二十五話 地雷を踏むバカども

 結局何がなんだか分からないまま優親ゆうしんと別れ、その後俺の家からしおりの荷物を一旦彼女の家へ持っていき、そのまま俺の家に戻って夕飯を共にした。


 その後彼女と一緒に風呂に入った。


「やっぱり好透こうすけとお風呂サイコー!」


 少々弄られたのもありちょっと疲れた…対する栞はなんかツヤツヤとしていた。


「せめて服を着ろよ、下着姿でいるんじゃない」


 そう、栞は今 バカには見えない服を着ている、なんならブラだってバカには見えないやつ。

 ちゃんとしたヤツはショーツだけだ。


 彼女が動く度に、何がとは言わないけどふるふると揺れている。やっぱキレーだよなぁ…形も良いし。


「えー、だってどうせヤるじゃん。早くベッドいこ♪」


「あー、そっすね行きましょか」


 最近ものすごく大胆になった栞が俺の腕を抱いて引っ張る。俺も俺で薄着で半袖だからめちゃくちゃ柔らかさが伝わってくる。




 部屋で行為を終えてゆっくりしていると良い時間になってきた。


俺の家を出て、彼女を家に送り届ける。


「もっと好透と一緒にいたいなー、早く一緒に住みたいね」


「なんて蠱惑的こわくてきな誘いなんだ」


 そうすれば毎日栞と一緒なのか、最高だな。


「好透…えい!」


 胸に飛び込んできた栞を受け止めてキスをする。


「…っぷは…んー♪」


 口を離した栞が俺の胸にぐりぐりと頭を押し付けてくる。


「……じゃーね好透、大好きだよ」


 動きを止めた栞は俯いたまま静かにそう告げた。

 その表情は伺えないが少し寂しそうな声色だ。俺も寂しい。


「あぁ、じゃあな。また遊びに来てくれよ」


 彼女の頭を撫でて、そっとその身体を抱き締める。


「俺も栞が大好きだから、来てくれると嬉しい」


「うん…」


 抱き合ってしばらくすると彼女はそっと身体を離した。


「おやすみ好透、明日の朝また来るね」


「あぁ、楽しみに待ってるよ」


 彼女は手を振って家に入った。その姿を見届けて、俺も家に帰る。




 一晩明けて彼女が俺を起こしに来てくれた。嬉しい。


「おはよー好透!ほらキスしよ♪」


 栞は俺の身体をあちこち触った後におおいかぶさってきた。


「……ぷぁ…はぁ、今日学校休んで一日中シよ?」


「やめろ朝から抑えられんくなる」


 キスをした栞が顔を上気させそんなことを言ってきた。おいコラしれっとソコに手を伸ばしてくるんじゃない。

 マジで留まることを知らねぇな。


 そんなこんなで一緒に学校に向かう。

 以前と違い教室に入るまでくっついているので優親ゆうしんが呆れたような目を向けてきた。


「やぁおはよう好透、今日も甘々だね」


「おはよう」


 とりあえず後半は聞かなかったことにしておこう。

 優親と喋っていると後ろからパタパタと足音が聞こえてきた。


「好透君おはよ!」


「!?」


 いきなり首元を絞められたと思ったが、どうやら抱き締められたようだ。

 なんでコイツまで大胆になってんだ。


「おはよう、小春こはるさん。あのぉ…離れてくれないかな?」


「やだぁ♪」


 嬉しそうに拒否された。


「好透のタラシ」


「違うぞ優親、これは決して違うんだ」


 優親が勘違いしてくるのでまじで困る。

 コイツめちゃめちゃジトッとした目で見てきやがって…人の気も知らないで…。

 しかも小春が頬ずりしてくるんだけど、何これ。


「こーはーるー?なぁにしてんのかな!」


「いたっ」


 小春が栞に引っぱたかれて引き剥がされている、助かった。


「ありがとう栞」


「お礼するならキスでね♡」


 栞はウィンクをしながらそう言った。

 よっしゃいくらでもしてやるぜ!


「さすがにここじゃあ目立っちまうし、あとでこっそりとな」


「うん♪」


 栞の笑顔に癒される。

 めちゃめちゃ可愛すぎて惚れるわ…ってもう惚れてたわ。


「あー熱い甘い」


「くぅ…ウチだって好透君にキスして貰いたいのに!見せつけてくれちゃって!」


 優親は顔をぱたぱたと仰いで俺たちに呆れているし、小春は嫉妬している。

 なかなかにカオスな空間が広がっているが、今ここには三人の陽キャが集まっている、となればやってくる奴らもいる訳で…。


「よぉ、笹山ささやま。それなら俺としよーぜ」


「おいおい待てよー、俺だってしてもらいてーっての」


 まぁ男子の陽キャ連中がひょこひょこと小春に声をかけている。

 しかし彼女は鬱陶うっとうしそうだ。


「あー、悪いけどアンタらはどーでもいーから。おことわりー」


 すっげぇ嫌そうにしている、なんなら一瞥いちべつもくれていない。

 しかしコイツらはヘラヘラとしながら続けた。


「おいおい、そりゃねぇだろー。こんなヤツより俺のが絶対いいって。あれなら放課後とかさぁ…って…なに…」


 そう言っていた男とそのツレがみるみるうちに表情がっていく。

 コイツらは地雷を踏んだのだ。

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