わたし

御井

第1話

私は凡俗な人間です。

毎朝起きて、また今日が来たことにがっかりします。学校に行きたくなくて、どうにも体調が悪い気がしてきて、母に調子が悪いと言ってみますが、休む勇気なんて持ち合わせていないことは自分でもわかっています。

結局、また駅のホームにいるのです。

今日もぎゅうぎゅうに人が詰まった車両が運ばれてきて、なんだかそれが汚い獣を押し込めた檻のように見えて、それに入らなければならない自分も汚らしい獣だと思います。

毎日毎日、全部をすてて、反対車線に飛び乗ってどこかへ行く私を想像します。私は何かのために今の全部を捨てられる人間になりたいのです。

そうなれたらならといつも思います。

思うだけです。

反対車線の車両はいつもガラガラで、私にはこの世で1番美しいものな気がします。

でも、いざ学校に着くと朝の絶望ほど嫌ではないのです。

朝にはあれほど厭世的だった私が、放課後には友人と笑い合っているのです。

気持ちが悪い。

そんな自分が心底嫌いです。

おそらく、私は学校が嫌なわけではないのです。

毎日変わらず誰かと同じように生きてしまうのが嫌なのだと思います。

私は誰かの繰り返しなのです。

今まで何千何万と生きて死んだ人々が踏みならした道を、誰かの足跡を辿っているだけです。

だからそこから抜け出したいのです。

私は私でありたいのです。

そう思っているのに今日も同じ電車で家に帰ります。

勉強して、お風呂に入って、歯を磨いて、これが幸せだと言うことは知っています。

この日々に不満を言うことがどれほど傲慢なのかも知っています。

でもここから抜け出したい。そんな勇気が自分にないことも、私は知っています。

だからずっと、なにか大きな、なんでもいい、大きなことが起こって、私をここから連れ出してくれないかと願っています。

ずっとそれを待っています。

そんなことは起きないとわかっています。

なんて愚か。

このようなことを考えている人間は数えきれないほどいるだろうと思います。

そのことがまた私をこの上なく辱めるのです。

文字に起こせば何かが変わるかもと思いました。

出来上がったものは想像よりずっと不恰好で退屈で、恥ずかしくてたまらない。

あぁ、明日も明後日もこれからもずーっと、私は変われないと、わかってしまいました。

あなただってどうせそうでしょう?

考えたって仕方がないんです。

あなたもわたしなのです。

おやすみなさいね、また明日。

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わたし 御井 @serizawaaa

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