第4話 瓶詰の告白 2枚目、疫病と愚痴
四六時中監視された気がしながら生活する私は人の考えが読むのがうまかったのか、未来予知のように三秒先の見えた生活でした。なにか話せば誰がなんと返すか、手に取るように分かるのです。その内、頭の中の自分の声に誰かが返信する、そんな幻聴ではないのですが想像からくる声が友達の声などでよく聞こえるようになりました。声が自然と聞こえる日は最悪です、私が何か失敗すれば、それで間違えるのか、と嘲笑う声が聞こえるのですから。
ただ聞こえる声は意識すれば操作することが出来て、慣れてくると案外楽しいものです。なんせどんな有名人とも性格を真似した人格と話せます。
私の年齢がわかってしまいますが、私が小学校の5、6年生の時、世界を疫病が襲いました。わざわざ名前は出しませんがあの疫病です。連日、頭がおかしくなるほど毎日毎日、飽きもせず感染者数を報告される日々で、(今ではめっきり某野球選手ですが)学校行事だってどんどんと潰れてました。まるで戦時中のようでした。体育祭も文化祭も、潰れました。結局、卒業しても中学校の行事が本当はどんなものなのか、よくわかりませんでした。でもいいのです、私は行事なんてちっとも好きではなく、ただ周りに合わせて、楽しい振りする時間でしたし、運動にも何も魅力を感じません。そのため最近、疫病の代わりのごとく繁殖した、甲で非常に高尚な競技を、少なくとも丙以下の平民ように書いてしまいました。(私はなんて性格が悪いのでしょう)
私には黒死病が流行っていたとき、映画のように騒ぎ立て、一人感染したくらいでお祭り騒ぎしていた時代が懐かしく、過去に囚われ、私は未だマスクをつけて生活しています。本当の理由ではないでしょうけれど。
一つ愚痴を吐いたら、どんどんこの紙に詰め込んで日常の小さな黒をここに移してしまいたくなりました。まずは……政治家でしょうか、なぜあんなにも痴人ばっかりお金を貰えるのでしょう、あの老人たちの睡眠と汚職に一体いくらの価値があるのでしょう。もっとも私が言えることではありません。私は人間失格、ろくでない人間ですから。
他にも、これが誰にも読まれないと願いながら書きます。ほかにも私は報道機関にも疑念感を抱いています。彼らが息巻いて必死に訴えかけることは何でしょうか、ただの揚げ足取りではないでしょうか。ただ同じことを繰り返すだけでしょう。知って何の特に問題ならない事ばかり繰り返します、偏った考えで報道している気もします。羅馬時代でしたら、見せ物として皇帝が出てくる程の見せ物でしょうが、今は彼らがしきりに作ろうと躍起になる、健全で文明的な現代(私は自分の生きる時代を現代と言うのが好きでありません)なのでしょう。彼らはただの流行好きなのです。自分たちが中心で、自分という個人が世間だと、世間の代表だと、愚かな国民に啓蒙してやろうと考えている、傲慢な賢者ではありませんか。勿論、私だって自分の事を棚上げしてます、論理だって偏ります、流行も追う、追わねばなりません。所詮、私たちはただの人間なのでしょうか。
悲しいですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます