四十九話 楽しいキャンブ
キャンプと言えばカレーだよね。
優さんの慣れた手捌きに思わず声を漏らしてしまう。
俺も負けていられないと色々と手伝わせて貰っているがやはりそこはベテランとの差。
圧倒させられてばかりである。
「ふふっ、そんなに凄いかしら?」
「めっちゃカッコイイ」
思わず本音が漏れてしまう。
家事をしている身からするとその凄さが分かるものだ、まだ自分が未熟であると分からされる。
「あら、褒めてくれるのは嬉しいけどカッコイイよりもっと嬉しい言葉があるんだけどぉ…?」
「お母さん素敵過ぎ!結婚したい!」
ちょっと調子に乗ってみました、もちろん冗談だけど…二人の姿は見えないはずなのに凄い圧だ。
「あらぁ、私でいいの?嬉しいわぁ♪」
「ダメだよお母さん、お父さんいるし目に見えた冗談を真に受けないで」
「お兄ちゃんもダメだよ、お兄ちゃんにあんなこと言われたら誰だって本気にするから」
「ごめんなさい」
どう考えても調子に乗った俺が悪いので素直に謝る。ごめんなさい。
「安心しなさい、半分くらいは冗談よ」
「「半分じゃダメなの!」」
さすが二人の母だ、娘二人を振り回している。
そんなこんなでカレーができました。
こういう時に作った料理って不思議とより美味しく感じるよね。
しかも優さんが作ったカレーなのだ、それがより美味しくさせている気がする。
「ごちそうさま、めっちゃ美味しかったしまた食べたいです」
「うふふ♪そう言ってくれると嬉しいわね、また今度うちに来たら沢山作ってあげるわね」
俺の本音を聞いた優さんが少しだけ頬を赤くしながら嬉しそうに言ってくれた。かわいいね。
「ありがとう優さん、必ず行くからね」
「
ご飯を食べ終わった後だからか
「喜んで行くよ、最高だな」
「お兄ちゃん嬉しそう♪私も嬉しいけどね、えへへ♪」
衣織ちゃんが俺の頬をツンツンと突っついてから抱き着いてくる。
なんだこの幸せすぎる空間は、最高だ。
「あらあら三人とも見せつけてくれるわねぇ、沢山イチャイチャするのはいいけど…ちゃんと守るところは守るのよ?」
優さんが意味深なことを言うが、どういうことかは大体分かってしまう。
「まーね、好透はそのあたりちゃんとしてるから大丈夫だよ」
「お兄ちゃんは真面目だもんね、もっと欲に正直でいいのに」
「そりゃーな」
二人ともちょっと不満そう、後先考えてるので仕方ありません。
しばらくお喋りした後、ご飯の片付けをした。
片付けが終わってテントに入り、みんなでトランプをしている。
「よしこれだ」
「あっ!」
今はトランプのド定番、ババ抜きをしている。
優さんと衣織ちゃんが見事上がり、俺と栞の一騎打ちだ…が。
「やったぜ」
「むむむ…好透に負けたしこれは罰ゲームだね、とりあえず脱ぐ?」
「やめなさい」
栞が服に手をかけたので即座に制止する。
どうしてそうなるの?
「あら、負けちゃうと脱がなきゃいけないの?」
「これは負けられないなー」
優さんはなんか嬉しそうだし、衣織ちゃんは凄い棒読みだ。
そして第二戦、今度のラストは栞と衣織ちゃんだ。栞またお前か。
「うー…これだ!」
「うぁっ!」
栞はどうやら調子が悪いようだ、また最後だね。
「うぅ、こうなったら脱いでやる!」
「だからやめろっつーの」
どうしてそうも脱ごうとするんだ発情期、いちいち止めさせるな俺だって見たいんだから。
「好透は私の裸見たくないの?」
「見せろ」
やめてよ、そんなこと言われたら正直に言っちゃうじゃん!
俺が本音を言ったことで栞はすぐさま服に手をかけた。ちょっと!?
「やめいやめい!」
「だって見せろって言ったじゃん!」
「あれはただの本音だ!頼むから正気に戻ってくれ!」
「正気だよ」
それだとよりタチが悪いぞ、冷静に脱ごうとするんじゃない。
「あらあらぁ脱ぎたければ脱げばいいじゃない、私は止めないわよぉ?」
「ひいぃ」
優さんまで悪ノリしている、どうか勘弁してくださいな我慢できなくなる。
なんとか栞に押し留まってもらうよう説得し第三戦、今回は衣織ちゃんと優さんが残った!
なんで栞はちょっと残念そうなわけ?
こらっ背中に胸を押し付けるな!気持ちいいだろ!
「むむ、またはずれかぁ…」
「うふふ、じゃあ…あら?はずれねぇ…」
戦いが拮抗している…というかどちらが相手に上がらせるかの勝負になってない?
定番のトランプがこうも変な盛り上がりをするとは思わなかったですよ…。
「やったわ!私の負けね!」
「どうしてそれで喜ぶの?」
負けたはずなのにやった!って言わなかった?
まるで勝ったように喜んでいるが普通逆だろう。
「じゃーあぁ…まずは上一枚ね」
そう言って優さんが凄まじい速さで上着を脱いだ。
今彼女の上は下着姿である。……でっかぁ…。
「ひぇぁ」
思わず情けない声が出てしまう、これは圧倒的ですよ。
「とりあえずこれは色々とマズいからこれで終わる?」
「「ダメだよ?」」「ダメよ?」
三人がほぼ同時に拒否してくる。
これは大変な夜になりそうだ…。
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