第8話 質問バッティング

「やーやー君たち〜!今日も渋谷ダンジョン潜って行くよ〜」

「ども〜」

・キタァァァァァァァァァ!!!!

・待ってた!

・楽しみ

・葵ちゃん可愛い〜!

・こんにちは〜〜!


奏斗達は学校が終わったあと、急いでダンジョンまで来て配信をしていた。


「学校帰りだからあんまり長くは出来ないかな〜…ってめっちゃ人来てる!」

「おーほんとだ。同接1500人」

「有名な人と同じくらいじゃん!凄いよ奏斗〜!」

「ウッ…また震えが…」


現在奏斗達はダンジョン前で挨拶をしている。奏斗は多くの人から見られるのが少しトラウマになったのか、腕を擦ってブルブルしていた。


・奏斗君めっちゃ震えてるw

・可愛い

・何があったん?


「奏斗は陰の者だからね〜。多くの人に注目された経験とかほとんどないから、びびってんの。」

「別にびびってねーし。誰だってこうなるし。」


・奏斗陰キャなんかいw

・あ、急に親近感

・顔は割とイケメンだと思うけどな〜

・イケメンでも話しかけられないもんなんだな…

・戦うときはあんなにかっこいいのに…


コメントからの散々な言わ様に少し不貞腐れた奏斗は早々に話題を切り上げた。


「はいはいこの話終わり。さっさと今日やること言ってダンジョン潜ろうぜ。」

「逃げた…まあ良いか。今日はね〜2回目の配信だし、私達のこと知りたいと思うから、上層散歩しながら質問コーナーしていくよ〜。」


・うぉぉぉぉぉ!質問コーナーだぁぁぁぁ!

・やったぜ

・聞きたいこといっぱいある!

・上層なんだ、戦闘も見たかったな〜

・今渋谷ダンジョン立ち入り禁止じゃなかったっけ?


「立ち入り禁止なのは中層の下からだね〜。なんか昨日のオーガの調査?とかするんだってさ。じゃあ早速潜って行くよ〜!」


ーーーーーーーーーーーーー


ダンジョンに潜った奏斗達は確認がてら魔物の群れを殲滅していた。

「うん!分かってたけど余裕だね!」

「そりゃそうだろ。渋谷ダンジョンの上層はまじで初心者向けだからな〜」


・徐々に強くなっていくからありがたいんよな〜

・誰かが調節したとしか思えんバランス

・誰もがお世話になったところだね

・てかそんな頻繁に潜って大丈夫なん?


「あーそれね。俺も同じこと聞いたけど、精神力あるやつは大丈夫だろって帰ってきた。葵から。」


・草

・葵ちゃん意外と脳筋?

・確か精神整える時間なんだっけ?

・そろそろ質問コーナーしよ〜


「そうだね〜。これ以上狩ったらマナー違反だし。じゃあ早速質問コーナーしていくよ〜。どんどん質問送ってね!」


・なんでそんなに強いの?

・今何歳?

・どのくらい探索者やってる?

・二人はどういう関係?

・好きなものは?

・なんで配信始めたの?


葵がそう言った瞬間大量の質問がコメントに流れてくる。


「わわっ!いっぱい来てとは言ったけどこれは多いね!返すの大変そう!」

「やると言ったからには出来るだけ答えていこうか。じゃあこれから。なんでそんなに強いの?」

「あ〜これね〜簡単に言っちゃえば才能と努力なんだけど、だいぶ長い話になるからまた別の機会に話そうかな〜」

「まあそうだな。多分1時間じゃ終わらないな。」


・なんで強いのかにそんなバックストーリーが?

・気になる

・めっちゃ気になるから早めに頼む!

・私、気になります!


実際これに関しては長くなるから仕方ない。

葵と奏斗を語るに当たって根底となってくる話しだし、軽く話す話題でもない。

そんな訳でさくっと流し、次の質問に進む。


「次はこれ!今何歳?」

「俺は17歳。高校生だ。」

「私は〜…ふっふっふっ。皆、私何歳だと思う?当ててみな!」


・8さい!

・10

・11歳であってくれ

・6!!

・俺は13歳に100円賭けるぜ!


コメントがザッと流れる。そのほとんどが葵を小学生くらいだと思っているようだ。

そんなコメントを見て、葵は全力で握った拳をぷるぷると震わせた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?皆舐めてる?!私これでも17なんですけど!ぴっちぴちの高校生なんですけど!!!!」


・まじ?

・どう見ても小gげふんげふん

・どう見てもロリ!

・うんうん見栄張りたいお年頃よね。大丈夫、いつかそうなれるから。

・怒るとほっぺた膨らますの可愛過ぎる…

・アッ浄化される…


「は〜まじでありえないんだけど、奏斗どう思う!?ありえなくない?!」

「まあ中身はともかく見た目は完全に小学生だし、言わんとすることは分かる。でもコメントのみんな、あんま弄ってやんなよ。本人結構気にしてるんだから。」


・は〜い

・ごめんね葵ちゃん

・奏斗君ちゃんと気遣い出来て偉い

・それに対してコメ欄の奴らときたら…

・皆に優しいイケメン…なんでこれでモテてないの?


コメントの疑問を集めつつ次の質問に逃げる


「もう良いよ!次行っちゃうもんね!次は、どのくらい探索者やってる?あ〜これはね〜最初の話と若干被るところもあるんだけど、一応探索者は10年やってるよ!ダンジョンが出来た時から潜ってる!」

「そう考えると長いな〜。もう10年か…」


頭の中で思い出を振り返り、勝手にご機嫌になった葵がそう答える。


・10年!?!?

・え、二人は17なんよね?

・つまり7歳から潜ってるってコトぉ!?

・まじか…まじか!

・俺より長い…これから先輩と呼ばせて下さい

・10年とか人生の半分以上じゃん

・冗談だよな?


「冗談じゃ無いよ〜。は〜いそんなとこで次!二人はどういう関係?幼馴染!多分幼稚園の時から一緒に居るよ!後は心を許せる親友かな!」

「ダンジョンに潜ってる期間より長いな。葵は俺から見ても親友だし。頼りになる相棒って感じでもある。」

「相棒か〜ちょっと恥ずかしいね。まぁ昔から仲良しなんだよ〜」


・いいな〜

・幼馴染ってなんか憧れる

・親友ポジだと!ご馳走様です!

・可愛い幼馴染とか勝ち組だな奏斗ぉ!

・そこ代われ奏斗

・ニートが絶望してら…


奏斗はコメント欄からの、というより非リア達からの嫉妬と殺意をひしひしと感じながら次の質問を探す。


「はい次、好きなものは?抽象的だな〜。俺は読書。葵は?」

「Dtubeで配信見ること!ワイワイして潜ってるの新鮮で良いんだよね〜」

「俺等の場合黙々と進んで偶にふざけるくらいだしな。あぁいう攻略には憧れる。」

「同じ様な質問で、なんで配信始めたの?って言うのがあったけど、理由は単純。そういう配信をして見たかったから!後は奏斗が居るし伸びるのは確実だと思ってたんだよね〜」

「あ、そうだそれ。前の配信でも言ってたけどどういうことだ?」


前はさらっと流した疑問を思い出したため、すぐさま葵に聞く。前回はそんなことを気にしている場合では無かったが、今回はのんびりしているし丁度良いだろう。


「ん〜?そんなこと言ったっけ?まぁ良いや、これも理由は単純で、配信を見てたときに奏斗より強い人はいなさそうだったからだね。強いって言うのはそれだけで見るに値するから。」

「ふ〜ん。そういうもんか。」


・奏斗だけじゃなくて葵ちゃんも相当ですけどね。

・あの距離撃ち抜くとか半端じゃないわ

・え、てか配信者にも下層配信してる人はいるけど…それより強いってこと?

・流石に強い奴はおるだろ。氷姫こおりひめとか

・氷姫も強いけど奏斗とはベクトルが違うよなぁ、奏斗は卓越した技術、あっちは魔力ゴリ押しの所見殺しって感じ

・まだ分からんが本当だった場合、10年潜ってるのは伊達じゃないってことだね


奏斗が納得気味に頷きながらコメントを見ていると、多くの人が本当に強いと信じている感じで、疑っている人もちらほら。奏斗は氷姫という人は知らないが、名前が上がってくる以上本当に強い人なのだろう。


「ま、それが奏斗を配信に誘った理由だね!不純だけど失望した?」

「それはありえないから安心しろ。葵の頼みなら絶対断らない。」

「奏斗ならそう言うよね〜!えへへ〜」


・これは?

・て、て、

・てぇてぇだ!てぇてぇを感知!

・誰にも邪魔出来ない空気を感じたぞ!

・うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

・溶ける…溶けてしまう

・お助けを!お助けをぉぉぉぉぉ!!


