参 直満兄弟死す

時は天文13年 1544年 12月23日

直満、直義兄弟は今川館に足を急がせていた。

「一体何の呼び出しでしょうかね兄上。」

「わからぬな、なんの呼び出しだろうか。」

こうして、二人は今川館に到着した。

そして義元の部屋へ急ぐ。

部屋着くと義元が待っていた。

「よく来たのう、まぁ座りなされ。」

そして二人は座った。

そして直満が話を切り出す。

「義元殿、急用の呼び出しとはいかがな要件でしょうか?」

「ふむ、直満、直義お主ら謀反を企てておるな?」

「はい?なんのことでしょうか。」

直満兄弟は全く心当たりが無かった。

「とぼけても無駄じゃ、最近お主らが謀反を企て今川家を乗っ取ろうとしているという情報が入ったのじゃ。」

「義元殿、私達はそのように謀反を企ててはいません。」

それに直義も続く

「そうです、私達はそのようなことを企ててはいません。私達は殿に忠誠を誓っていると神の前で誓えます。」

「嘘を付くなお前らは謀反を企てわしを殺そうとしたのだ。許さぬ、直満兄弟は死刑じゃ。」

「お待ち下さい、何かの間違いです。」

直義が止めるが義元は聞く耳を持たない

直満は思った。

(このままでは、どのみち我々は義元様に処刑されてしまう、しかし井伊家は後継ぎとなる息子である亀之丞がいる、あとは亀之丞と直虎に託し我々は井伊家に迷惑をかけぬようここで散るのみ。)

しかし、直義がついに腹を立て懐から短刀を取り出す。

「私達は無実だ。義元殿、お覚悟を。」

直義が短刀を持ち義元一直線に突き進む。

義元はこれを寸前で躱した。

「何をする、この無礼者。」

義元は瞬時に太刀を抜き直義の首めがけてたちを振るう。

その瞬間、直義の首が飛び、あたりに血が溢れる。

そしてこれに動じない直満に向かい義元が太刀を振るおうとする。

直満は最期を迎えようとして思う。

(井伊家は任せた亀之丞、直虎。)

こうして政直の嘘を信じ込んだ義元によって二人は討ち取られてしまった。

「あとは政直に命令をしたように亀之丞を殺せば井伊家は終わりだ。」


その頃井伊谷の屋敷にこの情報が寄せられた。

この情報は直盛の耳にも入った。

「何?、叔父様達が謀反を企てた罪で弁論をしているところで直義叔父様が義元公に襲いかかり、そのまま二人とも討ち取られたじゃと。」

「更に義元公は亀之丞を殺そうとしているようです。」

「亀之丞を殺そうとしているじゃと、亀之丞を殺されたら井伊家は滅んでしまう。」

「正実じゃ、今村正実を呼べ。」

この騒ぎを聞きすぐに正実がやってきた。

今村正実。彼は殺されてしまった直満の家老で直満が信頼していた家老の一人だ

「どうなさいましたか?」

「一大事じゃ、亀之丞が命を狙われている。正実、亀之丞を匿っておくれ。」

「わかりました。殿お任せください、亀之丞の命は私の命に変えてもお守りいたします。」

こうして最初の匿いの地、渋川の東光院に着いた。

こうして井伊家の危機が始まったのだ。















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