第11話 それでも進み続ける①

【登録者10万人突破記念雑談配信!私達の過去について話すよ!※シリアス・イメージ崩壊注意】

待機人数 1万人


・待機

・待機〜

・まだ10分前なのに待機多すぎwww

・待ち遠しい〜

・過去ってなんだろ

・シリアス注意…割と重め?

・なんでこんな待機多いの?

・そりゃ強さの秘密を知れるからやろ

・まじで楽しみだ〜


ーーーーーーーーーー10分後 配信開始前


佳奈とのコラボ配信から数日が過ぎ、今日は匂わせに匂わせた雑談配信当日。

時刻は20時を回る直前。2人は葵の家で配信開始を待っていた。

これから話す内容に少しの緊張が走っている。


「奏斗、大丈夫?」

「あぁ、心配は要らない。それより今更だが葵こそ過去について知られても大丈夫なのか?」

「私は大丈夫。むしろ私達について知って貰いたいしね〜」

「とりあえず回想は俺と葵、交互に喋る感じで良いんだよな?」

「うん、それでおっけ〜」


2人は配信前の最終打ち合わせを行っていた。今回の配信は登録者10万人突破記念としての大事な役割がある。出来ることなら失敗はしたくない。その思いから2人は今までに無いほど緊張していた。


「いや〜10万人か。正直あっという間過ぎて実感ね〜」

「そだね。ほんとに2週間経って無いくらいだもんね〜。この伸びは正直異常だよ…」

「ふぅ…そろそろか?」

「うん、後30秒だね〜」

「よし…出来るだけ頑張ってみるか。」


ーーーーーーーーーーーーー


「やーやー皆!私達の配信に来てくれてありがとう!!今日もキュートな葵だよー!」

「なんだその挨拶と奏斗です。」

「え〜可愛くない?」


・キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

・待ってた!!

・10万人突破おめでとう!!

・早すぎwww

・挨拶可愛い

・こんばんわ〜!!

・自宅?

・部屋の中だ!!

・奏斗君も慣れてきたな〜

・10万人おめでとう!!


「皆ありがとー!!10万人突破出来たのは皆のおかげだよ〜!」

「本当に感謝してる。半ば無理矢理始めさせられたが、実際やってみると意外と楽しくて…やって良かったと思ってる。」

「奏斗なんかかたくな〜い?もっとフランクにいこうよ〜」

「お前は逆に緩すぎだろ…もっと堅実にいこうぜ〜」

「むっ…奏斗の癖に煽り返してきたな?」

「なんだ癖にって…てかこれ煽られてたの!?」


2人の漫才にコメントはどっと流れを早くした


・やっぱりこいつらおもしれー

・この掛け合いも登録者伸びたきっかけなのかもな〜

・2人とも喋ってる時と戦ってる時の差が凄すぎるんだよ…

・ギャップで惚れました

・【佳奈チャンネル】2人とも10万人おめでとー!早すぎだよー!!

・佳奈ちゃんもよう見とる


佳奈のコメントでまたどっとコメントの流れが早くなる。どうやら有名人もちらほら見に来ているらしい。


「わ〜佳奈ちゃん!ありがとう〜!またコラボしようね!」

「俺からもありがとう。」

「ふぅ、じゃあ10分後に話し始めるから、それまでにお手洗いとかポップコーンとか持って来ててね〜」

「映画かよ」

「いや〜割と映画みたいなものでしょ〜。なんなら配信終わった後動画にまとめてみる?」

「あ、それなら切り抜き師?さんに任せてみても良いんじゃないか?俺達より編集の技術があるだろ」

「確かに!ってことで今回の話しを動画にしてくれる切り抜き師さん募集しま〜す!配信終わった頃にでもつぶやいたーの方でDMして下さい!あ、ちなみに私達の切り抜きはチャンネルリンクさえ貼ってくれれば無許可で良いよ!収益化は出来ればしないで欲しいけどね!そこは任せるよ〜」

「割と緩いな?収益化出来ないなら皆切り抜きなんてしないんじゃないか?」

「どうだろうね?一応許可取ってくれれば公式切り抜きチャンネルって感じで運営してもいいかも…」


・映画www

・そのレベルが来るってコト!?

