中編 子どもの気持ち

 しょうらいのゆめ




 二年一組


 加藤 ひかる




 ボクの家にはサンタクロースが来ません。


 どんなにいい子にしていたって、サンタクロースは来ません。


 なんでだろう。


 同じクラスのけんじくんは言いました。


「ひかるのウチは、お母さんが工じげん場ではたらいていてヘンだ」


 ボクには何がヘンなのか分かりませんでした。


「ひかるのウチは、だからヘンなウチだってお母さんが言ってた。なウチにはサンタさんだって来たくないでしょって」


 けんじくんにそう言われた。


 とかとかってよく分からないけど、工じげん場ではたらくお母さんは、とってもカッコイイんだ。光るぼうをつかって、大きなバスやダンプカーだって止めることができる。しんごうもないのにスゴいって思いました。


 それにおいしいごはんを作ってくれるし、ようふくをきれいにせんたくしてくれるまほうの手だってもっている。


 ときどきボクにだきついてきて、ちょっとあついけど、とてもやさしくて、いいにおいのするお母さんです。


 だからボクはとてもふしぎなのです。


 


 サンタさんはイジワルだ。いい子のところには、プレゼントをもって来てくれるはずなのに、お母さんのところにはサンタさんが来ない。


 いそがしいからってお母さんは言うけど、友だちのところにはプレゼントをもっていくのに、とてもズルいと思います。


 だから、ボクはきめました。


 ボクはしょうらい、サンタさんになりたいです。


 今のサンタさんがとかとかの家に来てくれないのであれば、ボクがサンタさんになればいいのです。


 サンタさんになって、クリスマスの日にお母さんへごうかなプレゼントをあげたいです。


 いつもがんばってはたらいているお母さんに、たくさんのプレゼントをあげたいです。


 お母さんをたくさんのプレゼントのはこでかこってあげたいです。


「ひかる、見て! お母さん、こんなにプレゼントもらっちゃった!」ってよろこんでいるのを、ボクも「お母さん、スゴいね! よかったね!」って言って、いっしょによろこびたいです。


 ボクはきっとサンタさんになります。


 でも、プレゼントの中に、ボクがほしいのがあったら、それは分けてください。




おしまい



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