七十話 次の日は長名家に
遊園地を後にし、近くの駅から方向の電車に乗る。
最初は起きていた栞も時間が経っていつの間にか俺の肩にもたれながら寝てしまった。
あれだけはしゃいだのだからそりゃ眠くもなるだろう。
すぅすぅと小さく寝息を立てながら呼吸の度に ほどほどに膨らんでいる胸が上下している。
そっと頭を撫でてやると、彼女は気持ちよさそうな声を上げながらモゾモゾとしている。
最寄り駅まであと三十分程度、まだ起こさなくても良さそうだ。
「んぅ…?」
「起きた?」
あれから暫く経ち、俺の胸に抱かれた栞が目を覚ました。
目を眠そうに瞬かせ ジッ とこちらを見ている彼女の頭をそっと撫でる。
「んー……」
眠そうながらも抱き着いてくる彼女はまるで甘える子供のようだった。
そんなこんなで電車は最寄り駅に到着し、俺たちは駅を後にした。
手に繋ぎながら夜道を歩き、途中で適当な飲食店に入って夕食を食べた。
「ただいま〜♪」
「ただいま、っても誰もいないけど」
帰宅した俺たちは荷物を置いて風呂に入ることにした。……したんだけど…。
「えへへー♪
なんと、またもや彼女と二人で風呂に入ることになった。最高か?
脱衣所で服を脱ぎ生まれたままの姿となった俺たちは浴室に入る。
デート終わりだからということもあるのだろう、高揚した気分が二人の間にある雰囲気を艶やかなものにしている。
そんな状態で二人きりならば乱れることは間違いないし、果たしてそうなった
一通り済ませた俺たちは浴槽に身を預け大きく息を吐いた。
「はあぁ…落ち着くねぇ…」
「だなぁ……」
今俺は彼女の体を抱えながら風呂に入っている。
柔らかな肌の感触が心地よい。
「また遊びに行こうな」
「うん♪」
俺の言葉に満面の笑みで答えた彼女の唇にそっと口付けをした。
という訳で日曜日、朝から行為で濡れた身体をシャワーで洗い流す。
さすがに今回は別々だ、栞がシャワー浴びてる間に朝食の用意したいし。
「好透って意外とつよつよさんだよね」
「俺より栞の方がよっぽどだと思うけど……」
シャワーを終えた俺に栞が感心したようにそういった。
ナニがとは言わないが、好きな人相手ならば強くなるものなんじゃない?知らんけど。
「今日はどうしよっか?」
「そうだな」
朝食を食べ終え、ゆっくりしながら考える。
別に何かしなきゃ行けないわけでもないしゆっくりしててもいいのだが。
そう栞に伝えると彼女は頭に手を当てて照れたように言った。
「えへへ…何かしてないとシたくなっちゃうから……」
「おぉう……」
そんな栞が可愛くて思わず抱きしめてしまうと、彼女が嬉しそうにキスをしてきた。
これは、また昼までかな……
「じゃあ行こっか」
「おう」
あれから昼まで '' 色々 '' していたのだが、取り敢えずお昼を食べに行くことになった。
二人で手を繋いでどこに行こうかと考えていると、栞が手を引いてきた。
「こっち」
「ん?あぁ……」
なんだろうと思い手を引かれるままに歩いていると、着いたのは
なんで?と思い彼女を見遣ると ふふっ と笑った。
「実は、お母さんが好透を連れてきてってさ」
「そういうことか」
「おじゃまします」
「いらっしゃい♪」
すぐに彼女の家に着き、靴を脱いで上がらせてもらうと栞がニコニコ顔でそう言った。
そして奥からパタパタと可愛らしい軽快な足音が聞こえてくる。
「お兄ちゃん!」
その正体はもちろん
その背中を撫でると彼女は んっ と顔をこちらに向けて目を閉じる。
言わずとも分かるソレに俺が応えると、衣織ちゃんの向こうからもう一人、笑う声が聞こえた。
「三人ともラブラブね、親として嬉しいわ♪」
そう言ってニコニコ顔の優さんに俺は恥ずかしくなって引き攣った笑いしか出なかった。
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