


「次は女子だっけか?」

「らしいな~。んで?あの隣の女子とはどうなんだよ~」

「別に?普通だよ」

「とか言って~、実は付き合ってるとか~...」


健太に無言で圧をかけ、グラウンドに視線を戻す、と。


「ん?誰か倒れて...?」


健太がそう発するのと同時に俺の足は動いていた。

太陽光のせいで上手く顔が見えなかったが、意識は無いのが分かった。


「少し我慢してくれよ...」

「「「「うぉぉぉぉ!」」」」


周りから歓声が上がる。その理由は俺が女子を運ぶために所謂『お姫様抱っこ』というものをしたからだ。


「先生居ますか?多分熱中症だと思うんですけど...って居ないな...」


保健室の扉を開け、近くのベッドに寝かせる。

その時気づいた。俺が運んでいた女子が愛だという事に。


「愛だったのか...と、とにかく何か冷やすもの...」


多分いじってはいけないであろう冷蔵庫を開け、中から氷を出し愛の頭にそっと乗せる。


「これで少しは...ってクラス全員の前でお姫様抱っことか...何やってんだ俺!?愛に嫌われてるのに更に嫌われるじゃんこれ!?!?!?」


内心めちゃめちゃ焦っているが、緊急時だし仕方がなかったと結論付け落ち着く。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

第6話です!

前話の時から少し時間が進みました!

これからも読んでいただけると嬉しいです!

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