~軋みと蟻の巣~(『夢時代』より)

天川裕司

~軋みと蟻の巣~(『夢時代』より)

~軋みと蟻の巣~

 …人形(かたち)が安まる脆さと和みは人密(みつ)に留(と)め往く試算(こころ)を求めて、女性(おんな)の生気を未完(みじゅく)が篭れる未活(みかつ)の演戯を葬り始めた…。

      *

 …神奈川産れの肉厚乱女子、精華町在住の肉感童女も居たかも知れない、そう言う彼女達が率いる一種のコミュニティが、俺をも引き連れ、俺の他にも何人かの男が居た。その女の内ではっきり登場したのが、痘痕顔(あばたがお)の、神奈川産れの人見知りが得意な女子だった。

      *

 無垢の人形(かたち)に見様(みよう)の価値から不屈(ふくつ)の道理を過去に併せて、一人(ひと)の孤独と未開の思致(しち)から符号の意図への司業(しぎょう)を着かせて、日々の半ばで許容を認(みと)める「令和」の独語(かたり)を天(てん)へ射止める…。未完(みじゅく)のくねりを揺蕩(ゆらぎ)に取り添え、未解(みかい)の規模から独語(かたり)が問うのは、人山(やま)の見事を許容に返らす人間(ひと)の八性(おろち)を暗(やみ)に発(た)たせて、日々の枯渇を奇妙に表す至闘(しとう)の我聞(がもん)を自己(おのれ)に知った…。明日(あす)に落ち着く奇妙の名残は空(くう)の名残を未知に着かせて、白亜(しろ)い一通(とおり)を文言(ことば)に顕す不明と意図との冥利を着合せ、不遇の過去から冥利を突き刺す過渡の余録(よろく)を小声に盛(も)った…。曇り空から自由を蹴散らす自己(おのれ)と未(いま)との分厚(あつ)い名残は、気楼に耐え貫(ぬ)く暗黙(やみ)の静寂(しじま)に〝人間(ひと)〟を観るより即ち貴(とうと)く、安い盛(さか)りが一人(ひと)を観るまま自由を這わせて活路を断(た)つのは、湯煙(ゆけむり)から発(た)つ見様(みよう)の暗示を小言に這わせる御託を列(なら)べて、奇妙と現行(いま)とを文言(ことば)に顕す身欲(よく)の成る気(き)を寸断して居た…。女性(おんな)の白衣(ころも)に一男(おとこ)が合さり、身欲(よく)を概(おお)きく語らう理知には、幻覚(ゆめ)の自然(あるじ)が孤独を培う〝しどろもどろの悪態〟だけ観て、理性(りせい)を失くせる野獣(けもの)の凌駕と何ら変らず理解を射った…。自体(おのれのからだ)が奇妙を識(し)りつつ、不快の夕べに未一(みいつ)を知る時、不当の白衣(ころも)を理解に統(たば)ねる個々の自主(あるじ)に限界など観て、自己(おのれ)の理国(くに)から樞(しかけ)を相(あい)せる不動の夜霧を発破に仕分けた…。一幻(ゆめ)の独語(かたり)に未解(みかい)を報せぬ〝日々の一男(おとこ)〟は未(いま)でも教理を、人密(みつ)に拙い巨躯の許容(うち)にて安心(こころ)を歪めた背徳など知り、自己(おのれ)の死地から行儀を取り巻く不等の安土を気心(こころ)に採った…。過去の肴(さかな)を奇妙に捧げる不和の会話に自己(おのれ)が翔(と)び立ち、人山(やま)の目下(ふもと)へ安心(こころ)が往くのは明日(あす)の身辺(あたり)の温(ぬく)みを識(し)りつつ、幻想(ゆめ)と主観(あるじ)の文言(ことば)の人陰(かげ)には一人(ひと)を眺める未来(さき)が流行(なが)れて…、過去の癖(くせ)から孤業(こぎょう)を営む未惑(みわく)ばかりの禿冠(かむろ)を彩(と)った…。奇妙の主流(ながれ)に暗黙(やみ)を観るうち侵略して生く精神(こころ)を観るのは、無重の日(ひ)の粉(こ)が無口を競える過去の謳歌と列(なら)ばず立った…。一人(ひと)の鳴く音(ね)を滑性させ活き、日々の迷路を往(い)き交(か)う目下(ふもと)は、一人(ひと)の個録(ころく)と調和の狭間で空気(しとね)に寄り添う温味(ぬくみ)を感じ、白亜(しろ)い気色にその実(み)を透らす不当の空間(あいだ)を令和に観て居る…。

      *

 …俺達は、ラジオのパーソナリティみたいな事を五人ぐらいでやって居た。皆の向いて居る姿勢が同じに在る。何か一つの目的へ向かって、皆が、自分の実力を醸し出そうと、事の前の大事に奮(ふん)して居る姿勢である。何か、コミュニティが丸ごと、何処(どこ)か知らない所へゴゴゴと飛んで居る様(よう)だった。俺は私事(わたくしごと)も異空間でしながら、彼等と一緒にブースと飛び、パーソナリティとしても何とか活躍出来て居た。しかし俺は、ゲストに悪口雑言ばかり吐いて居た。

      *

 一人(ひと)の生果を好く好く得ながら過去の身欲を栄華に保(も)ち換え、一人(ひと)の真横に空虚を阿る不和の途切れは純化を見詰めて、疲労に名足(なだ)たる不和の揺蕩(ゆらぎ)は理知に培う人形(かたち)を彩(と)った…。白亜(しろ)く纏まる遊戯の落差に魅力(ちから)を射止める概(おお)く人象(かたち)は、未知への生憶(きおく)に架橋(はし)を架け得る労いばかりが茶道を嗜み、自己(おのれ)の景色を暗黙(やみ)に描ける身欲(よく)の制覇を気にさせた…。旧(むかし)の独語(かたり)に未覚が渡れる不和の遊戯は途方に暮れ活き一人(ひと)と自己(おのれ)の魅惑の気色を理知に準え未信に活き発(た)ち、自己(おのれ)の気色に魅了され生く神秘(ふしぎ)の孤独を密かに按じた…。未知の暗黙(やみ)から人形(かたち)が浮き立ち、司業(しぎょう)に撓(たわ)める理解を観るのは、過去の生憶(きおく)に旧来(むかし)が高まる理想を現行(いま)との神秘(ふしぎ)を採りつつ、幻覚(ゆめ)の吐息と理想の男・女(だんじょ)は「俺」を呼び掛け透明にも成り、未完の生憶(きおく)に段々固まる不動の故縁(えにし)を厭(きら)いに成った…。俚諺の景色に相場を拵え、未知の自覚(かくご)へその芽を追う内、白雲(くも)と恐怖の私怨の許容(うち)から乱心(こころ)を営む狂句に活き発(た)ち、幸先(さき)を知れない非道の純途(じゅんと)は黄泉への感覚(いしき)をその儘にもした…。女性(おんな)の自覚(かくご)が木霊を持ち換え、幻(ゆめ)の概(おお)くを怒りに置く内、一人(ひと)と現行(いま)との合図を好く観る過去の途切りを小宙(そら)へ追い駆け、理信(りしん)の小手から白雲(くも)を象る私評(しひょう)の総理(すべて)を人形(かたち)に遣った…。一人(ひと)に匿う小言の虚ろは非道と暗黙(やみ)との未亡を匿い、暗黙(やみ)に活き発(た)つ文言(ことば)の人陰(かげ)には見様(みよう)に咲き尽(き)る精雅(せいが)が成った…。人間(ひと)の過去から未解(みかい)が狭まり、旧い小敗地(アジト)の欠片(かけら)を追う時、自体(おのれ)の孤独を暗(やみ)に煩う成果(さき)の人形(かたち)を司業(しぎょう)に匿い、明日(あす)と現行(いま)との枯渇の総ては非道の総理(すべて)と通底しながら、過去を忘れた小禽(ことり)の小形(かたち)を粋(いき)に採られる未活を保(も)った…。幻覚(ゆめ)の人形(かたち)にmorgueを観る内、一人(ひと)に盛(さか)れる文言(ことば)を好く見て、対岸(きし)に寄り着く未覚の自主(あるじ)は温味(ぬくみ)を忘れた虚空と一緒に、一人(ひと)の牙城(とりで)と落ち度を深める不和と現行(いま)との沃土(よくど)を保(も)った…。

      *

 …それを嗜める様(よう)にパーソナリティが俺の周りに居る。俺は無視して悪口雑言を言って居た。そうする事で、周りの奴等が自分に付いて来る事が判ったからである(痘痕娘だけはその俺に何の反応も無く、少々俺を苛つかせた)。厭(いや)らしい性根(しょうね)であった。パーソナリティは皆、一つの目的を達成させる為に一団と化(か)して、取り敢えずその一つの目的達成への目的として、皆の前方(まえ)に在る、光の様(よう)な広場へ行く事に夢見て居る様(よう)だった。

      *

 一人(ひと)の愚行(おろか)を呼吸に見ながら過去の盲下(もうか)と一人(ひと)を詠み取り、夢中と現行(いま)とが個録(ころく)を励ます自由の人形(かたち)を参考にした…。自己(おのれ)の未知から駆け込み始める無垢の自主(あるじ)と千夜(とばり)を得る内、紺(あお)い気色と未録(みろく)の空間(あいだ)は睦(むつ)を見ながら理想を追いつつ、不自由ばかりが生録(きろく)を廻せる一人(ひと)の栄華を巨躯に模すのは、自由と現行(いま)とを寝耳に這わせる自在の傀儡(どうぐ)と自然(あるじ)であった。一人(ひと)の生気と感覚(いしき)を詠むうち未録(みろく)に透れる孤独は微動(うご)き、白亜(しろ)く篭れる小宙(そら)の実元(みもと)は人間(ひと)の聖夜(せいや)と身悶えしながら、過去(むかし)に追い着く夜半(よわ)の生録(きろく)は未解(みかい)に透れる柔さを買った…。吟味(あじ)を識(し)らない孤独の長(ちょう)から利論(りろん)に活き着(づ)く文言(ことば)の重味(おもみ)は、深い生憶(きおく)に夢中を詠みつつ不解(ふかい)と煩(ぼん)との故縁(ころく)を見極め、吟味(あじ)を知らない未覚の孤欲(こよく)は気楼に安める都会を識(し)った…。過去の栄華に未憶(みおく)を詠みつつ、次の生果が大人しくも成る。

      *

・俗世(このよ)の女性が俗世(このよ)の一女(おんな)で在る以上、どんなに貴方が創られた代物(もの)であるにせよ、僕には無理です。

・女性(おんな)を愛する事が出来ません。

・女性(おんな)が俗世(このよ)の女性(おんな)である以上、彼等は必ず俗世(このよ)の男性(おとこ)と浮気します。

・躰の調子や相性が合わないとかいろいろ脚色付けて正当化して、必ず浮気(つみ)を好んで活きます。

・俗世(このよ)で理想の一女(ひと)は結婚しません。

・もう誰も信用出来なく成りました。

・男女の子供もやがてはそうした信じられない大人に成って活きます。

・俗世(このよ)の女性(おんな)、全部要りませんから、一人の丁度好い天使の女性(ひと)と結婚させて下さい…。この願いは未(いま)でも続いて居ます。

 …精神(こころ)の許容(うち)から身欲(みよく)を通して一人(ひと)の故縁(えにし)を馬鹿にしながら、過去に好く似た白亜(しろ)い畝(うねり)は男女(ひと)を葬る文言(ことば)を書いた…。人間(ひと)の生果へ静める孤独は非道に見送る過去(むかし)を追いつつ、未知に見送る故業(こぎょう)の小敗地(アジト)は理解を潜める哀れを買った…。

