六十七話 遊園地デート

「二人とも余裕そうだね」


好透こうすけと一緒だから♪」


 今日は放課後に小春こはるが家に来てくれた。まぁお見舞いって訳でもないのでなんで来たのか分からないのだが。


「いいなぁ、今度ウチもお泊まりして良い?」


「「ダメ」」


 思わず二人して却下した。

 当たり前だろどういう関係だと思ってんだ。


「いいじゃん別に、ウチも好透君とエッチしたいしさ…セフレくらいいいじゃん」


「ダメだってのバカ」「小春のバカ」


 アホなことばかり言う小春に対し、二人してバカがハモる。

 なんでそんなに頭がピンクなの?ってかセフレとか言うなはしたない。


「彼女の前でよくそんなこと言えるよね?なに今日は怒られに来たの?意味わかんない」


「あははっごめんごめん、ちょっと本音が出ただけだよ」


 少し怒った栞に対して小春がそう笑った。

 ってかそこは冗談とか言えよ本音って言うなバカ。せめて誤魔化せ。

 ちなみに今日俺の家に来たのはただ俺と会いに来ただけらしい。会いたかったんだってさ。

 その好意は嬉しいけどさ…。


「いい加減に諦めて新しい恋を探せよ…」


「えー無理」


 即答だった、なんでそうも俺に固執する?

 小春はすごく可愛いんだからちゃんとした人と出逢えばきっと素敵な恋ができるだろうに勿体ないな…。


「ちなみに言っておくけど俺の栞は今度遊園地デートに行くからな、二人で」


「えー!羨ましい、ウチも行きたい!」


「残念でした」


 悪いがそろそろ栞との関係をしっかり見せつけてやる、ホントに諦めて欲しい。

 …今度 衣織いおりちゃんとも遊園地デートしたいな。

 もちろん二人でね。


「むぅー、いずれ絶対にその気にさせてやる」


「浮気させようとするな」


 隙あらばそんな事ばかり言う小春に思わず苦笑するのだった。



 そうして土曜日、朝食を食べた俺たちは早々に家を出て近くの駅に足を運んだ。

 今日は遊園地デートの日、目的の場所に行くために電車に乗るためだ。


「楽しみだねぇ♪」


「だな、遊園地行くのはかなり久しぶりだ」


 前に行ったのって小学生くらいだ、それも三年とかそれくらい。もう七年前とか?まぁいいか。

 栞と二人きり、すごくワクワクしているぞ。

 ちなみに絶叫系とか乗ってみたいと思ってる。乗れるかな?もしかしたら腰抜けるかもしれん。


「えへへっ♪今度 衣織にも小春にも自慢しなきゃね♪」


「そうだな」


 栞はすごくノリノリだ、俺もだけどな。

 電車に乗ると運が良いことに座ることができた、そういえば電車も久しぶりだな、ただ昔と違うのは栞と二人きりだってことだ。


 電車に揺られること一時間ほど、目的の駅に到着した俺たちは目的の遊園地に向かい、ゲートの前にある券売所で入場券を買った。

 もちろんアトラクション事にあるチケットでなく何回も乗れるパスポートも一緒に。


「着いたねぇ、どれ乗ろうか?」


「定番ならジェットコースターだろうけどな」


 そう言って向こうにあるソレを指さした。

 やはり激しい動きをしており、それを見るとワクワクしてくる。乗りてぇ。


「観覧車ってのもありじゃない?」


「どっちかって言うとエンディングだろそれ」


「あははっ♪」


 まぁ最初と最後に観覧車ってのも面白いだろうけど。


「じゃあ観覧車にする?」


「いやいいかな」


「なんじゃい」


 敢えて乗ってやると即答降りやがった、なんてヤツだ…恐ろしい。

 という訳でジェットコースターに乗りに来た。

 うおお…これは良いぞ楽しそうだ…。


「思ったより大きいね…でも楽しそう」


「だな、まだ人もそこまで並んでないから良かったよ」


 まぁ開園してからそう経っていないからだろうな、楽しそうなモノは先に乗っておくに限る。

 間もなくして係員の案内に従ってソレに乗る。

 なんと運の良いことに一番前だ、きっと眺めも最高だろう。

 やがて定員に達したジェットコースターが出発し徐々に上へ上へと昇っていく。


「うひゃあ、すごい眺めだね」


「これは…最高だな」


 バカと煙は高いところが好きと言うし、俺ももれなくそうなのだろう。いや知らんけど。

 しばらく昇っていくとやがて頂上へと達し、乗り物が下に傾き始める。


「くっ来る…!」


 そう言ったのは俺で、栞からの返事がないまま乗り物は速度を上げて走り始めた。



「すっっっごかった!」


「あとでもっかい乗ろう」


 結論から言うとめちゃくちゃ楽しかったです。

 なんという爽快感なんだ!これはハマるでぇ!

 栞は目をキラキラとさせながら楽しんでいるのを見るに、きっと俺も目が輝いているのだろう。


 まだまだ遊園地デートは始まったばかりだ。

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