弐 直満兄弟の呼び出し 

時は天文13年1544年


馬の足音が響いていた。

小野政直は今川館に向かっていた。

政直は今川義元公に直満、直義兄弟が謀反を企てていると嘘の情報を流そうとしているのだ。

「これであの二人はおしまいだ権力の独占はさせぬ、権力は私のものだ。」

そして今川館に到着し政直は馬を降りた。

そして今川義元のいるところまで走る。

義元の自室を見つけ入る。

「義元様、入ります。」

そこには義元がただ一人が座っていた

「どうしたのじゃ、政直。」

「実は、井伊直満、井伊直義兄弟が主君で貴方様に背いて謀反を企てようとしています。」

「何?、直満、直義が謀反を企てようとしているじゃと、ぐぬぬ信用していた家臣だだが、謀反を企てるとは、許せぬ。」

義元は怒りをあらわにした。

「お主の情報、信じてもよいな?。」

「はい、確かな情報でございます。」

「ふむ、では直満、直義兄弟を今川館に呼び出せ。」

「はっ、承知いたしました。」

政直は義元に一礼し今川館をあとにした。

「これで奴らは終わりだ。」

政直はつぶやいた。

そして政直は井伊谷の領地の屋敷に向かった。

その頃、直満、直義兄弟は直盛の屋敷でお茶をしていた。

「この茶はうまいな。」

直満が言う。

「そうですね兄上。直盛殿、この茶はどなたが入れたものですか?」

「この茶はわしの娘、直虎が淹れたものじゃ。」

直虎の淹れた茶は温度がちょうどよく美味しようだ。

そこに直虎が入ってくる。

「叔父祖父様。こんにちは。」

直虎が挨拶をする。

直虎は現在8歳、許嫁で従叔父である亀之丞と同い年である。

「直虎、お前の淹れた茶が美味いと叔父祖父様達からほめていらしゃったぞ。」

「ありがとうございます。」

直虎は笑顔を見せた。

「うちの亀之丞をよろしく頼むな。同い年だから仲良くしてやってくれ。」

直満が笑いながら言った。

「はい、わかりました。」

そして、直盛らはお茶を楽しんだり、菓子を楽しんだ。

そこに小野政直が入ってきた。

「随分と楽しそうに会話を楽しんでらっしゃいますな直盛殿。」

「おお政直、お主も茶はいかがかな?」

「よしておきます、私は忙しいので。」

「ああそうか、日頃から井伊家のために尽くしてくれてありがたいな。」

「光栄でございます殿。」

「ところで、直満殿、直義殿お二人に義元様の呼び出しがかかっておりますぞ。」

「何?、義元様が我々を呼び出しをしているだと。」

「早急に出かけねば。」

そして、二人は荷物をまとめ屋敷を後にした。

「では、直盛殿私は仕事があるので。」

そう言って政直は屋敷の奥に姿を消した。

「ふむ、二人が早急の呼び出しか。」

「なにもないといいですね。」

直虎が言う。

この政直の罠こそが後に井伊家を危機に追い込むこととなる。






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