      *

 …未知先生をO教会の礼拝に連れて行って居る夢を見た。未知先生に「本物の礼拝とはどんなものかを解らせる為に連れて行く」等と言う名目にて、確か俺は未知を連れて行った様(よう)に記憶する。しかし泡食(あわく)って居たのは俺の方だった。まるで、自分の日頃の不信仰が祟り、何をやっても自信が持てずに、教会でのどんな事柄を紹介する際に於いても、〝申し訳無さ〟が先に立ち、俺は寝た振りをしながら未知先生からの追撃を躱そうと健気な努力をして居た。

      *

 児(こども)と小宙(そら)との身欲(よく)を取り持ち、白亜(しろ)い凝(こご)りを躰に詠むのは未解(みかい)の小敗地(アジト)と現流(ながれ)を窄ませ、理知の徒歩から過去を執り成す不法の一通(とおり)と想わせ始めた…。自己(おのれ)の過去(むかし)に死海を透らせ不相(ふそう)と合図の塞がりさえ保(も)ち、低い自主(あるじ)の小言を匿う未知の千夜(とばり)と躰を射った…。未知に活き尽(き)る信心(こころ)の汚(けが)れは人間(ひと)の大宙(そら)へと未潤(みじゅん)を透らせ、一人(ひと)の神秘を独創(こごと)に疾走(はし)らす無解(むかい)と未一(みいつ)の自然(しぜん)を射った…。一人(ひと)の価値から一人(ひと)を遅らせ、一人(ひと)に昇れる労苦の空間(あいだ)は未解と始めの人形(かたち)を識(し)った…。人間(ひと)の感覚(いしき)に無解(を)断つのは過去と感覚(いしき)の千夜(とばり)の仕種は何時(いつ)を報せる不頼(ふらい)を成った。理解に始まる未解(みかい)と勇気は理解と一人(ひと)との淡路を摘み取り、一人(ひと)の仕種に柄(がら)を相(あい)せる非道の効果を理然(りせん)に帰(かえ)せる。未知に囲める小宙(そら)と現行(いま)とは退屈(ひま)を余せる陽光(ひかり)を悦び、幻覚(ゆめ)と四季(きせつ)の転倒(まろび)の果てには未知の幾つが死産を識(し)った…。模様を愛せる始動の呼笛(あいず)は万象(よろづ)を相(あい)せる乱心(こころ)を取り持ち、白亜(しろ)く正せる無知の進歩は一人(ひと)を壊した脆味(もろみ)を買った…。不完全から安全だけ出て、未知を示せる希望が立ち尽(き)り、明日(あす)に花咲く理知の分岐は人間(ひと)の生果に安心して居た…。一人(ひと)の気色と未完を灯せると美体(からだ)の体裁(かたち)は自然を愛する魅力を識(し)った…。一人(ひと)に始まる独創(こごと)の安転(まろび)は幻(ゆめ)の四季(きせつ)に理解を透らせ、漆黒(くろ)く集まる一人(ひと)の美裁(かたち)は生録(きろく)を愛した小言を保(も)った。一人(ひと)の四季(きせつ)は輪舞曲(ロンド)を迷わせ、非行と私欲(よく)と気心(こころ)を透らせ、未知に映え得る過去の仕種は経過(ながれ)を識(し)らない神秘を保(も)った…。光沢(ひかり)に始まる気心(こころ)の浮沈は理知の姿勢(すがた)に実力(ちから)が表せ、小宙(そら)の始めへ自由が成り立つ電子の流行(ながれ)は過去と現行(いま)との柔さを識(し)った…。低い小宙(そら)から生本(きほん)が燃え立ち、小宙(そら)に留(とど)まる過去(むかし)の行方は光沢(ひかり)を顕す疲労を保(も)った…。気楼と現行(いま)との流行(ながれ)の裾から理知が透れる朗(あか)るさが在り、一人(ひと)の自主(あるじ)を身欲(よく)に灯せる牢(ろう)の深さは蹂躙され得る…。一人(ひと)の文言(ことば)と大化(たいか)の葦(あし)の延びには身欲(よく)の概(おお)さを快感にした。

      *

 その時のメッセンジャー(牧師)は、希薄で無口で言葉足らずの牧師だった。確か、まだ説教には至って居なかった。子供向けの、そうCSクラスの説教をして居た。いつも通りに、参加した子供は一人くらいしか居ない。でもまぁ、その時はその少人数がそんなに気になるものでもなく、引け目を感じる事無く、未知先生の真横の座席で真面に未知先生の表情(かお)を見る事が出来て居た。

      *

 未知の孤独を文言(ことば)に費やし、不毛と行方を小宙(そら)に見詰めて、漆黒(くろ)く成り立つ不和の夜毎は無知に彩る孤独を識(し)った…。明日(あす)の脚色(いろ)から精神(こころ)が成り立つ不安と暗(やみ)との孤独を織り成せ、人間(ひと)に近付く孤独の盲者(もうじゃ)は厄(やく)を堕とせる効果を射った…。過去の脆差(もろさ)を縮図を保(も)ち上げ、不相(ふそう)の会話を孤独に先立つ過去の一幻(ゆめ)への愚行(おろか)を追い駆け、不和と夜伽の音叉の安転味(まろみ)は睦(むつ)の刃渡(はど)りを屈強にした…。鬼神に寄り付く無言の体形(かたち)は日々の人形(かたち)と不遇を二重(かさ)ね、未知と欲との独創(こごと)を這わせる不信と合図の理解を識(し)った…。未知の景色を無明(むめい)に観る内、過去と現行(いま)との乱心(こころ)を追い立て、小宙(そら)と派手との小言の私欲(よく)には不和の脚色(いろ)への理性(はどめ)は対岸(きし)に寄り付く独創(こごと)を沸かせて、幻想(ゆめ)の空想(しとね)は脚色(いろ)を巻かせて不安と過去との軟さを知った…。一人(ひと)の既録(きろく)が無憶(むおく)を繕い、日々の暗黙(やみ)との脆さが沸き立つ不装(ふそう)と現行(いま)との柔さに列(なら)び、白亜(しろ)く成り立つ不幸の幻見(ゆめみ)は夢想(むそう)と退屈(ひま)との欲とを折った…。無知に息衝く小言の列(ならび)は奇行と幻覚(ゆめ)とを乱立させつつ、日々の行方は未来(さき)を読み取り未覚の愛露(エロス)を消沈させ得た…。日々の許容(うち)から過去(むかし)を幻見(ゆめみ)て気楼の流行(ながれ)を混沌(カオス)に置き換え、日々の陽光(ひかり)に矛盾を象る無縁の独語(かたり)を男女(ひと)に報せた…。自己(おのれ)の縁路(えんろ)を遠くに観る内、過労に準ずる孤独を飼うのは、人山(やま)に見積もる無重の縁気(えんぎ)と故郷の共鳴(ひびき)に自己(おのれ)を観る儘、旧来独語委(むかしがたり)を手許で馴らせる深紅の灯(あか)りを貴重に載せた…。未完の縁路(えんろ)を生果(さき)に彩(と)るうち個々の開(ひら)きを飾りに観るのは、過去の遊戯を未活に晦ます情事(こと)の真偽を手取りに保(も)った…。〝自由〟を愛する故録(ころく)の主宴(うたげ)は人密(みつ)に灯せる列(ならび)を好く観て、人密(みつ)の吟味(あじ)から精神(こころ)を費やす不安の気色を調度に観て居る…。過去に落ち着く固陋の気色は未純(みじゅん)に並べる気(こ)の端(は)を彩(と)りつつ、加減を知らない不動の縁(えにし)を一人(ひと)に忘れて傀儡(どうぐ)に仕立て、旧い経過を幻見(ゆめみ)に数える私欲(よく)の迷路を凍えさせ得た…。奇妙に落ち着く乱心(こころ)の縁者は幻覚(ゆめ)の生録(きろく)に一人(ひと)を装い、未知の千夜(とばり)に理解を先取る不埒の遊戯を無暗(むやみ)に描(か)いた…。

