四十五話 アンタに何が分かる
「長名さんはあまり貴方のことは好きじゃないと思うの」
何を言い出すかと思えば…やっぱりか。
もう聞き飽きた台詞だなぁ。
「なんでそう思ったのかはどうでもいいですが、俺たちはちゃんと、お互いに好き同士なんです。だからあなたが心配することじゃないっすね」
それなら取り合う必要も無い、さっさと終わらせよう。
「でっでもきっと辛い思いをするかもしれないよ!長名さんはきっと義理で付き合ってるだけで…」
「アンタに何が分かるんです?」
下らない言い分を遮る、結局俺が好きなのか貶したいのか分からん。
「俺たちのことは俺たちで決めるんで、外野がごちゃごちゃ言ってくんのやめてください。迷惑です」
ここまで言えばこの人も何も言えないようだ。
そもそも人の気持ちなんて完璧に分かるわけがないのだ、ましてや無関係の立場でとやかく言ってくるのが間違いであって…。
「そもそも俺が呼び出されたのってあなたが好きとか何とか言うためじゃなくて、そっちが本題なんじゃないですか?」
「それは違うの!好きなのは本当…」
そう言われても信用ならない。
付き合っている二人を引き裂こうと、根拠もない言い分で人の気持ちを決めつけるようなことをする人を一体誰が信じられるというのか。
もちろん印象も最悪だ、その時点で付き合うなど夢のまた夢にすらならない。バカにするなよ。
「そうですか、どうでもいいんでもう行きま…」
「ー待ってくれ!」
面倒だし腹が立つので立ち去ろうと踵を返したら、彼女の更に後ろから誰かがそう叫んだ。
「待ってくれ長名さん、まだ話は…」
「うるさい!もうあなたとは話したくありません!」
向こうからやってきたのはまさかの
「栞!」
「あぁ!
俺が栞の名前を呼ぶと彼女は俺の胸に飛び込んできた。かっわいい!癒されるぅ!
「こぉすけぇ、また変な人に絡まれたぁ…」
「おぉよしよし、今日は一緒にご飯食べような」
「やったぁ!」
栞の頭を撫でながらそう言うと彼女は嬉しそうに頭をぐりぐりと押し付けてきた。やっペかわい!
「…どういうこと池田君、話が違うよ?」
「いやっ、まさか俺もこんな事になるなんて…」
あっ、完全に忘れてたこんな人たちもいたなぁ。
「そういえば忘れてたけど、この人たち俺らが義理の関係とか勘違いしてるみたいだなぁ」
「そうだね、私たちこんなにラブラブなのにね」
「取り敢えず見せつけてやるか?」
「うん!」
俺がそう言い終わった刹那、彼女は唇を重ねて舌まで入れてきた。積極的ィ!
しばらくソレを見せつけてやると、女生徒の方は顔を真っ赤にしながら、下腹部に手を当ててモジモジとしている。
池田は…え、こういうのに興奮すんの?
「ねぇ好透ぇ、もう行こぉ?…シたくなってきちゃった」
「こっちが我慢できなくなりそうだな」
いつもよりも一段とねだる様な声で栞が甘えてくる。めっちゃエロいっスね。
二人をほっぽって俺たちは家に帰った。
今日は激しかったよ。
次の日学校へ行くと、また
「ちょっと、なんか前より凄いことになってる…」
「昨日はちょっと興が乗ったんだよ」
俺も栞も印を付けまくったのであちこちにソレが付いている。もう隠せねぇよ。
「…お''ぉぉ…」
突如後ろから変な声が聞こえてくるので振り返ると、小春が顔を赤くして突っ立っていた。
「あ、おはよう小春さん」
「おっおはよ…今日は凄いね…キスマーク」
「まぁちょっとな」
彼女はいつもの
「エッッッッ!」
「やめろっつの」
やっぱりいつも通りだなコノヤロウ!
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