二十話 お泊まり最終日

「んふふ〜♪こーすけ〜♪」


 あれから二人して抱き合っている。まさにくんずほぐれつって感じだ。


「明日には帰っちゃうし、今のうちにこーすけ成分補充しとかないとね」


 栞はエネルギーで動いているのだろうか。

 俺は充電器ではないが、悪い気もしない、というか嬉しい。


「まだ昼前だけど、どうする?また出掛けるか?」


 正直どちらでもいいのでしおりはどうしたいのか聞いてみる。


「んー、昨日出かけたし、今日は好透こうすけと一緒にいたいな♪」


「よっしゃ任せとけ」


 思いのままに栞を抱き締める。こちらとしても望むところだ。

 彼女は嬉しそうに胸の中でモゾモゾしている。ゴロゴロと聞こえてきそう、まるで猫だ。


「好透、チューしよ♪」


 ふとこちらを見上げたと思うと、またキスをねだってきた。嬉しくなった俺は戸惑うことなくそれに応えた。




 時刻は十五時過ぎ、俺はソファの上で、産まれたままの姿で疲れ果てていた。対する栞は元気そう。

 あれから昼食も食べずぶっ通しで交わっていた。


「ふぅ…いやぁ、好透凄いねぇ♪」


「うぅ…もー無理…」


 散々ヤりまくったことで俺の体力は既に赤ゲージだ。ピロンピロン鳴っている。

 それに対する栞はめちゃくちゃツヤツヤだ。


みなぎりすぎだろ…マジで…」


「えへへ、ヤればヤるほど回復しちゃう♪」


 羨ましい限りである。

 俺の欲だって決して弱くないとは思うのだが、それでも彼女には勝てない。三回目からさすがにキツイと感じていたが、そこから更に強行し続けたことで立ち上がることすらままならない。


「まー男の子って出すほうだからね、私は貰う方だけど♪」


「それが底なしの所以ゆえんよなぁ」


 俺だっていつまでも栞をむさぼりたいくらいだ。

 しかし体力もそうだが、もうひとつ無いものがある。


「もうゴムもないし今日は無理だな」


 栞と俺があらかじめ用意していた分で三箱はあったのだが、この三日間で無くなってしまった。


「まー私は生でもいいけど?」


「そりゃやめとけ」


 そんな簡単にシていいものでは無いだろう。何かあっては遅いのだ。


「私は別にデキたっていいのに…」


「そーゆーことは簡単に決めるもんじゃありません、せめて卒業してからな」


 栞を撫でながらさとすように言う。

 これは栞のためでもあるが、俺のためでもある。お互いがちゃんと納得しないとね。


「そっかー…まぁピルとかもあるし、そういうのも試してみないとね」


 栞さん…欲が留まることを知りませんね。


「まぁ、俺も色々調べてみるよ。お互い後悔しないようにしような」


「そだね!」


 中々にアレなことだが、大事なことでもある。俺はまだしも栞には後悔して欲しくない…まぁ彼女のことだから満更でもないかもだけど。


「さて…そろそろ、少し遅めの昼にするか?」


「そだね、夜ご飯もあるからちょっと少なめにしよ!」


 今更ではあるが、軽い物を作ってしまおうか。その前にシャワーだけどね。



 シャワーを浴びて遅めの昼食。

 食べ終わったらゲームして、またいちゃいちゃして…。

 夜になったら夕食を食べて風呂に入って…。

 そうして俺たちの日曜日はすぐに終わる。



 二人の時間を楽しんで、もう夜も遅くなった。後は寝るだけだ。


「…もうこれでお泊まりもお終いかぁ…」


 栞が寂しそうに呟く。


「また今度来ればいいよ。待ってるからな」


 俺はいつでもウェルカムだ!これが今生の別れって訳じゃない、またお泊まりをすればいい。


「うん、また来るね。絶対…」


 そう言いながら抱き着いてくるので、こちらもその背に腕を回す。

 それから俺たちは、深いキスをした。


「……好透…」


「どーした栞」


 腕の中で丸まっている栞が、ボソッと俺の名前を呼んだ。


「……大好き…」


「…俺も大好きだよ、栞」


 互いの想いを交わしながら愛を確かめ合うように口付けをした。

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