記憶の断片 孤独の少女

「ハッ…!」


 ここは…何なの!?


 私はとある公園のベンチに寝転がっていた。

 しかし、何かがおかしい……


 色が…無い


 世界が色を失ったようにまっ白なのだ。公園周りのアスファルトの色も、空の色も

 全て真っ白。


 どうして…私はさっきまで神社の境内にいたはずじゃ…

 きっと、あの鏡が原因なんだろうけど…でも、どうしよう


 私が途方に暮れながらも、ベンチから立ち上がると

 砂場に一人の女の子がいるではないか…


 私は怪しいと思いつつも、その子に咄嗟に話しかける。

「ねぇ…何してるの?」


「……砂遊び」


「そっか…でも、親御さんがみえないけど、一人で遊んで大丈夫なの?」


「お母さんは私の事見てくれないから、良いんだ…一人でも」


「友達は?」


「私と話してくれる人なんて、あなたくらいよ」

 何故だろう…自分からこの子のことを聞くたびに、胸が苦しくなる。

 もうこれ以上はダメなのに…口が止まらない…!


「お母さんはきっとあなたの事を見てくれているよ!!だから…大丈夫だよ」





「お前に何がわかる」

「へ?」


「親とも打ち解けず、友達も作らず、一人で生きていたお前に何がわかる」


「何を言って…」


「あぁそうか、気づいていないのか…」

 そう言って女の子はこちらを振り向く




「俺は、お前だ…」


 そういう彼女の目は真っ暗だった




 私の意識はそこで途切れた









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