      *

 …そのCSの説教で、聖書か何か分厚い本を開(ひら)ける開けないを例に採った〝喩え話〟で話が始まり、その本の内容を子供が知るか否かに就いて、それが良い事か悪い事か、又、その本の内容を子供に伝える為にはどんな方法が在るか、等を、少々、勿体振った言い方で希薄な牧師は、いつものゆっくりもったりした口調で説教壇から話をして居た。その時(CS説教の前後だったか忘れたが)、ギリシャ彫刻さんの聖書が突風に煽られ床(ゆか)に落ちた。その落ちた聖書をギリシャ彫刻さんはすぐに冗談を交えた様(よう)な体裁を以て拾い上げ、周りに少々笑いを沸かせた。

      *

 …一人(ひと)の逆行(もどり)を余所目(よそめ)にしながら過去の規律(おきて)を暗黙(やみ)に保(も)ちつつ、幻覚(ゆめ)の列(ならび)に素顔を魅せない多様の合図をその掌(て)で押した…。日々の空間(すきま)に見様(みよう)を保(も)ち出し架空の歪みを未知に睨(ね)めて、一人(ひと)の白亜(しろ)さに臭(にお)いが立ち込む夜半(よわ)の目下(ふもと)を躰に寄せ付け、幻(ゆめ)の身許へ化色(けしき)を採り生く自己(おのれ)の生気に身悶えを観た。無言の孤独を録(ろく)に見るうち一人(ひと)の生果は痩せ始めて活き、一人(ひと)の暗黙(やみ)へと昇って生くのは無知に気取れる八性(おろち)に与(あずか)り、一人(ひと)と現行(いま)との軟い独歩(あゆみ)は奇怪に寄り添う伝播を識(し)った…。一人(ひと)の羽振りが身許を保(も)つうち無垢と純心(こころ)は希望を保(も)ち換え、旧い暗(やみ)から気楼を愛せる不悶(ふもん)の合図は峠を降(お)り出し、男女(ひと)の分業(ノルマ)に過去を漏らせる器用の様子は不振を仰ぎ見、安い価値から固陋を燃やせる自己(おのれ)の生義(せいぎ)は不満を解(と)いた…。白亜(しろ)く成り立つ不和の翳りは未信と現行(いま)から乱心(こころ)を仕立てて、非情に降(お)り立つ旧(むかし)の初歩(いろは)は女芯(にょしん)に劈く純情(こころ)を賭した…。未知の翳りを過去に保(も)つうち孤高の脚色(いろ)から遠路を観るのは、日替わりして生く無戒(むかい)の自然(あるじ)の突拍子も無い岐路の列(ならび)で、人間(ひと)の端(はし)から旧来(むかし)を啄む他己(たこ)の日照りを孤独に観る内、日戻(ひもど)りして生く無録(むろく)の遊戯は人間(ひと)の生録(きろく)を蹂躙して居た…。旧(むかし)を煩う自己(おのれ)の精気は男女(ひと)を識(し)らない運河を寄せつつ、摩訶と現行(いま)との柔味(やわみ)の許容(うち)から見様(みよう)に伴う神秘(しんぴ)を連れ出し、器用に向える奈落の長者は棄損に落ち込む脆(もろ)さを知った…。無口の絡みを直接知り付け、暗黙(やみ)の調子に女性(おんな)を愛し、一人(ひと)に誘(さそ)える個録(ころく)の総ては騒乱するほど柔らかだった。嘗て識(し)り合う無想の日々から旧来挿話(むかしばなし)を人密(みつ)に這わせて、白亜(しろ)い感覚(いしき)が四季(きせつ)を脚色取(いろど)る向日の気色に通せんぼをした。幻覚(ゆめ)の名残に未一(みいつ)を観た儘、旧い生憶(きおく)は自己(おのれ)を斃し、人波(なみ)の進化に自己(おのれ)を安める未活の杜など愛撫を識(し)った…。過去(むかし)の解(ほぐ)れを自主(あるじ)に見たまま退屈(ひま)の気色は未一(みいつ)を愛して、男性(おとこ)と女性(おんな)の羽衣(ころも)に培う欲の可細(スリム)は名残を識(し)らずに、幻覚(ゆめ)と自己(おのれ)の生(せい)への活路は嗣業を企む枯渇を魅せた…。

