第2話どうやら恋をしないと死んでしまうらしい
「恋の天使? それって神話に出てくるキューピッドみたいに人の恋を協力したり助けたりするみたいなものか?」
背中の翼とかを見て普通の人とは思っていなかったがまさかソルトがそのキューピッドなんて最初は思った。
「そうキューピッドはまさに私のひいおじいちゃんなのじゃ。私は天使とキューピッドの間に生まれた子というわけじゃ」
「ふーんそれで恋の天使って一体何をするわけ」
俺はソルトに問いかける。恋の天使とか言うのだからやはり恋愛の手助けをするのか。
「神様から人の恋路を手伝ってその運命の相手を探せとは言われていた気がする」
「うん、気がする……?」
「いやぁ……人間の世界の娯楽が楽しすぎて完全に何をすればいいのか忘れてしまったのじゃ」
ソルトは笑いながらまたせんべえを口に入れるどうやらこいつソルトはとんだバカらしい。
「人間、せんべえのお礼に一つ教えてやるお主このままでは近いうちに死んでしまうぞ」
急に真剣な言葉を呟くソルトに俺も死んでしまうと言われて驚く。
「な、俺が近いうちに死ぬ!?そんなわけないだろ、俺はこれでも健康に育ってきたんだ」
「体の問題ではない心の問題じゃ」
「心?」
「お主まだ恋というものを知らぬな」
唐突な恋を知らないという言葉に俺はドキッとしてしまう。
「こ、恋を知らないからって死ぬわけ」
「甘いぞ人間その考えこのみるくてぃーとやらのように甘すぎる」
ソルトは俺が淹れたミルクティーのカップの持ち手を持って一口飲む。
「人間というのは小さい頃に一度初恋と呼ばれる初めて好きになる子ができると聞く、その初恋のおかげで今後の人生を大きく左右する。だがお主の心はまだ初恋どころか恋というものを知らない真っ白な心のままなのじゃ」
「真っ白ってめっちゃいい感じなのにか」
ソルトから聞けば真っ白って聞こえは全然いい気がする。
「そう真っ白な心は純粋そのもの、だがその真っ白い心を付け狙う奴がいる。子供は狙わずお主みたいな大人になってもまだ恋というものを知らない人間を私はそいつの事を恋の悪魔と呼んでいる」
「こ、恋の悪魔?」
ソルトは恋の悪魔について説明してくれた。
なんでも恋の悪魔は人の恋を喰らうらしい、そして恋だけではなくその人が歩むはずだった人生そのものまで喰らい、最後には恐ろしい死が待っている。ソルトは恋の悪魔についてこう説明した。
「だからまだ恋も知らない大人の俺はその恋の悪魔に狙われやすいって事そう言いたいのか」
「そうじゃ、む……おいせんべえがなくなったあとみるくてぃーのおかわりを」
「ソルト一つ聞きたい、俺は一体どうしたらその恋の悪魔から逃れられるんだ」
「一番は恋をすることじゃな、何せ恋の悪魔はそれが一番の大好物じゃ。お主が恋をすれば恋の悪魔も手を出してきたりする事はない」
「恋、恋かぁ……」
「おい、それよりもせんべえとみるくてぃーのおかわりをだな」
俺はまだ恋をした事がないこれはソルトの言う通りだ。
昔から恋というものに興味がなかったわけではない両親からうんざりする程自分達はキューピッドのおかげで運命的な出会いをしたなど聞かされて育ち俺も女の子の事を好きになろうと告白した事がある。だがそんな告白など意味なんてなかった次の日その子は俺に告白された事を仲が良かった子達に言いふらしていた。
「だぁーー長い長すぎるなんじゃこの長ったらしい回想みたいな前置きは、私は何度も言ったぞせんべえとみるくてぃーのおかわりを」
いきなりソルトが俺の頭の中の考えに割り込んできた
「ソルト邪魔をしないでくれ、今どうすればいいか考えているんだ」
「そんなの簡単ではないか」
「は……まさか恋をしなくても恋の悪魔から」
「逃れる方法などない」
完全にソルトはそう言い切ってしまった、だがソルトは笑みを浮かべる。
「私がお主の恋を手伝ってやる。いやここはお主に恋というものを教えてやる方が正解なのか……?」
そうして俺とこの(恋のバカ天使)ソルトと
「恋のバカ天使ではないのじゃ」
口出ししてきたソルトの口を塞ぐ。
そうして恋の天使ソルトと俺の恋を知る物語が始まるのだった。
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