第7話恋の天使の姉は恋の悪魔
昼休みになってからソルトが教室の扉から入ってきた、ソルトはいかにも不機嫌な様子で教室を見回す。
「どうしたんだソルト!? その格好何かあったのか……?」
ソルトの着ていた制服はボロボロに破けていて肩や体には葉っぱや小さい枝木などもくっ付いている。
「なんでもないのじゃ、それよりも昨日転校してきたあの女子生徒はどこに行ったのじゃ」
ソルトが朱華の話をする。そういえば昼休みになって早々彼女が教室から出て行くのを見た気がする。
「彼女なら昼休みになって教室から出ていったがどこに行ったまでは俺にも分からない」
「奴めよくも私の邪魔をしてくれたな」
ソルトは爪を噛むとまた教室から出ていくが俺もソルトに付いて行こうとする。
「お主は付いてくるでない」
ソルトに付いて行こうとしたらソルトは声を荒らげた、普段のソルトだと思えない程今のソルトは怒っていた。
「いや俺も探すのを手伝う、一人で探すよりも二人で探した方がいいだろう」
ソルトは俺の言葉で少し冷静になったようで数秒考えている。
「確かにお主の言う通りじゃ、じゃがこれは私と奴の問題お主には関係のない事なのじゃ」
そう言ってソルトは廊下を走っていく、だがあんなソルトを見た俺はすぐにソルトを見失わいように彼女の後を追った。
廊下を走り周りたまに先生達が注意しながらもソルトは走り続けて、校舎をしらみ潰しに朱華の姿を探している。そしてソルトは走るのを止めると階段を登り始めて屋上に向かっていく。
屋上の扉を開けたソルトは屋上に入る、扉が閉まると屋上の扉の方まで行き鏡からソルトと朱華の姿が見えた。このままでは声が聞こえないので屋上の扉を少し開けて隙間から二人の話を聞こうとするのだが二人はお互いに黙っているようで沈黙が少しの間続くと、ソルトの方から声を出した。
「よくもさっきは邪魔をしてくれたな姉上」
今ソルトは朱華の事を姉と呼んだ、俺はその言葉に驚く。昨日ソルトは朱華の事を恋の悪魔と呼んでいた一体どういう事なんだと黙って二人の話を聞いていた。
「邪魔なんて人聞きの悪い、ソルトちゃんの方こそ仕事でもないのに勝手に力を使ったくせに」
「私の話はどうでもよいのじゃ」
「ソルトちゃん、そんなに怒鳴り散らすなんてお母さんに似てきたんじゃない」
「は、母上の話は今は関係ないのじゃ、それより姉上私が怒っているのはさっき邪魔をしたのもあるが他にもあるのじゃ今朝の病人の件もしや姉上の仕業ではあるまいな」
「はぁぁぁぁ誰があんな恋も知らない真っ白な心を食べたいと思うのかしら、私が食べたいのはもっと真っ黒な心なの、あんな恋も知らない真っ白な心なんて全然食べるに値しない」
「わ、わかったのじゃ、姉上が犯人でない事はわかったのじゃ、それじゃ姉上は一体何故この高校にやってきたのじゃ?いやこの街と言った方がよいのじゃ」
「その話はできないわね、それよりも」
二人の話に扉の隙間から聞き耳を立てていたら唐突に屋上の扉が開けられ、倒れ込んでしまう。
「なんでお主がここにおるのじゃ私は付いて来るなと言ったのじゃ」
「人の話を盗み聞きとは関心しないわねいくらソルトちゃんのお気に入りでも」
「わ、わ、姉上黙るのじゃ」
ソルトは唐突にピコピコハンマーと思われるおもちゃを持つと朱華の頭に当てる。すると朱華は俺の体の上に倒れ込んできた。
「悪いあまりにもソルトの様子がおかしかったから後を追ったきた」
俺は屋上でソルトに謝る、朱華が目を覚まさない為屋上の壁の方に体勢を整えて寝かせておいた。
「それでお主どこまで聞いていたのじゃ」
「あ、いやとりあえず俺が聞いてわかったのはソルトとあの転校生が姉妹だったって事くらいかな正直それにはめっちゃ驚いたけど、それでなんだけどソルトって恋の悪魔なのか」
二人が姉妹だって事はソルトが言っていた恋の天使というの怪しくなってきた、だがそれならもしソルトが恋の悪魔であるのをずっと黙っていたのが引っかかる。
何せソルトの話では恋の悪魔は俺のような恋を知らない真っ白い心を狙っているのだから。
「ふん、まぁよいこうなったらお主には話してやるがもうすぐ昼休みも終わる時間じゃ、それに話ならそこで伸びている姉上とも一緒にした方がよいじゃろう、放課後お主の部屋で三人で話し合うのじゃ」
ソルトはそう言って屋上から出ていく、俺は未だに目覚めない朱華を置いていくなんて事は出来ずに彼女を保健室まで運び教室へと戻った。
恋の天使と恋の悪魔、どうやら俺は恋をしないと死んでしまうらしい ゆきいろ @nineyuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。恋の天使と恋の悪魔、どうやら俺は恋をしないと死んでしまうらしいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます