六十六話 停学を満喫するという変な話
俺らが
というかそもそも何も変なことはしてないのか。
「ツヨシおそーい!この子達がいなかったら私ずっとナンパに絡まれ続けてたんですけどー!」
「えっまじ?」
桜真さんがツヨシという人にそう言った。ちょっと頬を膨らませていて可愛い。
ツヨシはそれを聞いてとても驚いている。
「マジもマジ!この子達はバイト先の後輩だよ、しかもカップルなの!変な事言わないで!」
「そりゃ悪かった、ありがとうな二人とも!」
彼女の言い分を聞いて即座に謝罪と感謝をしてくる感じ、見た目によらず良い人なのかもしれない。
「大丈夫ですよ、桜真さんには世話になってるんでちょっとした恩返しみたいなもんです」
特に気にされても、当然のことをしたまでなのでとりあえずそう返した。
受け取るだけ受け取っておこうか。
彼らと別れた俺たちは適当なファミレスで軽く食事し映画を観に行くことになった。
平日だから人が少ないのでとても落ち着いている。
「んー、どうしようか」
映画館に到着し本日上映する映画のラインナップを眺めていると栞がそう尋ねてきた。
俺は最近あまりテレビを見ることはないので少しワクワクしている。
「こう見ると割となんでも面白そうに見えるな…迷う」
「私が選んでもいい?」
「おう」
悩んでしまい優柔不断となっていた俺に栞がそう言ってきた。
「これにしよ」
そう言って指差したのはロボットアニメの映画だった。ちなみに栞はアニメが好きだ。
ラインナップの中には恋愛もののアニメもあった、その中でも敢えてアクション、しかもロボットアニメを選ぶあたり 栞らしいといえる。
彼女はアクションゲームが好きだし。
「いやぁ面白かったね」
「だな」
映画を見終わってカフェに入ったところだ。
栞との映画はかなり久しぶりなので新鮮な気持ちである。
「映画見た後にカフェで感想会ってラノベとかでありがちだけど、こういうのも良いね」
「そうだな」
二人で甘めのカフェオレを飲みながら楽しく話をする。
栞は劇中に出てきたキャラクターやそれらが操るロボットの設定、作品の演出や音楽などについて楽しそうに語っている。
「今度 遊園地とか行こうよ」
「それアリ」
カフェを後にして家に帰る道中、栞がそんな提案をしてきた。楽しそう。
栞と遊園地デートとかそんなの最高なのでもちろん快諾した。
また次の次の日、つまり二日後のバイトの日。
「
「そうなんですか、どういたしまして」
この間とは間違いなくナンパ撃退の件だろう。
そこまで感謝されることかは分からないが…と思ったけど確かに栞がナンパされてるのを誰かが助けてくれたら嬉しいわ。
そう思って素直に受け取ったけど、ってもその日のうちに受け取ったんだよなぁ…まぁいいか。
「なになに?まさか
「なわけねーだろ」
近くで話を聞いていた
「そうだよ良月くん、もう彼凄かったんだから」
「えぇ、一体何を…」
「やめてください」
良月の誤解を助長させる悪い先輩、すごく悪い笑顔をしている。ほんとにやめてほしい。
「俺はただナンパされてた桜真さんがいたからちょっと声をかけただけだ」
「そしてそのあと…」
「栞とデート中だったんで、やめてくださいね」
また彼女がふざけようとしたので釘をさしておいた。
というか栞は腹を抱えて笑ってないでフォローしてよ。
そんなくだらない問答をするくらいには、ここに馴染めたようだ。
「そういえば二人って良月くんと同じ年だよね、学校は良かったの?」
「まぁ色々ありまして、今俺は停学中なんですよ」
思い出したように桜真さんが問いかけてくるので少しぼかしつつ答えた。
あまり大っぴらに言えないことだからな。
「そうなの?あまり聞かない方がいい感じだね」
「そうですね」
なんやかんや喋りつつボチボチバイトをしている。今日はあまり客入りは良くないが、まぁそういう日もあるさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます