第5話転校生は恋の天使と恋の悪魔

 次の日の朝ソルトは昨日みたいに騒がずに朝ご飯を食べると部屋のベッドで大人しく漫画を読んでいた正直いって何か企んでいるのではないかと疑いながらも遅刻しないように学校に向かう。


 学校に到着すると教室が騒がしかった、自分の席に座りクラスメイト達の話に聞き耳をたてるとなんでもこの学校に急に転校生が二人やってくるらしい。そんな話題がクラスで盛り上がっていた。


「おーいそろそろ席につけぇ」


 盛り上がっていたクラスメイト達は始業のチャイムに気付かず担任が声をかけてようやく席に着き始める。


「えー、突然だがこのクラスに転校生が二人やってきた」


 クラスメイト達の男子大半が大歓声のように声をあげる。そういえば転校生は二人とも女子だという話もしていた気がしなくもない。


「おーい二人とも入ってきてくれ」


 ガラリと教室の扉を開けて入ってくる一人の女子を見て驚いて立ち上がる。


「なんだ刹那急に立ち上がったりして?」


「いえ、なんでもないです」


 落ち着いて席に座る女子の一人は俺も知っているそして心の声で叫ぶなんでソルトがここにいると。


「私の名前はソルトというのじゃ皆の者よろしく頼むのじゃ」


「私の名前は朱華しゅかと申します皆様よろしくお願いいたします」


 ソルトは笑顔でクラスメイト達に元気よく挨拶する。もう一人の転校生の方は長くて綺麗な白髪の髪の色をしていてソルトとは違い頭を下げてどこかのお嬢様みたいな子であった。


「それじゃ二人とも」


「先生私目が悪くて出来れば前の方がよろしいですがこちらの席に座ってもよろしいでしょうか」


「いや、まぁそれなら構わないがそこの席は」


「あ~先生俺、目も全然悪くないんで後ろの席でも大丈夫ですよ」


 俺の隣の席に座っていた男子生徒は文句も何も言わずに後ろに空いていた席に座る。


「私もこの席がいいのじゃ」


 するとソルトが急に声を出してしゃしゃり出てきた。


「あら、確かにあなたの身長でしたら前の席の方がよろしいですものねぇ、こちらのお席あなたに譲りますわ」


 余裕の笑みを浮かべてソルトの頭を撫でると朱華と名乗った女子生徒はソルトに席を譲って後ろの席へと向かう。


「目が悪いんじゃないのか」


「一応眼鏡がありますので」


 彼女は眼鏡が入ったケースを担任に見せ後ろの空いているもう一つの席へと座る。ソルトは俺の隣の席へと座る。


 そして担任は朝の挨拶を終えると出て行き


「おい、ソルトなんでお前学校にいる。てか転校ってどうやってそんな事した」


「そういきなり色々聞いてくるでない、また後でゆっくり話してやる。それよりも問題はあやつの方じゃ」


 ソルトはゆっくり後ろの席に振り返ると先程の朱華という女子生徒に指を指す。


「あの転校生がどうかしたのか?もしかしてお前の知り合いとか」


「知り合いどころの話ではないのじゃ、あやつはお主に話した恋の悪魔なのじゃ」


 恋の悪魔の話はソルトから聞いていたがソルトがあの子を恋の悪魔だという。


 一限の授業が終わり朱華の周りにはクラスメイト達が囲って質問などをしていた。対して隣の席に座るソルトの方は。


「うぅぅ、疲れたのじゃ」


 机の上に顔を突っ伏して完全に疲れきった顔をしていた。


「大丈夫か」


「ふん、お主に心配される程私は弱ってはおらぬのじゃ、それよりもお主の方が今は危険な状態だと思った方がよいぞ」


 ソルトは後ろの席に目線を送る朱華はクラスメイト達の質問に答えていると俺と目があいニッコリと微笑んだ笑顔をみせてくる。


「本当にあの子が恋の悪魔ってやつなのか、俺には全然普通の人間の女の子だと思うんだが」


「いやあやつは恋の悪魔じゃ」


 ソルトは断言したように言う、それから二時限、三時限、四時限と授業は終わっていき昼休みに入った時の事である。


「あの」


 昼休みになって突然転校生の朱華に声をかけられる。他のクラスメイト達も俺達の方に注目していた。


「俺に何か」


「いえ、一緒にお昼をご一緒にどうかと誘いにきたのですが」


「こやつは私とお昼を食べるのじゃ」


 話を聞いていたのか今まで机に突っ伏していたソルトは隣の席から立ち上がる。


「さぁ行くぞ」


 ソルトに腕を掴まれて教室から一緒に出ていく。


「おい、ソルトどうしたんだ。お前機嫌でも悪いのか」


 初めて会った時や部屋にいる時のソルトとは違い不機嫌だと分かるくらいの顔になっていた。


「ふん、不機嫌じゃとまさに超不機嫌なのじゃなんであやつがこんな所にいると分かっただけでも腹立たしいのじゃ」


 ソルトは教室から出て廊下を歩いているとようやく俺の話を聞いて立ち止まったと思ったら地団駄を踏みながら答える。この感じどうやらソルトとあの朱華と名乗る転校生女子は知り合いで間違いないのだろう。


「よいか、あやつには何があっても近付くでないぞ、あと話をするのもダメなのじゃ」


「おいソルトどこ行くんだよ」


「お手洗いなのじゃ、すぐ戻ってくるからそこで待っておれ」


 ソルトはそのまま近くの女子トイレに入っていく、ソルトが戻ってくるのを女子トイレの前で待っているとある女子生徒が通ったあとすぐに人の波が押し寄せてきた。


「な、なんだこの人の数は」


 すぐに人の数は減っていくが、さっきのが一体なんだったのかわからずにいた。


「ふぅースッキリしたのじゃ、ん?なんじゃ何かあったのか」


 ソルトは女子トイレの扉を開けて出てくると俺の顔をみて言った。


「いや、とりあえず昼休みに廊下を出る時は気をつけなきゃと思った」


 ソルトに話すとソルトは不思議な顔をする。俺とソルトはその後すぐに学食に行き二人で昼ご飯を食べた。

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