五十三話 スポーツも良いもんだね

「水着プレイもいいよね」


「いきなり何言ってんだお前」


 しおりがはっきりとプレイとか抜かしやがった。ここ公共の場やぞやめろ。


「もしそれだったらそれ用の水着も買わないとだよお姉ちゃん」


「そうだね、マイクロビキニでも買う?」


「やめろ薄い本じゃねぇ」


 だからここで話すなと言うのに。


好透こうすけは僕にどんな水着着て欲しい?裸でもいいけど」


「男の裸に需要はねぇよ」


 少なくとも俺にはな。悪いが男で興奮する趣味はない。


「お兄さんが望むなら水着だけじゃなくて…逆バニーだって着ますよ?」


「舞幸ちゃんなんでそんなの知ってんの?」


 マジでどこで仕入れてきたんだそんな情報。

 もしかして優親かと思ったが彼もちょっと驚いていたし、多分 衣織ちゃんだな仲良いし。


「あぁ!そうだよ逆バニー!」


「こんなとこでそんなワードを叫ぶな変態」


 栞がそれを聞いて 閃いた!と言わんばかりの様子で言った。


「お兄ちゃんはそういうの嫌い?」


「見たいから今度見せて」


 衣織ちゃんがそういうことを言ってきたので素直に答える。当然だろ?


「好透もエッチだなぁ♪今度買っておくね♪」


「頼んだぞ栞」


 なんてことだ、いつの間にかそんな楽しみができてしまった。



 昼食を食べ終えた俺たちは遊びに来ました、ここはゲーセンやちょっとしてスポーツとかやれる施設ですね、複合型レジャー施設っていうの?

 荷物をロッカーに入れてお金を払って入場し、目指すは運動ができる屋上だ。


 まぁ屋上に来て色々やってるんどさ、皆割と運動神経いいんだよね。

 栞と優親はもとより衣織ちゃんもだし、なんなら舞幸ちゃんも普通に動けるんだよね。

 舞幸ちゃんは病弱だった事もあり、動く事に貪欲なのだとか。


「いやーやっぱり運動は楽しいねぇ」


 イキイキとしている優親が汗を拭いながらそう言った。めちゃめちゃ絵になるし、なんならそこに居るお姉さんたちも顔を赤くしている。


「好透の汗…ゴクリ」


 ちなみに衣織ちゃんのお姉さん変なこと言ってるわ。なにがゴクリだ。


「好透お兄さんって運動も出来るんですね」


「まぁ動くのは好きだからな」


 最近は夜のジョギングの回数も減ってきたし良い機会だったよ。


「お兄ちゃんが動くとやっぱりドキッてするね、カッコイイから」


「さいですか…」


 喜ぶところなのだが、せめて家とかで言ってね?

 恥ずかしいから。


 ひとしきり遊び、時間はもう夕方だ。

 遊び終えた俺たちは家に向かう。


「じゃあ僕たちはここで」


「また遊びましょうね」


 優親と舞幸ちゃんはここから別方向だ。


「また遊ぼうね、バイバイ」


「じゃあね舞幸ちゃん!」


「気を付けてな」


 俺たちは二人に手を振り家に向かった。



 二人と別れて家に帰ってゆっくりしていると、小春から電話がかかってきた。なんだろ?


「もしもーし」


「もしもし小春さん、どうしたの?」


 彼女から電話だなんて珍しい。


「今日は随分と楽しそうだったね、栞から聞いたよ」


「あぁ、小春さんも今度遊びに行こうな」


「そうだね」


 俺たちだけでは特に話すことも無いだろうに、まさかそれだけの為にも電話してきたのかな?


「えへへ、実は好透くんと喋りたくて電話しちゃったんだ」


「そゆことか」


 なんとも可愛らしい、もし俺に幼馴染二人がいなければ惚れていただろう。


「実は一応、水着は買ってあるんだけどね?好透くんが気に入るのかちょっと心配」


「俺は楽しみだけどな、まぁ小春さんは可愛いから大丈夫だろ」


 よっぽど攻めたような変なヤツにしなければそんなに心配することじゃないと思うが…まぁそれが人間というものなんだろうね。


「っ…好透くんすぐ口説く、ダメだよ?」


「ごめんなさいそんなつもりはないんです」


 口説くとか言わないでマジで、本音が出ただけなんですやめてください。


「ふふっ…そーゆーことにしとくね」


「はい」


 分かってくれたら何よりだ。


「はぁ…好透くん大好き、早く会いたい」


「おうふ…」


 ストレートすぎん?これは破壊力抜群だ、他の奴なら惚れるに決まっている。


「えへへ、ごめんね好透くん。やっぱり嘘はつけないや」


「気持ちは分かるがな」


 正直であることはとても大事だ。

 心にもないことを言えばトラブルや後悔の元になる。


「ほんとはもっと色々喋りたいけど、もう遅い時間だしもう寝るね」


「寝落ち通話するとか言うのかとヒヤヒヤしたぞ」


「うーん…したいけど、したいけどね?でもやっぱり好透くんには栞と衣織ちゃんがいるでしょ?私なりに我慢してるから」


「ありがとう」


 それならあまり突き放すのも酷というものかもしれない。


「それじゃ、おやすみ!」


「おやすみ」


 そう言って俺は電話を切る。

 そろそろ寝ようと思い布団に入って目を閉じた。

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