ソレ

「…何だ一体…!あんなの見たことねぇぞ……!!」


 俺は水虫とも違う何かに遭遇していた


「……大丈夫なの!?危なくなったら戻ってきてね、あと雲が発生するまで

 だから…!!!」


「あぁ…分かった…!!あとで連絡する」



 一旦落ち着こう……現在俺がいるのは2階の階段近くにある

 

 そして、ソレがいるのはナースステーションから伸びている通路の先だ。

 音の距離からして、ここから10は離れているだろう…

 あの化け物の、反対側の通路の先にある非常階段を目指さねば……

 …時間がない!!


 それにしても、さっきから化け物と直面した時に妙な違和感を感じた。

 何故ソレは俺と鉢合わせた時にのだろう……

 気づいてなかったという可能性も無きにしもあらずだが……


 俺はおそるおそる廊下へと顔を覗かせる…と、

 ソレは無数に生えた触手をウネウネと床や天井や壁に這いずらせていた。


 ……待てよ、とピンときた俺は試しに非常食として持ってきたカンパンを

 ソレに向かって放り投げる。


 カンパンが砕ける音がし、ソレの目の前に粉々になって落ちた

 ソレは落ちたカンパンに無反応なままかと思われた…が、

 触手の一部をカンパンに伸ばし始めたと思った瞬間、急に一斉に触手を伸ばし、

 カンパンを捕食し始めたのだ。


 やはりな…奴は耳や目を持たない代わりに、触手により振動を捉えたり、味覚を感じたりする事ができるのか…まるでアリのツノみたいだ…


 この特徴をうまく使えば、反対側に行けるかもしれない……


 ----ー


 俺はバックの中のカンパンの缶の中身を全てバッグの中に移し替え、カラの缶に

 瓦礫を詰め込んで、中身が出ないように栓をした。


 近距離でカンパンの割れる音でも反応したんだったら、これでも行けるはず……!


 俺はソレがいる方向とは逆の方向、缶を投げる。


 ガゴン!!!ゴロゴロゴロと缶は大きな音を立てて勢いよく転がり、

 階段の方へと向かっていった。

 そして、その振動はソレにも伝わ流ようで、


「ダレェカァイルンォオ〜〜!!?」

 と絶叫をし、ソレは階段の方へと勢いよく走っていった


 今だ…!


 俺は振動を立てないように、早歩きでナースステーションを出て、一目散に非常階段へと向かう


 そして……俺は自分の勝利をソレに見せつけるかのように、化け物に向かって思いっきりと腕を突き出し、盛大なガッツポーズをしたのだった。







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