      *

 …未知先生もそれを見て居り、

「あれ、いま落したの?」

と言いながら、明るく笑って居た。それ等の光景を俺から見れば、まるでそれは未知先生のご機嫌を取って居る様(よう)だった。俺は今、E教会から完全に離れて居る。否、離れなきゃいけない、と言う決意により離れて居る。栄子の両親が招いた、栄子との気不味さも在り離れて居る。

      *

 無録(むろく)の跡から乱心(こころ)が成り立ち、不安と現行(いま)から非行に添わせる旧い学びを宙(ちゅう)に観て居た…。対岸(きし)に寄り付く誠心(こころ)の歪(ひずみ)が未知に降(お)り立つ暗(やみ)に蹴上(けあ)がり、一人(ひと)の価値から無録(むろく)が空転(ころ)がる不安と流行(ながれ)の信途(しんと)を得て居た…。未信に寄り付く孤高の小界(かぎり)は未知に昇れる陽光(ひかり)を打ち発(た)て、町に寄り付く過去の欲には未聞(みもん)の生義(せいぎ)が路頭に彷徨う…。一人(ひと)の価値から気色が降(お)り立つ無根の景色は自然(あるじ)を見忘れ、一女(おんな)の小界(かぎり)に男性(おとこ)が囲める無憶(むおく)の独気(オーラ)をその眼(め)に遣った。活命(いのち)の解(ほつ)れに未解(みかい)が成り立ち日々の呼吸が自然(あるじ)を観るのは、暗(やみ)の仄かに静かに降(お)り立つ不安と明日(あす)との滑稽味を識(し)る…。無謀を装う乱心(こころ)の温味(ぬくみ)は過去(むかし)と現行(いま)とを自尊に仕立てて、淡い残骸(むくろ)を嵩(かさ)に落ち着く固陋の蓑から幽霊を観た…。人間(ひと)に寄り付く枯渇の暗黙(やみ)には無垢と現行(いま)との乱心(こころ)を発(た)たせて、日々の一幻(ゆめ)から乱心(こころ)を発(た)たせる不頼(ふらい)と自然(あるじ)の婚約を得た…。一人(ひと)の既知から暴露を脱ぐ時、夜半(よわ)の歯切(はぎ)りを徒労に置き据え、人間(ひと)に始まる無垢の残香(かおり)が身重に立った…。対岸(きし)の男性(おとこ)と一女(おんな)の凄みは鬼神に寄り付く孤独を合せて、日々と現行(いま)との暗黙(やみ)の自然(あるじ)は未信(みしん)の空虚を渇きに観て取り、一人(ひと)の空間(あいだ)へすんなり差し込む無知の一灯(あかり)は微妙を保(も)った…。無垢の光沢(ひかり)に無謀が降(お)り立ち、日々の過去には一女(おんな)が割り立ち、悲惨の体裁(かたち)を非行に相(あい)せる途轍の幻(ゆめ)など未信に散らせた。一人(ひと)に欲(よく)する乱心(こころ)の空間(あいだ)は〝日々に欲(よく)せる無知〟を追い駆け、白亜(しろ)く点(とも)れる架空の相図(あいず)を事始(こと)に見詰める未婚を透らせ…、日々に相(あい)する乱心(こころ)の旧(むかし)は風流から鳴る神秘(ふしぎ)を保(も)った…。漆黒(くろ)く成り立つ日々の残骸(むくろ)は無刻(むこく)を相(あい)せる孤高を寄越して、過去の万(よろづ)を巴(ともえ)に乱した暗(やみ)の茂味(しげみ)と協歩(きょうほ)して居る…。比較に好く観る無知の体(からだ)は無根の身欲(よく)から乱心(こころ)を果たし、男女(ひと)に始まる故録(ころく)の日々には無色(むしょく)の相図(あいず)が活路を採った…。日々に固まる未一(みいつ)の自主(あるじ)は無知に好く買う〝女性(おんな)〟を繁らせ、孤高に好く立つ旧(むかし)の共鳴(ひびき)は紅(あか)い景色に朝陽を識(し)った…。日々の最中(なか)から個録(ころく)を保(も)ち出し〝暗(やみ)の脚色(いろ)〟から一男(おとこ)を見るのは、過去と現行(いま)との欲の空間(あいだ)を夢想(ゆめ)に象る未亡の意に在る…。

