第12話 無茶振りはNGで
「あーーもう!!どうすんだよ青柳!!これじゃ放送事故だぞ!」
「え、私のせいですか!?」
「お前のせいに決まってんだろ!」
「でもしょうがないくないですかー?」
「開き直るな!」
間宮の渾身の一撃が青柳を襲う。
「痛ーい!!……今のは愛が無いやつだ〜〜」
涙を浮かべわんわんとあからさまに泣きじゃくりながら訴える青柳。
「当たり前だろ」
だがそんな様子を気にする事なく頭を抱える間宮。
「……こうなったら仕方ない。奥の手だ」
「奥の手?」
「ああ。言い方を変えれば賭けとも言う」
間宮が意を決して向かった先にいたのは。
「え、」
「槇乃。お前がアイツの代わりにステージに立て!」
「え!?」
こんな事全く予想もしていなかった槇乃は慌てふためく。
「いやいや、無理ですよ!」
「無理じゃない。確かお前元々アイドル志望だったよな?」
「え、まぁ、それはそうですけど……」
「曲はこっちでなんかとする。だからなんでもいいから一曲、皆の前で歌って踊れ!!」
「無理です、無理です、無理ですって!!」
頑なに首を振り断り続ける槇乃。
「大丈夫だって、お前ならなんとか出来る!!」
「勝手なこと言わないでください」
「そこをなんとかしてくれ。お前に番組の存続がかかってるんだよ!」
「だからって……無理なもんは無理ですよ!!」
「なんでだ!」
「間宮さん知ってますよね。私がアドリブ弱いこと。台本に書いてない事は私全く出来ないって」
「なるほど!だからまおおにいさんがアドリブで喋ったときに機嫌が悪かったんですねー」
青柳の中で今まで疑問になっていた槇乃の行動に納得がいく。
「大丈夫だって。お前ならなんとかできる!今まで神道の陰に隠れてたお前が前に出る千載一遇のチャンスなんだぞ!?」
「それは……そうだけど……無理なもんは無理なんです!!」
心の叫びが終わると遂に槇乃は亀のように丸くなってしまった。
「お、おい、槇乃?」
声をかけるが全く返事は返ってこない。
「なんだか、可愛いですね〜」
亀のように丸々槇乃を見てほのぼのする青柳。
「呑気なこと言ってる場合じゃないんだよ!そんな暇があったらな、お前も説得するの手伝え!」
「あ、はい!」
青柳や周囲のスタッフ達も説得に加わり声をかけ続けるが全く聞く耳を持つ様子はない。
「…間宮!ここ頼んだわよ!」
「え、ちょっと、プロデューサー!?」
そんな様子に見かねた霧島は全てを間宮に託しスタジオから走り去っていく。
「もしかして霧島さん逃げた?」
「え、嘘だろーー!?」
青柳の心ないストレートな一言が間宮を絶叫させた。
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