車内にて

 彼が病院に入ってから間も無く二十分が経過しようとしている

 この世界でも太陽が上に上がり、もう時期昼の時間となる頃だ。


「ねえね」


「うん?」


「にいにはすぐ帰ってくるよね?…ね?」

 ミヨちゃんはというとさっきから急にソワソワし始めた。


 無理もない…この世界に来てからこの子親の代わりとして一番近くにいたのが彼だ。

 その彼が、戻って来れるかも分からない、未知の場所に足を踏み入れようと

 している…


 そう思うとみたいに自分の不甲斐なさと

 彼への心配で息をすることすらも忘れる。


「大丈夫…にいにはきっと帰ってくるよ

 にいには………強いもん、だから大丈夫だよ、大丈夫、だから…ね」


「……」

 私は言葉を必死に振り絞るだけで精一杯だった

 今は彼の無事を祈る事しかできない…!!


 と、その時彼からの通信があった

 私は半泣きになりながらも、トランシーバーを必死に握る

「……こちら……コード0…できるだけ静かな声で話してくれ、

 2階へ到着したが、一つ問題がある…やべぇのと目の前で鉢合わせちまった。

 居るんだよ…」


「ぶ、無事だったのね……よかったぁ……居るって、何が?もしかして、

 水虫!!?」


「いや、水虫じゃない…だが、もっとヤバいのってのは分かる」


 ----ー

 俺はに見つからないよう隠れながら、小さな音で彼女との通信を続けていた…


 ソレの姿を見た俺は、あまりの恐怖に逃げ出そうとしてしまったが、

 何とか持ち堪える事ができた。


 ソレは2階の病室の中から現れ、体調が2メートルほどの赤く染まった体、下半身が膨らみ、中から触手のようなものが無数本飛び出している。そして


「ヨォォァァミィィィィ」

 と叫んでいた


 とてもこの世のものとは思わしきものであった。


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