出会い

「すみません急に話しかけてしまって…これでも飲んでぜひ落ち着いてください」


「ど、どうも」

 私はペットボトルのお茶を受け取ると一気に飲み干し、腰を抜かしたようにベンチ

 に座る。


「落ち着いたようで良かったです…ミヨがこっちに行きたいと言いだすので、

 一体何があるのかと思いましたが…まさか、同世代の女の子が

 来ていたとは…とにかくミヨ以外の人に初めて会えたので嬉しいです!!」


「いえいえ、どうも…ミヨ?その子の名前??それにこちらで初めて会うのが

 私って???」

 力が抜け、深く言及する気力も無くなった私はおうむ返しのように聞き返した。



「そうです…この子の名前はミヨといいます。僕たちはおそらく、貴方と同じように

 にやってきました」


「あぁ…やっぱりだ」

 ここに来てからずっと感じた違和感、まるで自分だけがこの世界の異物になったような感覚。

 この世界は私が記憶を失う前に住んでいた世界とは違う…!


 雲によってできた影が私たちを落とした

 ----


 それから私は、彼とミヨちゃんのことについて色々なことを聞いた。

 彼は私と同じく数ヶ月前にこの公園で私と同じように目覚め、

 その後、砂場に倒れているミヨちゃんという女の子を見つけ、自分のお母さんを探しているということ。

 彼は、自分の名前や帰る場所など、自分に関するをなくしていること。

 そして自分は、自身の記憶と元の世界に変える方法を見つけることと、ミヨちゃんのお母さんを見つけるためにこの世界についてずっと調べて続けていることを知った。


「ミヨは僕がここに来てから、数ヶ月前からずっと面倒を見ていますが、この子についての手がかりが分かるどころか…自分についてのことすらわからないし、今だに大きな進展はありません。この街を駆け回ってこれを作るのが精一杯でしたよ…」

 と言うと彼はバサっとツギハギだらけの紙の地図を出した。



「今いる場所の公園は住宅街の中心にあり、その四方を大きな

 囲まれています。それでですね…ここから東側の道路の向かいに僕たちが

 テリトリーにしている大型デパートがあります。そこは食料もあり、比較的安全なので貴方もここに来てもらいましょう」


 実際私も自分の記憶を全て失っていているし、一人で行動はここにいても何もならないから、やはり行くに限るだろう

 それにしても、安全地帯なんて言いまわしが妙に気になるが…


 と思ったその時だった

「雨が…降る……」

 それまで一言も言葉を発しなかったミヨちゃんがポツリと呟いた

「ミヨ!!本当か?!マズイな…貴方も走ってください!早く!!」


 彼が鬼気迫る様子で叫ぶ


「う、うん」

 私は彼はミヨを抱えた彼に続き無我夢中で走った


 走りながらふと、後ろを振り返ると…白い雲を押し分けるように

 真っ黒な雲がこちらに迫ってきていた。














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