      *

 …希薄牧師の子供に対するメッセージは段々核心に迫った様(よう)で、子供一人が説教壇に向って居るその光景に対して牧師は、

「これは何でしょうか?…どうしてでしょうか?」

と言う様(よう)な疑問系の言葉を以てメッセージを進めて居た。

      *

 一人(ひと)に落ち着く乱心(こころ)の列(ならび)は無知の大涙(なみだ)に孤高が浮き立ち、日々の脆さが大宙(そら)に澄み尽(き)る無想が成った…。白亜(しろ)く成り立つ乱心(こころ)の夢想(ゆめ)には翌朝(あさ)と退屈(ひま)との列(ならび)が目立ち、一人(ひと)と無垢との無謀の横には過去に優(すぐ)れる不産を保(も)った…。一人(ひと)と現行(いま)との夢想(ゆめ)の空間(あいだ)は旧い独創(こごと)の理想に成り立ち、日々と現行(いま)との翌朝(あさ)の陽光(ひかり)は一人(ひと)に擦(す)り寄る男・女(だんじょ)を識(し)った…。無知の陽光(ひかり)と理想(ゆめ)の体形(かたち)は無想(ゆめ)と退屈(ひま)との連携だけ観て、日々の四季(きせつ)に未来(さき)が成り立つ不本と最後の活歩(かつほ)を彩(と)った…。日々の幻(ゆめ)から過録(かろく)が跳び立つ旧来挿話(むかしばなし)の淡手(あわで)の四隅(すみ)には、日々と夢想の回顧の傍(そば)から未完に昇れる常盤に見合せ、旧い夜宙(よぞら)に芯を高める幻覚(ゆめ)の始めの遠路と成った…。幻覚(ゆめ)に息衝く独創(こごと)の空間(あいだ)は、日々の始めの合図に似て居り、一女(おんな)に基づく孤高の日(ひ)の掌(て)も辛気(しんき)に寄り付く上澄みだけ見て、一幻(ゆめ)と一女(おんな)の小宙(そら)の彼方は諸星(ほし)の隙間を遊泳しながら、過去と現行(いま)とを一通(とおり)に落せる不頼(ふらい)ばかりの究(きわ)みに在った…。一人(ひと)の乱心(こころ)と画餅(がびょう)の規則は女性(おんな)の画(え)に立つ浮気を見て取り、神秘(ふしぎ)ばかりを端正(きれい)に窄める無知の空間(あいだ)は気楼を発(た)たせて、柔い合図をその日に見送る仮装の行方に総身を正した…。幻想(ゆめ)の魅力に淡路を装い、無知に見送る気球を買うのは、人山(やま)の目下(ふもと)の八性(おろち)の流行(ながれ)と情事(こと)の列(ならび)の熱に魘され、日々と現行(いま)との音頭の空間(すきま)は無感の暗(やみ)から幼女(おんな)を嗾け、無類に相(あい)せる供(とも)の芽を保(も)つ不幸と欲との両腕(かいな)を識(し)った…。幻夢(ゆめ)を協歩(ある)ける無機の躰は初(はつ)の活命(いのち)を大宙(そら)に観て居り、気楼の日々から無根を匿う暗(やみ)の信途(しんと)の列(ならび)に等しく、無知を頬張る乱心(こころ)の端(すみ)には旧来挿話(むかしばなし)の温味(ぬくみ)が総立ち、日々の空間(すきま)に美体(からだ)を湿らす浮気心を提灯(あかり)に置いた…。女性(おんな)の熱から気流が発(た)と得る無垢の絵具(えのぐ)は奇妙を煽げ、日々の裾から日解(ひかい)が成り立つ自体(おのれ)の不和など勝気を装い、無知を掌(て)にした精神(こころ)の列(ならび)は過去に安める理知を取り上げ、自己(おのれ)興味の向日と現行(いま)とは暗黙(やみ)を掲げた暗器(あんき)を彩(と)った…。

      *

 …すると俺の横で未知先生が、

「内助の功(笑)」

と、暗黙に正解を呟き誰かを助けようとする、あの奥様方連中によく見られる様(よう)な光景・情景を、薄く伸ばされた笑顔を以て気丈に表し、俺はそれへの情景と併せて展開を見た。

      *

 人密(みつ)に蔓延る無適(むてき)の業務は旧い縁(えにし)の御託を列(なら)べて、一つずつから根拠を砕ける不毛の流派を混在させ得た…。明日(あす)の文言(ことば)に魅了されつつ不安と現行(いま)とが間延びを見る頃、夢茶(むちゃ)を掌(て)にする孤独の空間(あいだ)は過去に昇れる散気(さんき)を得る内、生活(かて)を手にする女性(おんな)の揺蕩(ゆらぎ)を独創(こごと)に見据える努力を知った…。一人(ひと)の頭数(かず)から未活(みかつ)を掌(て)にした〝過去と現行(いま)〟との懊悩(なやみ)の空間(あいだ)は、無音に近付く小言と同じく量産して浮く無知の軟裸(やわら)に、女性(おんな)と現行(いま)との美飾(びしょく)の網羅が宙(そら)を仰いで、白亜(しろ)い四季(きせつ)に自体(おのれ)を培う「一人(ひと)と魅力」の淡手(あわで)を添えつつ、旧い千夜(とばり)に程好く落ち着く〝幻想(ゆめ)の活路〟は安らかでもある…。不安と現行(いま)とが過去を取り巻く夢想の途切れは故縁(えにし)に同じく、人間(ひと)の躰を微温に埋(うず)めた未知の牙城(とりで)と独気(オーラ)を掌(て)にして、旧い画(え)に観る精神(こころ)の余裕(ゆとり)は華やか成れども生気を捥いだ。一人(ひと)の噺(はなし)に御伽を観る内、個々の主宴(うたげ)に進歩を配し、自体(おのれ)の熱から人壁(かべ)を見出す不幸と幸(こう)との狭間を飼いつつ、幻(ゆめ)に見積もる神秘(ふしぎ)の気(こ)の端(は)は我信(エゴ)を取り巻く不相(ふそう)を解(と)いた…。幻想(ゆめ)の高みに故縁(えにし)が灯り、女性(おんな)の迷路は年月(としつき)さえ奪(と)り、不安と現行(いま)とが交錯して生く〝一人(ひと)の気色…〟を既視(おめ)に得ながら、気楼と信者の過去の体形(からだ)は世毎(よごと)の生録(きろく)をその掌(て)に置いた…。男女(ひと)の活き血を無言に留(とど)める〝一幻(ゆめ)の故縁(えにし)〟は遠方(とおく)を識(し)りつつ、不和に統(たば)ねる人密(みつ)の神秘(ふしぎ)を過去の両手に注いで在って、女性(おんな)の表情(かお)から気色を好く見た不能の柔裸(やわら)は不快を感じる…。幻(ゆめ)の生気を按じる夜宙(よぞら)に過去と概(おお)きな孤独を識(し)りつつ、白亜(しろ)い気色と無録(むろく)の幻想(ゆめ)とは自己(おのれ)を知らさぬ哀れを乞いつつ、白亜(しろ)く灯れる乱心(こころ)の渡りは無知を知りつつ不安を装い…、未開に切り裂く孤高の輪舞曲(ロンド)は五月蠅(あわ)い吐息を撰んで行った…。無心の脚色(いろ)から気色を好く観る無能の千夜(とばり)は伽藍を目にして、過去と現行(いま)との身欲(よく)の逆鏡(かがみ)は人間(ひと)を相(あい)する輪舞曲(ロンド)に捕まり、淡く輝く無録(むろく)の宙(そら)には小界(かぎり)を目にした点(あかり)を従え、紺(あお)く灯れる我信(がしん)の見事に夢中を着飾る遠慮を識(し)った…。一幻(ゆめ)と自己(おのれ)に過去を詠むうち比重の咲かない気色は失くされ、夜半(よわ)の目下(ふもと)で滑稽味を識(し)る〝幻(ゆめ)と俗世(このよ)の独理(ドグマ)〟は未(いま)でも、自己(おのれ)の無力に限界だけ知る不倣(ふほう)の決理(けつり)は育って活きつつ、一幻(ゆめ)に蔓延る無想の女性(おんな)の自己(おのれ)の気儘は通らなかった…。

