第4話恋の天使は小学一年生の計算問題が解けない
学校も終えて家に帰って早々部屋に入ると、部屋がとんでもなく汚されていた。本棚の方に綺麗に並べていた漫画が床などに落ちていたりお菓子の食べかすなどが散らばっていた。そしてベッドにゆうがに寝ているソルト。
「こいつ家でゆっくりしてろとは言ったがまさか一日でこれだけ部屋を汚すとは」
今も寝息をたてて優雅に寝ているソルト。とりあえず部屋の片付けをしようと漫画を本棚に綺麗に並べなおして、散らばっていてお菓子の食べかすなどを掃除機をかけて綺麗にする。
「んあ」
片付けも終わって勉強机で今日の授業の復習などをしているとようやくソルトが目を覚ました。
「今何時じゃ」
「もうすぐ夜の七時だな、もう少ししたら母さんが帰ってくると思うが」
ちょうど話していたら玄関から仕事を終えて帰宅した母さんの声が聞こえる。
「ああ、お主朝はよくも私を置いていったな」
ソルトは目を擦りながらようやく目が覚めてきたのか急にベッドから飛び上がり俺の体に飛び移るとぽかぽかと頭を何度も叩いてくるが正直全然痛くなかった。
「おい、わかった。朝の事は謝るから今は邪魔するな」
「ふむ、何をやっとるんじゃ」
ソルトは頭を叩くのをやめると頭の上から復習で書き込んでいたノートを覗き込んでくる。
「復習だよ朝も言っただろ学校は勉強する所だって、これは今日習った授業の復習をしてるんだ」
「う、うむ、これはなんというか。人間というのはやはりこんなものを習っているとは変わっているのう、これは私が子供の頃に天界で習ったのじゃ」
「へー子供の頃にね」
正直今のソルトの体や言動をみても幼い子供みたいな見た目なので今も子供じゃないかとツッコミをしたかった。
「それじゃソルトこの問題答えられるか、俺にはこの問題さっぱり分からないんで教えてもらえると助かる」
ソルトにとある学習用のドリルを手渡す。
「ふ、ふん任せるのじゃ。この問題は」
ドリルをペラリとめくって覗き込むソルト。
「この問題は、確かこうして」
ペンをとってドリルに書き込んでいくソルト、そして全て書き終えたドリルを自信満々に見せてくる。
「ソルト俺が悪かった、もしかしてとは思っていたがまさかお前がここまでとは」
ソルトに手渡したのは小学一年生の計算問題用の学習ドリルだった、そしてソルトが書いた問題の答えは全て間違っていた。
「そんな口元を抑えてどうしたのじゃ」
「いやなんでもない」
俺は笑いを堪えるのに必死で口元を抑えている。すると夕食の準備ができたと母さんの声が聞こえてきた。
「夕食じゃと、おいお主も早く行くぞ夕食が冷めてしまっては勿体ないのじゃ」
「ああ、俺もすぐ行くからソルトは先にリビングの方に行ってくれ」
ソルトは笑みを浮かべて部屋から早々に出ていくソルトの書いたドリルを勉強机の引き出しにしまって俺も部屋から出ていく。
「あらら、せっかく見つけたご馳走なのにあの子とんでもなく邪魔な存在ね」
暗くなった夜に外からとある家の屋根に座り込んで部屋の窓を見つめる存在。
「まぁあんなお子様の恋の天使なんて私の敵ではないと思うけど、これは慎重に動いた方がいいわね」
黒い翼を拡げて家の屋根から飛び立つ存在に刹那雪とソルトも気付いていなかった。
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