ちらっとコメントを見ると阿鼻叫喚だった。

何かそんなに騒ぐところがあっただろうか。

奏斗は意味不明なコメントを無視し、時間を確認する。現在17時49分。質問に答えていただけで結構時間が経っていたらしい。


「18時には配信終わるつもりだから、質問あるなら早めに頼む。」


・おけ

・早いよ〜

・普段何してる?

・ぶっちゃけダンジョンどこまで潜ったことある?

・コラボとかするの?


「お〜まだあるもんだな。じゃあこれから、普段何してる?まあさっきの好きなことと似てるな。俺は読書とトレーニング。葵は?」

「ずっと配信見てるよ〜!後は弓の練習はちゃんとしてるよ!」


・何読むの?

・トレーニングか〜俺もしようかな

・配信はガチでずっと見れる

・葵ちゃん配信めっちゃ好きだけど推しとかいるの?

・弓使いとしてどんな練習してるのか気になる!


「何読むの、えっと俺はラノベかミステリーだな。ミステリー読んで疲れた状態でも脳死出来るラノベを特に好んで読むぞ」

「弓の練習方法か〜。私のやり方だと…不安定な床の上で動く的を撃つ練習するかな、まあ基礎が出来てる人限定だけどね〜。推し?私の推しは佳奈ちゃん!佳奈ちゃんはねモゴモゴ…」

「は〜いそこまでにしてな〜。お前の推し語りとか2時間の枠にすら収まらんわ。」


・分かる、俺も何かとラノベ交互に読む

・え、ラノベと交互に読むの?感動系とギャグ系交互にだったら感情死なない?

・不安定な場所で的を撃つw確かにそれが当たれば理論上どんな状況でも行けるな

・あ、口塞がれた。

・↑その言いかたちょっとエッッやね

・なんだこいつ↑通報した

・ごめんなさい…

・まあでも推し語りは長そうだよな〜w

・いつか推し語り耐久してくれw


コメント欄の漫才を横目で見つつ、ちらりと時間を見る。54分


「時間ちょっとやばめだから巻きで!ぶっちゃけダンジョンどこまで潜ったことある?これはこれからもめちゃくちゃ聞かれそうだから答えるけど、どこまで潜ったかは秘密です!言えません!」

「いずれは言っても良いかもしれないけど、今のところ言うつもりはないな。」


・そうなんや

・なんで?

・なんか言っちゃだめなことがあるの?

・今後に期待しとけってことか…


「割と物分り良くていいな〜言えない理由もそんとき話す。じゃあ時間的にこれが最後だな、コラボの予定はある?」

「はいはいはい!今度の土曜日に佳奈チャンネルさんとコラボするよ!皆見てね!」


突然、コラボ報告をするために備えていたであろう葵が手を挙げて叫んでくる。


・うおびっくりした

・急に大声出さないでくれw

・キタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

・コラボだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

・やっぱ最初は佳奈ちゃんよな〜

・土曜日?絶対見る!

・土曜日仕事で見れない…

・楽しみ過ぎる〜


「あはは〜そういう訳だから絶対見てね!土曜日仕事の人はお疲れ様!アーカイブ残すから後で見てね!」

「じゃあそろそろ時間だし、終わるか〜」

「そうだね〜。よしじゃあ皆さん最後までご視聴頂きありがとうございました〜!ぜひチャンネル登録とつぶやいたーのフォローよろしくね〜それじゃ、ばいば〜い!!」


・乙〜

・お疲れ〜

・ばいばい!

・次いつだろ〜

・葵ちゃん好き!!

・楽しかったよーーーー!!!!!



こうして、2回目の配信は特にトラブルもなく終わった。今回は奏斗の不幸体質も発動しなかったようだ。今の所確率は50%。これからどんどん上がって行くことだろう。

最高同接は2000人まで行っていたらしい。登録者が5万人超えたのを見て、葵はご機嫌のまま奏斗を連れて帰路に着いた。



────────────────────

ども〜既にネタ切れの予兆を見せているゆーれいです。

質問コーナーって難しいですね〜。脱線し過ぎるのもどうかな〜って感じになっちゃうので、ちょっと考えて質問入れたらコメ欄がいい子達になった気がする…あと土曜日仕事の人はお疲れ様です。コーヒーとかいります?

まあそんなところで!悪口なんて書くのはおかしいことですからね!皆さんも気を付けましょうね!


それではまた

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