      *

 …誰か別の一人も「内助の功…」と呟き、するともう一人も同様に呟き、答えは〝内助の功〟で合って居たらしい。臭そうな初老の長老が言ったのか別の人が言ったのか知れないが、実(み)の在る話をして聞かせてあげなさいよ、みたいな事を言って居た光景・情景が在った。しかし希薄牧師は、

「お~~そんなに突っ込んだ話をしてはいけませ~~――ん もっと嚙み砕いて砕いて、誰にでも解り易い内容でなければ成りませ~~ん」

等と、説教する相手が子供だと言う事で、メッセージ・レベルをより子供レベル(もしかすると幼児レベル)にまで落として話す、と言う持って回った、俺を落胆させてくれる内容を、希薄牧師は俺と未知先生とに見せて居た。

      *

 …無知の知謀(ちぼう)に未来(さき)が削がれて、日々の空間(あいだ)は過去(むかし)の初歩(いろは)に乱心(こころ)が奪われ、過去(かこ)と現行(いま)との安(やす)みの孤独は一通(とおり)を拵え、一人(ひと)の許容(なか)から未覚が成らない不相(ふそう)の表情(かお)など概(おお)きく成った…。無知を相(あい)する人間(ひと)の躰は本気を相(あい)する個録(ころく)を試み、未知の夕べと一夜(いちや)を過ごせる夜毎の生気を未知に眺めて、過去の体裁(かたち)を自由に振舞う街の活き血は古今を保(も)った…。日々の許容(うち)から身許が表れ、無知の日々には一女(おんな)が乞うのは、一人縋(ひとりすが)りの孤独を愛する盲(ゆめ)の空間(あいだ)の冒険ばかりで、不快と現行(いま)から精神(こころ)を宿せる無垢の四季(きせつ)と自己(おのれ)の小敗地(アジト)は、過去を知らない遠い故縁(えにし)と一人(ひと)の空間(あいだ)を徘徊して居る…。明日(あす)の日々から努力が仕上がり、日々の景色に欲が成るのは、未知と未来(さき)とで道玄(どうげん)だけ観る伽藍の気色と点線など得て、未解(みかい)と未(いま)との無録(むろく)の悠(ゆめ)には白亜(しろ)く成り立つ故郷が素通る…。日々に息衝く人間(ひと)の朝陽が傾注(けいちゅう)して生く夜毎の脆差(もろさ)に虚遁(きょとん)と落ち着く…。女性(おんな)と現行(いま)とを不憫に匿う無知に築ける古参の行方は、日々と現行(いま)との孤業(こぎょう)を併せた無力の小界(かぎり)に途切りが顕れ、日々と未(いま)との無垢の赤身は未(いま)を象る英知を識(し)った…。「求めよ、そうすれば与えられるだろう」、「探し求めよ、そうすれば見付かるであろう」、…一人(ひと)に息衝く故体(こたい)の自主(あるじ)は無知に片付く不信を設え、生(せい)と悦びとを知る無謀の孤独を吟味して生く…。過去(むかし)に基づく小宙(そら)の成果(はて)から幻覚(ゆめ)の意固地と四肢(てあし)が活き出し、女性(おんな)の暗(やみ)から無録(むろく)を安転(ころ)がす不解(ふかい)と身欲(よく)との平(たい)らに並べて、意味を保(も)たない不頼の覚悟は不審に基づく生義(せいぎ)を保(も)った…。暗(やみ)に近付く文言(ことば)を奪(と)り出し一人(ひと)の思慕から発狂(くるい)が纏まり、白亜(しろ)く奏でる未知の活き血は日々の精神(こころ)を貪り始める…。男女(ひと)の脆差(もろさ)と夜毎の行方は悲観に暮れ往く過渡を保(も)ち出し、幻覚(ゆめ)の日々から活路を見出す不安と自活(かて)との不倖を保(も)った…。

      *

 …俺は再び落胆して居た。もっと基準とやらを大人に引き上げたって子供は分かるだろうよ、等と心中で呟いて居り、実際子供も、内助の功に就いて分かって居るらしく、その言葉に就いての自分の思考の有らん限りを、牧師に聞こえない程度にぼそぼそ呟いて居た。俺は、全く感動が無いその礼拝・説教であるから未知先生に対して体裁が悪く、「何で希薄牧師は何時(いつ)もああなんだろう…?」等と、持って回る希薄牧師の態度と内実に対して、少々苛つき始め、俺はまるで亀の甲羅へ閉じ篭った様(よう)に寝る振りして黙云(だんま)り決め込んだのである。何とか挽回しようと俺は、

「俺は感動先生のメッセージで確かに感動したんだ。俺は、あの人のメッセージに確かに感動させられた。それは事実だ。故に未知先生をO教会(ここ)へ連れて来たって事もある。そう、俺は希薄牧師にではなく、感動先生に感動させられたのだ。」

