記憶の断片 雨空色のキャンパス

 私は、とある学校の教室で目覚めた。


 どうやら私は教室の後ろに立っている状態らしい。

 だけれど、相変わらず真っ白な世界だ…


 どうやら今は休み時間らしい、クラスでは男子や女子がグループを作って

 ご飯を食べている。みんな楽しそうだ…


 しかし、その中でも一人、ご飯も食べずに一人で席に座って何かをしている

 がいる。


 もしや、と思った私はその子に声をかける


「あのっ……!?」

 その子は私に気づく事なく、しきりに絵を描いていた。


 青い空と白い雲の絵だ。何の変哲もない青空と雲、そしてテキトーに書いたで

 あろう周りの風景。

 それを下手くそに、だけど丁寧に絵の具を使って、描いていた…

 …誰にも気づかれずに


 ただそれだけのはずなのに、後ろで見ていたはずの私は、涙が止まらなかった。


「水彩画…好きだったなぁ…私……」




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