六十話 だる絡み厳禁
昼食時、何故か栞のノロケ話から今度は俺の話に変わった。
「だって気取らないし飾らない、そんな
まるで答えになっていない気がするぞ栞よ。
「うん。
そしてそれに共感する
困惑するばかりであったが、そんなことより疾峰と栞が仲良くなれたようで、それがとても嬉しい気持ちになる昼時だった。
「なぁ長名、本当に
午後の休み時間に誰かが言った。
というかあの時の噂をヒソヒソやってた連中の一人だ。
「当たり前でしょ?何言ってるの?」
変なことを言われた栞は当然 怒っておりその声はとても冷たい。
「だって天美はすぐ他の女に手を出すんだぜ?長名はそんな奴がいいのかよ」
「うん」
あっけらかんとしているが、俺としては''女に手を出す''のくだりを少しはフォローしてほしい。
栞に話しかけた男も絶句している。
「好透は私が好きなの、私も好透が好きなの。他の女の子に手を出したなんてそんなの些細なことだよ」
「おぉう…」
思わず俺が変な声を出してしてしまう。
まぁ確かに栞だけじゃなくて
「そっ、それなら俺の方がよっぽど天美よりかっこいいだろ!あいつなんてパッとしねぇし陰キャだし訳わかんねぇし…」
「最っ低!」
ヤツが言い切る前に栞が怒鳴った。その表情は怒りに満ちている。
「そうやって私の好透のことを貶すからアンタのこと嫌いだってのに、なんで分からないの!」
「えっ…」
まさか彼女がここまで怒ると考えてなかったのか完全に固まっている。
「どうせ私と付き合えば抱けるとかヤれるとか思ってるだけのクセに!どうせ小さいのを固くしてるだけのくせに!」
「うぇっ…」
「おい何言ってる」
栞さんあなたはしたないですよ!
遠巻きにツッコんでしまったではないか。
「好透のはアンタの何倍もおっきいの!そんなちっちゃいだけのキモいのでイキらないで!この変態!」
栞の中々に酷い物言いだが、奴にとっての悪夢は終わらない。
「本当だよ、人間としての器も質もアソコもミニサイズの癖にさ、調子に乗ってただイタいだけだよアンタ」
なんと横から
「ヒ…ヒイィィィ!」
あーあ、二人の散々な言いようにすっかり怯えて逃げてしまった。ざまぁないな。
「自分の方がスゴいですアピール…キモイだけだし」
小春のそんな一言が聞こえてきた。それは全面的に同意である。
「さっきのは凄かったね…」
「スカッとしたよ」
先程の出来事を見て驚いた様子の疾峰に対し、優親は嬉しそうだ。
「好透のこと悪く言ったんだから当たり前」
「また同じこと言われたらとか考えたらアイツも強く出れないだろうし、丁度いいっしょ」
栞と小春は当然というようなふうで言い切った。美人が怒ると怖いってよく言うけど、この二人も例に漏れなかったようだ。
「たまにああいうやつらがいるんだよ。俺と栞が仲良くしてるのに嫉妬して暴走する馬鹿どもがな」
「それは、大変だね…」
疾峰が困った様子でそう言った。
もう慣れたけど、まさか栞に行くとはさすがに予想外だったな。
「だね、ホント大っ嫌い」
辟易といった様子の栞はそう吐き出した。
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