等と心中で何度か問いつつ、横で半ば呆れ顔でもして居た様な未知先生に、直接言ってやりたい衝動に俺は駆られて居た。

      *

 …日々の一通(とおり)に琥珀が芽生え、幻覚(ゆめ)に移れる孤独の柔身(やわみ)は無知に匿う乱心(こころ)に灯れる。不従の個録(ころく)が暗(やみ)の間(ま)に間(ま)に、低く求める女性(おんな)の柔味(やわみ)は〝幻(ゆめ)と精神(こころ)の一通(とおり)〟を透して人間(ひと)の気配を闇雲に識(し)り、不安ばかりが唄を歌える個業(こぎょう)の棲家を小宙(そら)に描けば、気楼に崩れる一人(ひと)の身辺(あたり)は素顔を消し去る独創(こごと)を知った…。気楼の許容(うち)から一通(とおり)へ出るのは暗黙(やみ)の神話と同等ながらに、甲斐を尽せる女性(おんな)の柔裸(やわら)に過渡を通して象られて往く…。一人(ひと)の夜風が淡く過ぎ去り、侵略ばかりが白亜(しろ)く灯れば、一幻(ゆめ)と乱心(こころ)の概(おお)く生絆(きずな)は過去を忘れて通せんぼをして、一人(ひと)の波(なみ)から情(こころ)を咲かせる上目(うわめ)の向きへと昇って行った…。一人(ひと)に息衝く孤独の無機には未知に詠み取る不安が始まり、一人(ひと)と現行(いま)との不本の生活(かて)には無機に息衝く不信に息衝き、小宙(そら)の彼方へ涼風(かぜ)が通れる不解(ふかい)の欲など彩られて生く…。旧い体形(かたち)に無知が拡がる不機嫌から成る孤独と見ながら、無知に息衝く不法の空間(あいだ)は旧来挿話(むかしばなし)の吐息に凝った…。一人(ひと)と現行(いま)との暗黙(やみ)の小界(かぎり)は低い過去から悪夢が成り立ち、一幻(ゆめ)の暗(やみ)から無録(むろく)が片付く低い人形(かたち)の巨人を射った…。未知の文言(ことば)と一人(ひと)の流行(ながれ)は過去の蛻を女性(おんな)に見て取り、低い躰の暗黙(やみ)の脆さは個々の無垢など文言(ことば)に基づき、白亜(しろ)い四季(きせつ)の五月蠅(あわ)さは未(いま)でも非行に匿う見事を識(し)った…。一人(ひと)に辿れる思義(しぎ)の湯浴みは一人(ひと)の熱から瞬間(とき)に表せ、純心(こころ)の柔味(やわみ)と無個(むこ)の行方は自己(おのれ)の撓(たわ)みを未信に逝った…。白亜(しろ)い体形(かたち)の旧さが成り立ち、一人(ひと)の浅(あさ)みは小宙(そら)を顕せ、無知の個録(ころく)が夢想を問うのは神秘(ふしぎ)ばかりを唱えて行った…。幻(ゆめ)の女性(おんな)と純心(こころ)を発(た)たせて、一人(ひと)の始めに向日が成るのは無刻(むこく)と現行(いま)との過憶(かおく)とも成る…。

      *

 …そうして居る内に、礼拝堂へ俺の父親が入って来た。父親の何時(いつ)もの体裁により、俺は未知先生に対し、幾分励まされた様(よう)である。

      *

 …無法の規律(おきて)に鼓舞を気遣い、人間(ひと)の髑髏を乱心(こころ)に置くのは無暗(むやみ)に列(なら)べた貌(かお)の内(なか)から純心(こころ)を解(と)かせる魅力に倣い、希望を知らない刻(とき)の旋律(しらべ)に敢えて知らない体躯を看取り、暗黙(やみ)の許容(うち)から乱心(こころ)が阿る未解(みかい)の信途(しんと)を解放させ得た…。純心(こころ)の信仰(まよい)に男性(おとこ)が近付き、無垢の四肢(てあし)に奇妙を睨(ね)めては、一人(ひと)の気配が御託を列(なら)べる固陋の総理(すべて)の不純を来らせ、未知の目下(ふもと)で提灯(あかり)を見て居る〝神秘(ふしぎ)と現行(いま)〟とを聡明にもした…。幻覚(ゆめ)の一灯(あかり)に刻(とき)を突いては、未覚の空間(あいだ)を人間(ひと)に弾ませ、器用に落ち込む白亜(しろ)純心(こころ)は魅惑の棲家を御殿に操り…、端正(きれい)に認(みと)める孤独の小敗地(アジト)は未知に独歩(あゆ)める読破を識(し)った…。過去(むかし)の素振(そぶ)りに自由を掴める未亡の一間(ひとま)は四季(きせつ)を慰め、同じ砥石を信仰(まよい)に立たせる詩吟と現行(いま)との約束だけ観て、人間(ひと)を象る正義の両刃(もろは)は意味を成さない自主(あるじ)を乞う儘、同じ気色に自由を操る〝旧来独語(むかしがたり)〟を延々掌(て)にした…。人間(ひと)の手に立つ魅惑の安(やす)みは既知に問い生く孤独を培い、一人(ひと)と現行(いま)とを乱心(こころ)に与(あず)ける過去の優雅を身塵(みじん)に添えて、一人(ひと)の逆行(もどり)を生気に二重(かさ)ねた未刻(みこく)の栄華を狡猾にした…。一人(ひと)の目下(ふもと)に潜(ひっそ)り成り立つ不義の要局(かなめ)は未完(みじゅく)を着せ替え、無心を相(あい)して俗世(このよ)を棄て得る旧来(むかし)凌ぎの人形(かたち)を欲張り、未知と自己(おのれ)の自由を過ぎ去る幻覚(ゆめ)の小敗地(アジト)は木漏れ日から成り、非道(ひど)い仕打ちに髑髏を見守る不信の活き血を葬り続けた…。幻覚(ゆめ)の一通(とおり)が波瀾を着せ替え無垢の独創(こごと)に独気(オーラ)を観る時、一人(ひと)の形(なり)には未活を守れる不動の最期が落沈(らくちん)して居た…。陽(よう)の出ぬまま御伽は好く鳴り、未解の杜には恋が沈んで…、男女(ひと)に相(あい)する孤独の概(おお)くは神秘(ふしぎ)を統(たば)ねて理解を練った…。幻(ゆめ)の活路が人間(ひと)を跳び越え無意識から見た徹(てつ)は未(いま)でも、泥(なず)む幻覚(ゆめ)から気楼を発(た)て往く不解(ふかい)と現行(いま)との安(やす)みを保(も)った…。過去の淀みに奇怪を演じて呼吸の総理(すべて)は快適を識(し)り、幻覚(ゆめ)の千夜(とばり)と固陋の実話に夜を愛する理不尽だけ発(た)つ…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

~軋みと蟻の巣~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