記憶の断片 怒りの拳
私は雨の降る公園に立っていた。目の前にはビリビリに破られたキャンパスを
持った少女がびしょびしょになりながらもベンチに座っていた。
…俯いた彼女の顔は見えないが、私はその顔が絶望に暮れ、
悲しみに暮れている事を知っている。
「……なんで、なんで止めなかったの……?」
そう言う彼女の声は震えていた。
「なんで止めなかったんだよ…!!ママとパパが離れるのを!!!」
彼女は急に立ち上がり、私の顔を一発、また一発と殴る。
「お前が…一番分かってんだろ!?アイツらに離れてほしくないのはお前だって!!自分の夢のために離れてほしくないって」
そう強く言われながら、殴られながらも私は反撃する。
「わ…分かってんだよ!!!」
私はすかさずカウンターをかます。
「アイツら居なくなりゃ大学行けんし、一人で生活することすら
危うくなるくらいこと!!けどしゃあねぇよ…!
アイツら、私の事何て今まで見向きもしなかったんだからなぁ、
ざまねぇよ。バーカ」
しかし、相手もやられっぱなしではなく、すかさずカウンターをかましてきた。
「何が大丈夫だ…!あのクソ女に友達という甘い蜜の誘われて
こき使われた挙句、結局一人ぼっちになって、親からも見捨てられて…
…私はこれからどうやって生きていきゃあいいんだよぉチクショオォ!!!」
「知るかヨォォ…!」
私と彼女はそのまま取っ組み合いになり、私は彼女に押し倒された
その時の彼女の顔は、見てられないくらいグシャグシャだった。
「もう人生なんてどうでも良い…!絵を描くなんてことどうでも良い…!
私は生きることすらも疲れたんだよ、自分のために生きることすらも許されない
友達を作ることすら許されない……私はそんな星に生まれた出来損ないなんだよ」
そう言う彼女はとどめの一発と言わんばかりに私の顔面にごぶしを振り下ろした。
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