・エグい過去が飛び出して来そう…

・他の配信者ってこういう配信しないしな

・↑そもそも重い過去なんて背負ってるやつがあんまりいねぇよ

・そりゃそうか…今は割と平和だもんな

・【佳奈チャンネル】ダッシュでポップコーン買って来た!過去…ごくり。

・佳奈ちゃん…

・ちゃんとファンやってるな〜

・なんで前回の質問配信に来なかったの?

・【佳奈チャンネル】前回の質問配信の時は普通に疲れて寝てただけだよ〜。一応これでも学生だからね。

・あ、そうか。佳奈ってまだ学生か

・結構大人びてるからな…どこがとは言わんが

・【コメントが削除されました】

・↑だから言わなかったのに…アホか…

・てか切り抜き師ここで募集するのかw

・編集の技術ならあるし切り抜きやってみようかな


話しが始まるまでのコメント欄はソワソワとしていた。どんな過去が飛び出してくるのか。皆がワイワイと賑やかしながら、その時間を待ってた。


「いや〜皆結構楽しみにしてくれてるね〜」

「そんな楽しい話しでも無いんだけどな〜」

「あっ!奏斗!そういうネタバレは駄目なんだよっ!」

「言うてネタバレになってるか?これ」

「私がネタバレだって思ったらネタバレ!よって被告人奏斗は島流しとする。」

「刑重。ネタバレで島流しとか時代どこだよ」

「う〜ん。戦国とか?」

「多分その場合は俺の首が飛んでる」

「奏斗なら飛ぶ前に逃げれるでしょ。奏斗強いんだし。」

「なんで急に歩みよってきた?お前さっき島流ししようとしてただろ」

「それはそれ、これはこれだよ奏斗。正直私は奏斗を斬首刑にしても死なないと思ったから島流しにしたのに。」

「でも俺水の上走って帰れるぞ?」

「奏斗はいったいどうやったら死ぬの?」

「え、親友から命狙われてる?…まぁ俺より強いやつか、流石に宇宙空間にでも放り込まれたら死ぬかもな」

「じゃあ絶対無理じゃん。私は正直奏斗が一番強いと思ってるし。宇宙空間とか物理的に無理だし。」

「なんでだよ。俺より強いやつくらいいっぱいいるだろ」

「え」

「え?」


・正直俺も奏斗はかなりの上澄みだと思う

・上位種の(ほぼ)ソロ討伐とか世界中探してもお前しかやってねぇよ

・なんで2人は喋るたび漫才になるん?呪い?

・↑なんの呪い?

・インターネットに潜むニート達の呪い

・↑弱そう

・は?強いが?

・なんで威張ってんだよ

・ニートが威張るな

・働けニート

・( ;∀;)

・ニートが泣いちゃった。お前らのせいです。あーあ

・m9(^Д^)ニート泣いてら

・なんだこのニートいじりの流れ…辞めてくれ、その言葉は俺に効く

・そろそろ10分経ちそうじゃね?

・お、そろそろだ

・ワクワク


「お〜そろそろ時間か。10分てあっという間だな〜」

「まあ10万人までもあっという間だったし、10分くらいなら体感このくらいでしょ〜」

「よ、よし。じゃあ始めるか。始めは俺から語って行くぞ」


・おー!!

・改めて10万人おめでとうー!

・早いよな〜

・ん?なんか奏斗君緊張してる?

・緊張しないで〜自然体で良いんやで

・まあどんな話しが出てくるか分からんからなんとも言えんが、気負い過ぎるなよ〜

・無理はするなよ


「お〜…緊張してるのバレた?」

「奏斗は割と分かりやすいんだよね〜」


・顔に出てたぞ

・声も震えてたしな

・緊張するよな〜

・それだけ大事な話しってことだよな…

・落ち着いてからで良いぞ〜


奏斗の緊張が伝わったのか、コメント欄が気遣うコメントで溢れる。

奏斗はそれを見て微笑んだ。


「ふふっ、皆ありがとな〜。おかげで緊張もちょっとほぐれたわ。」

「じゃあBGM消すね〜」

「それじゃあ気を取り直して、俺達の過去話。長くてつまらない話しかもしれないけど、出来たら最後まで聴いていってくれ!」


そして奏斗達の、辛く、苦しい。悲惨と絶望に満ち溢れた世界で、それでも進み続ける2人の少年少女のお話が始まった。


「あれは───」



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