二十九話 そんなに感謝されると恐縮です
「いやはや、その節は本当にありがとう!君のおかげで娘は助かったんだ、感謝してもしきれない!」
そう言って両手を握って頭を下げてくるのは
「いやいや、当たり前のことしただけなんで、頭上げて下さいよマジで」
ホントにやめて、大人に
しかもイケメンやし、そりゃ
「なんて謙虚なんだ、でも
「はい…え、謙虚?」
別に謙虚なつもりはないんだけどな。
「君は当たり前と言うが、人というのは知らぬ存ぜぬで見捨てて行く人は少なくない。救急車を呼んだだけとは言うが、そのお陰で助かったといういうのは医者からも言われたんだよ。その医者も凄く感謝していた」
「それなら、良かったです」
俺の判断は間違っていなかったのか…なんだか誇らしい気持ちになるな。
「ふふ、好透ったら嬉しそうだね」
「そりゃーな、ここまで言われたら嬉しいだろ」
俺がそう言いながらぽりぽりと頬を掻くと、皆は吹き出したように笑った。
夕食をいただいたのでそろそろ帰ろうと玄関に向かう。
「凄く美味しかったです、ご馳走様でした」
「どういたしまして、また来てね♪」
蓮希さんと舞幸ちゃんパパは手を振ってくれた。
外に出ると外はすっかり暗くなっていた。
「今日はありがとな、
「いや、こっちこそありがとね。お陰で舞幸ちゃんと仲良くやれそうだよ」
「好透お兄さんとのお友達ですからね、優親お兄さんとも仲良くします!」
「僕はついでかー」
優親は額に手を当てて笑いながら言った。
「つ、ついでと言う訳では…」
「いいよいいよ、好透が素敵なのは前からだもん。わかるよぉ」
「なんでか最近お前からも好感度高ぇ気がすんだよな」
なんだかんだと喋った後、俺は優親たちに手を振って帰った。
かくして優親と舞幸ちゃんの仲良し計画は成功に終わった。
結果的に俺が橋渡し的な立ち位置になってしまったが、全くもって偶然であることは間違えないで欲しい!
そして次の日、相変わらず
「やぁ好透!おっはよー!」
「おっすおっすぅ優親よ」
今日は一段とテンションが高い優親である。笑顔の輝きも凄い。
…女子からの視線も凄い。
「いやぁ、好透のおかげで舞幸ちゃんともやって行けそうだよ!ありがとね♪」
「まぁ俺がいなくても大丈夫そうだったけどな、最初はやっぱ緊張してたとかなんじゃないのか?」
皆が皆 優親や
会ってすぐに仲良くなれるなんて特殊である。
「今になって考えるとそうかも、僕も緊張してたみたいだね!あはは♪」
いやぁ今日は一段と可愛い笑顔だ。
俺じゃなきゃ惚れちゃうね。
「あっあの…
「え?うん、どうしたの?」
先程から優親の事を見ていた女子が彼に声を掛ける。
顔が赤い、多分 優親の笑顔でやられたか。
「ちょっとここじゃ…少しだけ来てもらってもいいかな?」
「あー、いいよ。ごめん好透、ちょっと行ってくるね!」
いや、女子と俺に対する笑顔の輝きが全然ちげぇ。
俺にそんな輝く笑顔を向けてくるんじゃねぇよそっちにやれ。
「んー?伴田君どうしたんだろうね、好透君」
「朝から抱き着くのやめてくれませんかね小春さん」
優親が去っていった方向を見ているとまたもや小春が後ろから抱き着いていた。
ちくしょう、柔らかいのが当たって気持ちがいい…。
「……やっぱり好透君も男の子だねぇ…」
「あぁ、
小春が耳元で艶やかに囁いてくるので、背筋がゾワゾワとする。ASMRかよ最高だな。
「ふふっ好透君は可愛いね♪大好き♪」
「なんで今のがそーなんの…あぁ…」
ひえぇ…吐息がぁ…。
「小春ぅ、楽しそうだねぇ…」
「うぇっ栞!」
「助けてぇ…」
後ろからくっつく小春を栞がひっぺがす。
「あぁ…好透君と離れ離れに…」
「好透を困らせないのー!」
今度は栞が俺の首に抱き着いた。
小春と入れ替わった感じですね、可愛い。
「今頃、告白でもされてるんだろーね、彼」
「さすが、栞はよく分からってらっしゃる」
「いやぁだって度々 女の子たちの間で話題に上がるもん」
まぁアイツかなりモテるからなー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます