煙突

 非常階段を登ると屋上に出た。


 開けた屋上の周りには落下防止用の防護柵が立ててあり、その中央にそびえ立つように、それはあった。


「これが、

 ここから水虫が……


 しかし、不思議なことに煙突自体は特別なものといったわけではなく、

 一般的な病院にもある、病院の冷暖房用の

 それがなぜ黒い雲を生み出す元凶となっているのか……


 まぁいい…煙突が元凶であることには間違いない、これを爆破すれば、

 黒い雲も消えるだろう。


 俺が爆弾を煙突のそばに設置した、その時だった……


「ミイィィツケェェタァァ…ヨォォミィィィィ…!!」


「しまっ……」


 俺は後ろから、ソレの触手に捕まってしまった。


 完全に油断していた。どうする…!!俺は絶対、アイツらの元に戻らない

 と行けないのに!!


 俺はこの状況を打破するために必死に頭を回転させる……

 …だが

 俺を捕まえたはずのやつの動きが……完全に…止まったのだ。


 どうゆうことだ???


 ソレは微動だにしないまま動かない、かと思われた次の瞬間!!


「ヨォォミィィィィじゃ無い……イラァァナァァイ」

 ソレは間違いなく、そう言葉を発したのだ

 そして次の瞬間、俺を思いっきり放り投げた。



「うおぉぉぉ!やべぇぇ!!!」


 宙に放り出された俺は、無我夢中で必死に手を伸ばし、屋上の防護柵をかろうじて

 掴んだ。


「ヨァァァミィィィィ………!!!」

 ソレは勢いよく叫び出し、体からは何やらのようなものを出し続けている。



 ……全てが、繋がった。ボイラーと思わしき煙突から出る黒い雲、

 病院の中にいたソレ、ソレから出る黒い煙……

 


 ソレは掠れた音で叫び続け、黒い煙は段々と空へと上がっていく


 急がないと黒い煙から水虫が降ってくる!!

 そして何より、俺の設置した爆弾は

 このままだとソレと一緒に、俺まで吹き飛ばされちまう!!


 俺は下を見下ろす。もちろん俺を支えてくれるは…無い

 少し前方を見ると、駐車場に俺を待ってくれている二人がいる車がある。


 あそこまで行けば……!


 しかし、どうやらタイムオーバーだったようだ。俺はまばゆい閃光と共に、

 空中へと吹き飛ばされてしまうのだった。













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